夏、飼っているメスのミドリガメが急に食欲がなくなり、急に暴れるみたいに激しく動き回り始めたら、それは産卵のサイン。
初めてのときはなんだかよくわからなくて、突然卵を産んでびっくりということも多いのですが、慌てることはありません。
正しい知識を持っていれば、孵すことだってできます。
今回は、ミドリガメが産卵に差し掛かった時にどうすればよいのかをご紹介します。
すぐに取り出す
単独でメスだけで飼っているのなら、それは無精卵なので、赤ちゃんが生まれてくることは絶対にありません。
オスとメスが一緒にいる環境で生まれた卵は有精卵なので、赤ちゃんが産まれてくる可能性が高いです。
高い、というのは、交尾が成立しても、有精卵と無精卵の両方を産むことがあるからです。
いずれにしても、そのままにしておいたら、水槽の中で親亀が暴れて割ってしまうのがオチですからすぐに取り出しましょう。
2ふ卵器に入れる
一番確実なのは、爬虫類用のふ卵器に入れることです。
温度も湿度も管理してくれるので、手間は要りませんが、問題は高価なことです。
いちばん安いモデルでも一万円は超えます。
ですが、ミドリガメの場合、そこまでしなくても、管理を怠らなければ、自作のふ卵ケースで十分です。
大型のタッパーに、ホームセンターで売っている園芸用の土パーミキュラライトを敷き、水で湿らせます。
その上に卵を安置します。
一つの容器に複数の卵を入れても構いませんが、卵と卵の間隔は十分に空けておくようにしましょう。
日の当たらない、風通しの良い場所において、ときどき霧吹きで水をかけます。
卵にかけるのではなく、土を湿らせるようにしてください。
卵の上下に気をつける
亀の卵は産み落とされてから、一日ほどして卵の中で受精卵が細胞分裂し始めます。
そのときに卵の上下をひっくりかえしてしまうと、その受精卵がうまく育たなくなってしまいます。
卵は素早く回収して、一度回収したら、鉛筆などで卵に軽く印をつけて、絶対に上下を反転させないように気をつけなくてはいけません。
かびの発生に気をつける
卵が孵るのに最適な環境は、湿度が70パーセントから90パーセント。
温度が25度から30度です。
この状態はカビが発生しやすいで、風通しを良くして、常に空気を入れ替えましょう。
また、卵は容器を入れる前に流水で軽く洗ってください。
その際は必ず手袋をはめて行います。
手の油や汗をつけないようにするためです。
温度がオス、メスを決める
卵のときの温度によって、生まれてくるミドリガメは性別が決まります。
28度までならオス、30度以上がメス。
そのあいだならオスとメスの両方が生まれてきます。
オス、メスのバランスを考えて繁殖させたい場合は、温度管理が重要になってきます。
厳密に行いたいときはふ卵器に入れることをオススメします。
有精卵か、無精卵か
有精卵か、無精卵か、あるいは上手く育たなかった卵かは、卵をよく観察するとわかります。
卵の真ん中あたりに、白い濁りがでてきたら、順調に育っているサインです。
よくわからなかったら、強いライトを当てて見てみましょう。
血管が透けて見えたら、着々と育っている証拠です。
およそ2ケ月ぐらいすると、それまで透明感のあった卵が、急に白っぽくなります。
それが孵化の始まる合図です。
しばらくすると殻にひびが入りはじめます。
でも、すぐにバリバリと殻をやぶって出てくるのではなく、手をだしたり、ひっこめたり、頭を出したり、またひっこめたりしながら、半日から一日かけて、ゆっくりと姿を現します。
生まれた赤ちゃんは
生まれたばかりの赤ちゃんは、湿らせたミズゴケを入れたプラケースで飼育します。
ヨークサックという栄養分が詰まった袋をつけて、生まれてきますから、すぐにエサをやる必要はありません。
野生の場合、生まれてすぐに土に潜って、翌年の春に地上に出てきますが、飼育下では半年もそのままにするわけにはいかないので、一週間ぐらいでケージに移します。
水深は浅くして、保温のためにヒーターを入れます。
一匹か、または同時に生まれた子亀といっしょに飼うと良いでしょう。
しばらくはあまり手をかけず、静かに観察してください。
落ち着くまでは、そっとしておくのがいちばんです。
エサはベビー用のエサを少量ずつ与えます。
食べないときはアカムシを試してください。
難産のときは
卵を産む兆候はあるのに、一か月や二か月もそのままで、エサを食べない場合は、卵詰まりかもしれません。
獣医さんに連れていってレントゲンを撮り判断してもらいましょう。
産卵を促進させるホルモン注射をしてもらうと、自力で産卵できることもあります。
それでもできないときは手術が必要になりますが、そこまでしてくれるお医者さんは少ないのが現実です。
産卵をさせる際は飼えるかどうかも考えよう
卵を孵すことはそんなに難しいことではありません。
ただ、成り行きで繁殖させると、その後の飼育に困ってしまうことがあります。
ちゃんと世話ができる環境が用意できるのか、できないなら、誰かもらってくれる人はいるのか、そんなことを卵を孵す前からしっかり考えておく必要があります。
ウミガメの産卵は有名ですが、ミドリガメの産卵もそれはそれで感動的なものです。