ミドリガメは冬になるとほとんど動きません。
水底に潜って眠って越冬。
休んでいるうちは、カメの世話はいらないと考えている人が多いかもしれませんが、全くのほったらかしはちょっと危険。
そこで今回は、ミドリガメが冬眠している時にできることをご紹介します。
温度変化に気をつける
亀は変温動物です。
人間のように常に体温を一定に保つ機能がありません。
ですから気温の上がり下がりにともなって、亀の体温も上がったり下がったりします。
ミドリガメの場合、冬眠に入る温度は10度以下。
このラインをしっかり守ることが重要です。
室内で飼っている場合は、暖房の影響のない場所に水槽を移動しましょう。
寝ているわけですから、当然、静かな暗い場所が適しています。
屋外で飼育している場合は、日光が当たる場所は避けましょう。
気温が低くても、日光があたれば水槽の中の温度はすぐに10度を超えてしまいます。
せっかく眠ったのに、目を覚ましたり、また眠ったりになると、体力を消耗させてしまいます。
また、冬が厳しい地域では、逆に温度の下がりすぎに注意しましょう。
水槽の表面が少し凍ったぐらいなら大丈夫ですが、水槽の底まで完全に凍ってしまうと凍死してしまいます。
屋外に水槽を置いてある場合は、毛布をかけたりダンボールで覆ったりすると有効です。
フトンの代わりに落ち葉を敷き詰めるのも良いでしょう。
乾燥に気をつける
水槽の水深を少し深くすることが、ミドリガメの冬眠を成功させるコツです。
水が多い方が、水温が安定するからです。
深くしたら、呼吸できないのではないかと心配される人もいるかもれませんが、大丈夫、心配は無用です。
何か月もの間、一度も水面に顔を出さなくても、亀は生きることができます。
もちろん呼吸しないわけではありません。
詳しく説明すると、口の中の食道の内側のひだや、肛門の奥の毛細血管から、水中の酸素を吸収しています。
冬眠中は代謝が落ちているので、そのわずかな酸素で十分です。
ですから、呼吸のことは気にしないで、水は多めに、甲羅の高さの二倍ぐらいを目安にします。
水生の亀にとって危険なのはむしろ乾燥です。
冬場は空気が乾燥しているので、通気性のある容器では水が蒸発する速度が速くなります。
水が減って甲羅がみえてきたら、水を補給しましょう。
とにかく水をきれないようにすることです。
食べないことはあまり心配しない
冬眠中は何も食べません。
冬眠前の秋にたくさん食べたから大丈夫と思えれば良いのですが、ミドリガメは水温が下がり始める夏の終わりぐらいから食べる量が減ってしまいます。
秋になったら、もう何も食べてくれません。
亀の飼い方の本を読むと、冬眠に入る前にしっかり食べさせることと書いてあるので、余計に心配になったりします。
でも、そんなに心配することはありません。
亀は哺乳類のような食いだめは必要がないと言われています。
気温が下がるにしたがって体温も下がってしまうので、代謝がほとんどストップしてしまうからです。
代謝が少ないせいで、活動期から冬眠期に切り替わるはっきりした区切り目もありません。
秋にたくさん食べて、穴に入って、さあ寝ようという感じではないわけです。
逆に、無理にたくさん食べさせると、冬眠中に腸内に残っている食べ物が腐敗して、冬眠中や冬眠後のトラブルの原因になることもあります。
そもそも亀という生き物は、徹底的に代謝を低くすることで生き延びてきた生物なので、あまり食べないことを心配する必要はないのです。
水替えはしない
飼育の環境を清潔に保つのは大切なことですが、冬眠中はなるべくそっとしておいてあげるのが一番です。
代謝が落ちていて糞もしないので、水が汚れることはありません。
気温が低いのでカビやダニの心配もありません。
カメの健康を害するような危険なものを水槽の中に入れてしまったというような場合は水替えも必要ですが、それ以外は水は取り替えなくて良いでしょう。
ときどき無事か確かめる
冬眠中は静かなので、観察もお休みになりますが、ときどきは無事を確かめるために水槽を覗いてみてください。
特に屋外の場合は、室内で飼育しているケースより、目が行き届かないことが多いので、意識して週に二、三回はチェックしましょう。
ミドリガメの場合、真冬でも気温が高い日は水から出ていることがあります。
高い囲いの中であれば心配ありませんが、平らなケースで飼っているような環境では、気がつかないうちに這い出していることもありますから、見回りは絶対に必要です。
冬眠のリスクを考える
ミドリガメの冬眠は、ほかの爬虫類の冬眠に比べれば、それほど難しいものではありません。
しかし、リスクが全く無いわけではないのです。
自然界でも、特に小さな内は冬眠中に死んでしまうこともあります。
ペットショップで買ったばかりの小さなミドリガメは体力が無いので、無理に冬眠させずに暖かい部屋で飼ってあげた方が良いでしょう。
暖房のない部屋なら、ヒーターを入れて水温が下がらないようにしましょう。
亀の冬眠をサポートしてあげよう
冬の間は、石のようなっているミドリガメも、桜が咲き始めると、のろのろと泳ぎ始め、それから一か月ぐらいするとエサを食べ始めます。
そこまで来たらもう安心。
何事もなく無事に冬を越せたということです。
「がんばったね」と声をかけてあげてください。