トカゲはヘビやカメと並び、爬虫類の中で最もよく知られ、最近ではペットとしても人気を集めつつあります。

しかし、一口にトカゲと言っても、種類ごとに生態や個体数、飼いやすさは様々です。

そこで今回は代表的なトカゲを、特徴ごとにご紹介します。

ニホントカゲ

名前どおり、日本に生息するトカゲの代表格で、本州の西部から四国、九州と、全国に幅広く分布しています。

全長は20~27センチ、尾の長さは13センチ程あります。

体表は全体的に光沢のある褐色で、側面には茶褐色の縞模様があり、幼体のうちは尾が青く、他部分と比べ一際目立つようになっています。

尾には外敵の注意を引き付ける効果があり、いざという時にはこれを切り離して、その隙に逃走するのが、有名な「トカゲの尻尾切り」です。

日光がよく当たる場所を好みますが、逃げ足が速く、発見してもすぐに隠れてしまうので、生息範囲の広さの割には、見る機会が少ない種でもあります。

ニホンカナヘビ

ニホントカゲと並び、日本のトカゲの中でポピュラーな位置づけにいる種です。

全体としてはニホントカゲと共通する部分が多いですが、違いとしては、体長に占める尾の長さが3分の2と長い事、体表はワニのように乾いた荒い鱗に覆われている事が挙げられます。

関東にも多く生息する為、特に首都圏ではニホントカゲよりも、こちらを見る事の方が多いとも言われます。

地上を這い回るだけではなく、樹上2メートル程まで登る事もできるので、宅地開発等で生息区域が分断されてしまっても、ブロック塀を乗り越えて繁殖する事ができ、絶滅しにくい傾向にあります。

なお、何故トカゲ類でありながら「ヘビ」と名付けられたかは諸説ありますが、「可愛い蛇」という意味で「愛蛇(かなへび)」と呼んだ事が元になったという説が有力です。

ニホンヤモリ

ヤモリもまたトカゲの仲間で、その中でもニホンヤモリは、最も多く見られる夜行性の種です。

と言っても、実は日本の固有種ではなく、ユーラシアからの外来種であると推測されています。

全長は10~14センチとやや小柄で、トカゲ種に特有のシッポ切りの能力も備えています。

他のトカゲとの最大の違いは、指ごとに1対ずつある趾下薄板で、垂直の壁や天井にもぴったり張り付き、そのまま移動する事ができます。

日本にやって来てからの歴史は長く、クモやハエ等、生きた昆虫をそのまま捕食するので、家に潜む害虫を食べてくれるとして、家守=ヤモリとも呼ばれてきました。

ただ、残念ながら現在では、個体数も減少しつつあり、準絶滅危惧種の指定をしている区域もあります。

キノボリトカゲ

その名の通り、樹上を生活の場とするトカゲです。

生息地は与那国島、奄美大島、沖縄諸島等で、それぞれ場所ごとにヨナグニキノボリトカゲ、オキナワキノボリトカゲというように固有名が付けられています。

緑色あるいは褐色の体表をしており、成体の全長は20~25センチ程。

活動は主に昼の間ですが、日陰を好むので、あまり動かずに木の幹や木陰でじっとして暮らしており、外敵に襲われると木の裏側等に素早く逃げ込みます。

この為、飼育する際には十分な高さのあるケージと隠れ場所が必須です。

乱獲や、外来のネコ及びイタチ等による被害の為、現在は個体数がかなり減少しています。

フトアゴヒゲトカゲ

オーストラリア東部から南東部にかけて生息するアゴヒゲトカゲ属に分類される種で、全長はおよそ40~50センチになり、大きな頭部と扁平な体形が特徴です。

喉に顎鬚のような棘状の突起があり、外敵に対してはこれを大きく広げて威嚇する事から、この名が付けられたと言われています。

人に対する警戒心はそれ程強くなく、近寄っても他のトカゲのように、物陰に素早く隠れてしまうような事はありません。

こうした人への馴れに加え、トカゲ種の中でも比較的丈夫である事、生エサではなく配合飼料でも、ある程度は育てられる事などから、ペットとしても飼いやすく、近年の日本で人気が高まっています。

ヒョウモントカゲモドキ

主にインド北西部やパキスタン、アフガニスタン南東部に生息するヤモリ科のトカゲです。

全長は18~25センチと、ヤモリの中では大型の部類に属します。

黄褐色の体表には、まるで豹のような黒い斑点が無数にある事から、この名が付けられました。

地表で生きる種で、趾下薄板が無い為、何かにしがみ付くことはできても、他のヤモリのように垂直面や天井に張り付く事はできません。

尾は他のトカゲと異なり、イモムシのような節があります。

この尾は栄養の貯蔵庫にもなっており、水さえあれば数か月は何も食べなくても生きていく事ができます。

動作が緩慢で大人しく、ハンドリングが可能な上に、上記のように丈夫である為、飼育が容易で、ペットとしても人気がある種です。

グリーンイグアナ

トカゲの中でも大型種に属するイグアナ種のうち、代表的と言えるのはグリーンイグアナでしょう。

成体は体長だけで80センチ、尾まで入れた全長は180センチにもなります。

明るい緑、あるいは青みがかかった緑の体表を持ち、オスは後頭部から背面にかけて、クレストと呼ばれる棘状の突起があります。

食性はトカゲとしては珍しく植物性を好み、野菜や果実の他、飼育するならば配合飼料も可能です。

性格は温厚で人にも馴れ易いのですが、鋭い爪を持ち、身体も大きい為に、悪気は無くても人を傷つけたり、物を壊したりする事もあります。

以前は、成長時の大きさや飼育費用の高さ等を明らかにしないままブームが煽られ、安易に飼おうとして育てきれず、捨てられるという事態も起こりました。

現在では正確な情報も提供されるようになった事もあり、飼育状況は改善されつつあります。

トカゲについて知ろう

トカゲの生態については、都会の生活に慣れてしまうと普段は意識しませんが、種によって生態は多様で、興味深い動物です。

また、トカゲは大声で鳴く事も、人や作物に害を与える事もほとんど無い、大人しい動物ですので、人との共存も十分可能です。

興味が湧いたならば、一歩踏み込んで、観察してみてはいかがでしょうか。