中国や東南アジア原産の個性的な亀、スペングラーヤマガメ。

小さくてかわいいペットとして愛好家に高評価である反面、はっきりした生態がほとんど解明されていない、謎めいた亀でもあります。

スペングラーヤマガメとは、どのような生き物なのでしょうか。

スペングラーヤマガメとは

スペングラーヤマガメは、爬虫綱カメ目イシガメ科ヤマガメ属に分類される陸生の亀です。

一般の亀よりも長い尻尾を持つため、別名オナガヤマガメとも呼ばれます。

中国南部地域からベトナムにかけての内陸・山岳地帯に生息しています。

現地では古来より亀は食用として捕獲されてきました。

現在でも一部の地域では、滋養強壮に効果のある食べ物として捕食されています。

一方で、ペットとして爬虫類愛好家からの人気も高く、多くの野生個体が捕獲され、数を減らしつつあります。

中国内では絶滅危惧種として扱われ、2013年にワシントン条約に記載されました。

野生下でどのような生活をしているのか、専門的に調査した事例が少なく、詳しい生態がよく分かっていない亀でもあります。

以前は日本の沖縄地方に生息しているリュウキュウヤマガメの亜種とされていました。

しかし、近年の比較研究によって完全に別種であると認定されました。

スペングラーヤマガメの特徴・性格

成体の甲羅の大きさは11cm~15cm程度の掌サイズです。

メスのほうがオスよりも大きく、強くなる傾向にあります。

全体的に茶褐色で、甲羅の側面はギザギザした形をしています。

上から見るとクヌギの落ち葉のように見えることが大きな特徴です。

外敵から身を護るための擬態とも言われています。

メスや幼体にの顔には、黄色い筋状の模様が見られます。

オスは成長するにしたがって模様が消えるため、性別を見分けるための大きな目安となります。

オスは成長すると目の周りが白く変色してくるという特徴もあります。

足腰が強く、木登りも得意です。

頑丈な爪を使って固いものにしがみついたり、獲物を捕らえます。

湿気の多い森林地帯や山の中を好んで暮らします。

しかし完全陸生の亀のため、水辺が苦手で泳げません。

亀としては、動きにスピードがあります。

反射神経は鋭く、動いている昆虫やミミズなどを素早い動きで捕まえて食べます。

主に昆虫や無脊椎動物をエサにする肉食性ですが、熟れた果物や野菜も食べます。

視力が良く、赤い色の果実に反応を示し、好んで食べる傾向にあります。

臆病な性格をしています。

環境の変化に弱く神経質な一面もあるため、あまり過度なスキンシップをするには向いていません。

攻撃的な面はなく温厚なため、こまめな世話をして快適な環境を作ってあげると、飼い主を認識して懐いてくることもあります。

寿命・かかりやすい病気

スペングラーヤマガメの寿命については、長くて25年程度です。

しかし、免疫力が弱いため、飼育下の環境では、色々な病気を併発して、数年で死んでしまうことも少なくありません。

生育には、ある程度の湿度が必要ですが、あまり湿気が多い場所で暮らしていると、カビが繁殖して弱ります。

また、ダニなどによって媒介する病原菌にも弱く、集団感染も起こします。

輸入されてきた個体は、水棲の亀と一緒にコンテナに載せられてくる場合が多いです。

水棲亀は「赤痢アメーバ」と呼ばれる、消化器官に異常を起こす病原菌を体内に持っていることがあります。

その菌が陸生のスペングラーヤマガメに感染すると、抵抗力がないため深刻なダメージを受けます。

症状が治まっても、二次感染を引き起こして「敗血病」と呼ばれる臓器障害に陥り、高い確率で死んでしまいます。

スペングラーヤマガメの健康を保つためには、あらゆる病気や感染症を想定して、病院で詳しく検査をしてもらうことが大切です。

値段・入手方法・購入の注意点

かつてはペット用として安価に流通していたスペングラーヤマガメ。

現在はワシントン条約による規制のため、流通数も少なく、値段も高価です。

一般的なペットショップや爬虫類専門店で販売されています。

値段は2万5千円~3万5千円程度が主流です。

販売されているほとんどの個体は、ベトナムなどで捕獲された野生種です。

野生種は輸入時に雑に扱われていて弱っている場合があるので、購入する時は、とにかく元気そうな個体を選ぶことが大切です。

国内で繁殖した個体のほうが安全ですが、流通量は少ないです。

ブリーダーなどから直接購入する方法が、健康な個体を購入するには確実です。

購入時にはきちんと自分の目で見て、体に傷がないキレイな個体をしっかりと見分けることが大切です。

スペングラーヤマガメの特徴を知ろう

ヤマガメ・リクガメの中でも小型で、大人になっても飼いやすいスペングラーヤマガメは、癒しのペットとして大人気の品種です。

ただし、初心者向けの亀ではないため、飼育するにはある程度の知識と経験が必要になります。

知名度も低い種類なので、しっかりと勉強してから飼育に挑みたいペットです。