ペットとして広く流通しているキバラガメ。
オシャレな体の模様や、のんびりした動作が人気の定番ペットです。
飼いやすく繁殖も簡単にできると定評がありますが、それゆえに気を付けなければならない点や知っておきたい特徴がたくさんあります。
キバラガメとは、どのような生き物なのでしょうか?
キバラガメとは
キバラガメは、アメリカ合衆国のバージニア州からフロリダ州にかけての東部一帯、メキシコなどに広く生息する水棲亀の一種です。
カメ目ヌマガメ科ニシキガメ属に位置します。
ミシシッピアカカガメ、カンバーランドキミミガメと共に、アカミミガメの亜種に分類されます。
異種交配によって雑種が増加傾向にあり、次々と新しい分類を増やしています。
その名前通り、甲羅のお腹が黄色く、首筋や頭にかけて黄色い線状の模様を持っています。
甲羅の背の部分は濃い緑色をしていて、黄色い線が模様になって走っています。
模様には個体差があり、様々な濃さや柄が存在します。
生まれた時は掌に納まる大きさですが、成長すると最大で30cm近くに成長します。
オスよりもメスのほうが大きく、大きさの差は2倍近くにもなります。
体重もオスが1㎏くらいに対して、メスは2㎏になるものもいます。
流れの穏やかな川や湖沼などの水辺に生息します。
静かで落ち着いた場所を好み、天気の良い日には石の上に登って甲羅干しをします。
雑食性で、岩に付着した苔や水草、カエルや貝など様々なものを食べます。
子供の頃は肉食、大人になると草食に偏る傾向があります。
人が与えた果物や野菜も食べます。
キバラガメの性格や体質、寿命
キバラガメは気性の荒い個体もいますが、基本的に大人しく、温厚でのんびりした性格をしています。
飼育方法も簡単なため、初心者でも簡単に世話ができます。
人間にも懐きやすく、慣れるとエサをねだりに寄ってきます。
スキンシップも取りやすい生物のため、子供でも楽しく飼うことができます。
変温動物のため、寒さに弱い体質を持っています。
小さい個体は特に寒さに注意が必要です。
野生下では冬眠を行いますが、飼育下で冬眠させるとそのまま死んでしまう場合が多いため、水温を20℃以上に保って越冬させる必要があります。
亀は長寿の象徴として扱われる通り、キバラガメも長生きです。
平均20年~40年くらい生きます。
子亀は小さな容器での飼育が可能ですが、すぐに大きくなるため、あらかじめ大きな水槽などを用意しておくとストレスなく生活させられます。
過度のスキンシップも亀にはストレスになるため、扱いには注意します。
水質・水温の変化に弱いため、温かく清潔な水辺が用意できる環境ならば、とても元気に長生きします。
日本での扱われ方
キバラガメはペットとして日本に多数輸入しています。
国内で繁殖させた個体も流通していますが、輸入された個体のほうがはるかに安価であるため、あまり主流にはなっていません。
同じ亀で有名な種はミシシッピアカガメですが、小さいうちは見分けや分類が難しいことから、同種として「ミドリガメ」と呼んで扱っている場合もあります。
アカガメは異種間の交配も盛んに行うため、雑種が多く、国内での見分けはさらに困難になっています。
交配を繰り返して様々な色合いや模様を持つ希少な個体も作られ、コレクターの間でも高い人気を持ちます。
飼いやすさや大人しい性格からペットとして根強い人気を持っていますが、
逃げ出したり、長期飼育が難しく捨てたりした個体が野生化し、大きな問題になっています。
日本の気候や環境に順応しやすく、繁殖を繰り返して増加傾向にあります。
そのため、日本本来の生態系を脅かす存在として、「要注意外来生物」として扱われています。
生態系保全のため、ミドリガメ類を「特定外来生物」に指定する運動も進んでいます。
キバラガメの購入方法、購入時の注意点
キバラガメはペットショップやホームセンターなどで、500円ほどの安価で購入ができます。
夏祭りの縁日などで、ミシシッピアカガメと一緒に売られている場合もありますが、見分けるのが困難です。
爬虫類を販売するイベントや、繁殖を行っているブリーダーからの購入もできます。
ネットショップの通販でも手に入りますが、個体によって模様や色合いが異なるため、自分の目で見て気に入ったものを見つけるのが最適です。
飼い主から逃げたり捨てられて野生化した個体を捕まえて飼育することもできますが、最低限の知識と、再び野生化させないための心構えが必要です。
キバラガメは海外から輸入する際に不衛生な環境に置かれている場合が多く、人体にも影響がある病原菌や寄生虫を持っている可能性があります。
可能な限り信頼できる、亀の飼育に詳しい店員のいる店で購入すると安心です。
長く付き合う根気と愛情が必要なキバラガメ
キバラガメを飼育する際には、長く生きる動物であるということを念頭に置いて、最後まできちんと育てるための根気が何よりも大切です。
飼育を途中で放棄せずに世話ができる知識と環境を整えることが必要です。
愛情をもって接していれば、どんなペットにも負けないくらい懐いてくれます。