「フトアゴヒゲトカゲ」はオーストラリア原産のトカゲで、野生のものは砂漠に生息しています。

フトアゴヒゲトカゲは比較的飼いやすい爬虫類として人気ですが、その飼いやすさとはどういうところなのでしょうか。

その飼育方法など詳しくみていきましょう。

フトアゴヒゲトカゲの原産地と野生下での生態

フトアゴヒゲトカゲの原産地はオーストラリアで、環境適応能力があるため、オーストラリアの中央部から中南部までの乾燥した森林地帯や岩石の砂漠地帯などに広がっています。

群れではなく単独で行動し、日中に活動的になり、昆虫や草花、果実などを食べて生活しています。

暑い時間帯は岩間などの日陰で休み、比較的涼しい時間帯には、岩の上などで日光浴をし、夜になれば草木や岩の間で寝る、といった生活スタイルを送っています。

ほかの個体と遭遇した場合、相手に求愛や威嚇をするときにはアゴを黒くさせて膨らませるといった興味深い行動をします。

その際、アゴの周りにあるトゲのような突起がますます「アゴヒゲ」のように見え、それが名前の由来でもあります。

フトアゴヒゲトカゲの見た目の特徴

成体の大きさは頭部からしっぽの先までいれて、約40cm~60cmくらいです。

頭部が大きく、体型はどっしりとした印象で、幅広で平べったく、アゴの周りにある太いトゲのように見える突起が特徴的です。

その細かいトゲのような鱗は、頭から背中、尻尾にかけて見られ、そのためか見た目は固そうに見えるのですが、実際に触ると少しぐにゃっとしていて意外と柔らかく感じます。

体の色はもともと砂漠などで天敵に見つかりにくい保護色になっているため、砂と同じような色が基本です。

最近ではレッド系、イエロー系、オレンジ、ホワイト、シルバー(実際はグレーっぽい)などのカラーバリエーションも増えてきました。

単にカラーを選ぶ楽しみだけでなく、どの色とどの色の組み合わせで、どんな色のベビーが生まれるかなど、繁殖目的の飼い主にとってはそういった交配の楽しみもあります。

体の色は、気分や温度、体調などからも少し変化します。

フトアゴヒゲトカゲの性質や動き、寿命

丈夫でおとなしく人に馴れやすい性質なため、手からエサを食べたり、手や肩の上に乗ったり、名前を呼ぶと来たりもします。

特に生まれて間もないベビーから育てれば非常になれやすくなります。

なれた個体なら、体をなでる等のスキンシップもでき、ハーネスをつけたお散歩も可能です。

昼行性なので、飼い主の生活リズムに合いやすいのも飼いやすさのひとつといえます。

よくオスにみられる行動で、頭を上下に振る動きを「ボビング」といい、これは求愛や威嚇をする際、のどを黒くして膨らませる行為と共に見られます。

それに対してメスは、ゆっくりと片腕を回す動きで答えますが、これを「アームウェービング」と言います。

「相手に服従する」という意味があり、オスのボビングに対してのメスの求愛行動とも言われています。

このふたつの行動はオス・メス両方にみられる行為なので他にも意味があるのでしょう。

トカゲが外敵に捕まり逃げる際などによく見られる行動で、足や尾を自ら切り捨てる「自切」というものがありますが、これはフトアゴヒゲトカゲにはみられません。

定期的な脱皮を行い、寿命は飼育下では6年~10年程と言われています。

フトアゴヒゲトカゲの購入方法と価格

主にペットショップ、爬虫類専門店での購入になりますが、毎年何回か、両生類や爬虫類の即売会を行うイベントも開催されるので、そこで購入するという方法もあります。

即売会では比較的安く購入することができますが、爬虫類専門店では、購入後に飼い方でわからないことが出てきても、スタッフに問い合わせができるという利点があります。

フトアゴヒゲトカゲの値段はだいたい2万円前後で、ベビー(幼体)は1万円程度かかります。

確かにべビーのほうが安いので、ベビーを購入しようと考える方は多いかもしれません。

しかし、大人のフトアゴヒゲトカゲに比べるとどうしても環境の変化、例えば室温の変化やエサなどの違いで、体調を崩しやすいという面があります。

トカゲを飼うのは初めてという場合は、ある程度育った個体を購入するほうが飼いやすいでしょう。

色が鮮やかでキレイなもの、珍しいものなどは高値で売られています。

フトアゴヒゲトカゲのエサと与え方

フトアゴヒゲトカゲのエサは、こども時代と大人時代では違いがあります。

こども時代には、カルシウムが豊富で、栄養バランスのよいコオロギなどの昆虫を中心にし、ミネラルを含む野菜が副食となります。

大人になると植物性の食事に移行していきます。

成長期であるこどもの個体には毎日エサを与え、大人には週3回程度で大丈夫です。

ミルワームは、コオロギなどに比べると主食として与えるにはあまり栄養バランス的にはよくありません。

しかし、とにかく食いつきがよいので、飼い主がおやつとして与える楽しみを十分に満足させてくれます。

与えられる野菜には小松菜やにんじん、大根の葉、かぼちゃなどがあります。

また、専用の人工フードも売られていて、嗜好性はそれほど高くないのですが、栄養バランスはしっかり考えて作られています。

フトアゴヒゲトカゲの飼育環境

ケージには、90cm以上の水槽など広めの飼育スペースがいいでしょう。

奥行きは個体の大きさにもよりますが、成体が40cmにはなることを考えると、奥行きは45cmくらいはあった方が良いでしょう。

日中は気温25~35℃くらいに「ホットスポット」を40℃くらいになるようにし、個体が自分で好きな温度の所を選べるようにします。

そのホットスポットを作りだすには自然の太陽光だけでは安定しづらいので、バスキングライトと呼ばれる器具を使用し、上から光を当てます。

バスキングとはランプなどの下で体を温める行為です。

変温動物は自ら体温調節できないのでホットスポットは大切な場所となります。

またフトアゴヒゲトカゲは、大量の紫外線を必要とするので、太陽光の補助的に使用する意味で紫外線ランプもあります。

夜間は20℃くらいに調節し、床材には新聞紙、コルク板、ビニールマットなどを使います。

安定感のある浅い器に飲み水を用意し、ケージに入れてやります。

オス同士はテリトリー争いになるので、同じケージには入れないようにしてください。

成体は小型のトカゲも食べるので、ベビーと成体も一緒にしないようにしましょう。

フトアゴヒゲトカゲの特徴を知ろう

このように、フトアゴヒゲトカゲは爬虫類の中でも最もペットとして人気があり多く飼われています。

その生態にはユニークな行動がたくさんあり、またその見た目の愛嬌や愛くるしさも魅力です。

爬虫類が苦手だった人を愛好家に変えてしまうほどに惹きつけるものがあるトカゲです。

もともと攻撃性も低いので人間に馴れやすく、丈夫で環境適応能力があるので、本当に飼いやすいペットといえるでしょう。