生き物好き、特に爬虫類や両生類などのような生き物が好きな人なら見分けがつかないということはないとは思います。
ですが、やはり爬虫類や両生類に普段から関わらない人は「ヤモリ」と「イモリ」の区別をつけることが難しいのではないでしょうか。
そこで、ここではヤモリとイモリがどう違うか、これを読めばもう間違えないという区別の仕方をご紹介します。
名前の由来の違い
ヤモリとイモリの違いは、実は漢字にしてみると簡単にわかります。
ヤモリは「家守」もしくは「屋守」です。
「守宮」という字もありますが、これは古代中国でこう読んでいるものを当て字しただけのものなので無視してかまいません(現代中国語では「壁虎」と言います)。
一方、イモリは漢字にすると「井守」です。
家屋を守るものと、井戸を守るもの、これだけでどっちがどっちだかなんとなくイメージできるのではないでしょうか?
種族の違いとすみかの違い
生物学的な分類では、ヤモリは爬虫類で非常に大雑把に言えばトカゲの仲間です。
一方イモリは両生類で、簡単に言うと水中生活をする時期と陸上生活をする時期、そしてエラ呼吸をする時期と肺呼吸をする時期があります。
つまり、ヤモリは完全に陸上生活をしていますが、イモリは主に水中で生活します。
とは言っても、双方ちょっと変わった生活をします。
まずヤモリは中国語で「壁虎」とも呼ばれるように、地面よりも壁面を好みます。
そして、森林などよりも人家に住むのを好むという一面があるので、都市部でもよく見られます。
特に夏場などは、自動販売機の明かりに集まった虫を食べに来ている姿を目にすることがあります。
時には室内に現れることもあります。
イモリは両生類で、カエルで言えばおたまじゃくしにあたる幼体のときは水中でエラ呼吸をして過ごします。
産まれたてのイモリの幼体には手足が生えていませんが、成長につれて手足が生えます。
しかし、カエルのようにしっぽがなくなったりはせず、そのままです。
実はイモリはそれからしばらく陸上生活をします。
湿り気がある森の土壌で、小さな土壌生物などを食べて暮らすのです。
そして成体になると再び水中生活に戻りますが、今度はエラ呼吸ではなく肺呼吸のために、ずっともぐりっぱなしでいることはできません。
見た目のちがい
ヤモリとイモリはシルエットだけにするとちょっと似ている部分もありますが、色々な点で見た目が違います。
世界には色々な形、大きさ、色のヤモリとイモリの仲間がいるので、ここでは日本原産のニホンヤモリとアカハライモリに絞って説明します。
まずニホンヤモリは灰色の体をしています。
個体によって白っぽいものもいれば黒っぽいものもいますが、暗闇に溶け込めるような地味な色です。
アカハライモリは、背面は黒く、お腹はその名の通り赤というかオレンジに近い色に黒の斑点があります。
ヤモリの尾は円錐状ですが、イモリの尾は水中で泳ぎやすいようにヒレ状になっています。
しかし、形態上で最大の違いは手足です。
ヤモリはガラス面でも垂直に張り付いて移動できます。
そのために、ヤモリの手足の指先は先端に大きく膨らんでいます。
ヤモリがガラス面でも貼り付けるのは、アマガエルのように吸盤があるからではなく、指先にごく細かい毛が並んだ「趾下薄板」というものがあって、細かい毛がガラス面の目には見えない小さな凸凹に噛み合わさっているためだと考えられています。
色も大きさも違う外国のヤモリでも、この指先が膨らんでいるという点は共通しているので、ペットショップで似たようなトカゲと並んでいても見分けがつくはずです。
ヤモリの飼い方
ごく身近にいる爬虫類であるニホンヤモリをわざわざ飼育することもないと考える人もいるかもしれませんが、飼ってみるのも楽しく、また飼育も簡単です。
また、飼い方を知れば両者の違いはよりはっきりわかると思います。
まずケースは普通のプラスチックケースでかまいません。
壁に住む生き物なので土を入れる必要もないです。
ケースの高さに合わせた板などを立てかけておくと、その隙間を隠れ家にするでしょう。
エサはミルワームやコオロギなど。
ミルワームは栄養バランスが悪いので、コオロギが推奨されます。
他に小さなバッタやクモなども入れてあげれば食べます。
爬虫類ですが夜行性なので日光浴の必要はありません。
むしろ日光浴させると死にます。
自然化では壁に結露した水などを舐めているので、水は容器ではなくケースの壁面に霧吹きして与えます。
蚊やゴキブリなどの害虫を食べさせるために室内に放し飼いするということもできなくはありませんが、フンはしますのでその覚悟だけはしておきましょう。
イモリの飼い方
アカハライモリはレッドデータブックに記載された希少種なので、自然のものを見つけても取らないでください。
アカハライモリを飼いたいときは、ペットショップで売られている養殖個体を購入しましょう。
イモリは水の中で生活するので、プラスチックケースや水槽に水を入れて飼います。
ただし、エラ呼吸ではなく肺呼吸なので、上陸できるような部分も必要です。
しかし、逆に肺呼吸であるため、水中に空気を供給する必要はありません。
エサはペットショップで売られている冷凍イトミミズを与えます。
ただし、冷凍したままだとお腹を壊すので、解凍してから与えます。
実はアカハライモリは大変長生きで、20年以上生きた例もあるので、長く大切に育ててあげましょう。
似てるけど違う、ヤモリとイモリ
家守と井守、この覚え方でどちらが爬虫類でどちらが両生類なのか、わかるのではないでしょうか。
見た目は似てるヤモリとイモリですが、種類も生まれ方も違っています。
もし興味がある方は、両方の種類を飼ってみてはいかがでしょうか。