最近、トカゲの飼育が、密かに人気を得ています。

爬虫類の中でも非常におとなしく、また種類によっても様々な生態をしており、観察する楽しみもあります。

そんなトカゲを飼う際のポイントをご紹介します。

トカゲは独りが好きな生き物

トカゲは基本的に、群れを作らず、単独でいる事を好む生き物です。

人に飼われる場合もこの性向は変わらず、飼い主にもあまり懐きませんし、スキンシップも好みません。

ですので、例えば動物とコミュニケーションを取りたい、いつも接していたいという嗜好の方にとっては、あまり飼うには向かない生き物です。

ベタベタと触ったり、いつも見ている時間が長かったりすると、それがストレスとなって病気にもなりかねません。

単独を好むという事は、あまり手をかけなくても良いという事でもあるので、その点は飼い主としても楽だとも言えます。

自分の好みと相談して、飼う生き物をトカゲにするかどうかを考えましょう。

エサは生きた昆虫

トカゲを飼えるかどうかの最初の関門と言えます。

ほとんどのトカゲは、コオロギやミルワームなどの昆虫を、生きたまま食します。

フトアゴヒトトカゲのように、人工エサでも飼育可能な種もありますが、栄養価から言っても、推奨されている飼育方法ではありません。

虫が苦手で触るのも嫌という方、あるいは虫は平気でも、生きたまま捕食される光景が耐えられないという方は、残念ながら飼育は難しいでしょう。

捕食というのは、生物界では生きていく上での不可欠な行為ですが、逃げ場のないケージ内に放り込んでトカゲに食べさせるという行為は、できない人がいても仕方ないかもしれません。

自分が耐えられるか不安なら、ペットショップに行って事情を話し、店員さんがトカゲにエサをやっている所を見て、徐々に慣れていくという方法もあります。

温度の変化に気をつける

トカゲを含む爬虫類は変温動物である為、体温の変化を自分の力でコントロールできません。

私たち人間が恒温動物なので忘れがちですが、トカゲにとって周囲の外気温は、そのまま身体の調子に直結する重要な要素です。

その為、飼う時には、スポットライトや赤外線保温球を用いて、温度を調節してあげる必要があります。

単純にケージ全体を暖かくすれば良い訳ではなく、体温調節のために、温度の高い場所と低い場所を、それぞれ確保しなければなりません。

トカゲの種類によっても、適切な温度は異なりますから、購入する前にお店にきちんと確認しておきましょう。

また、トカゲの脱皮には紫外線が不可欠ですので、温度の事だけでなく、紫外線を照射できるランプ等の設備も必要です。

住処はトカゲの生態に合わせて調整

グリーンイグアナのような大型種を除き、トカゲは基本的にケージで飼うことになります。

ケージ選びにあたっては、十分に歩き回れる広さと、トカゲが存分によじ登っても問題ない高さがある事が条件ですが、飼いたい種によっても適正なサイズは異なります。

広さについては、一辺の長さがトカゲの身長の倍以上あるものを選んでおけば、問題が起こる事はほぼないでしょう。

高さに対しては、種類ごとに調べ、お店にも聞いた上できちんと選ばなければなりません。

樹上性の場合はもちろん、地上で暮らす種であっても、トカゲのジャンプ力は中々のものです。

十分な高さを確保した上で、通気の為の小さな穴を開けた蓋を忘れずにしておきましょう。

また、暗い所に隠れたがる種も多くいますので、その場合は隠れ家用のシェルターも忘れずに用意してあげる必要があります。

トカゲによく起こる病気とは

トカゲの病気では、クル病が代表例として挙げられます。

カルシウムやビタミンD3の不足から起こる病気で、体中の骨が柔らかくなり、背骨の陥没や歩行困難に加えて、四肢の痺れや痙攣の発作等の神経症状も発症する事があります。

初期の段階なら、食事へのカルシウム補充や紫外線量の増加で回復する見込みもありますが、症状が進んでしまうと、特に骨の異常は完治不可能の場合も少なくありません。

カルシウムについては、日頃の食事において十分に摂取できるよう、常に気を配りましょう。

ビタミンD3は、紫外線の照射により体内で生成されますので、紫外線ランプの設置や、まめに日光浴をさせる事で解決できます。

ただし、あまり熱心に陽の光を当てすぎると、今度は熱射病の恐れもあります。

こちらも、トカゲにとっては死に繋がりやすい病気なので、必ず日陰を作り、またトカゲが日陰に逃げ込むようなら、すぐに中止する等の注意を払いましょう。

トカゲと遊びたい時は控えめに

野生のトカゲは物陰に隠れている事も多い為、その生活模様をじっくり眺める事はできません。

せっかく飼えたのだから、少しくらい観察したい、もしくは遊びたいと思う方もいらっしゃる事でしょう。

トカゲをケージから取り出す時に気を付けなければならないのは、お腹の部分を持ったりして、四肢が宙に浮いた状態にしない事です。

木や壁などにぴったり張り付いているのがトカゲの生活スタイルですので、手足が宙に浮いた頼りない状態というのは強い恐怖を感じるのです。

「持つ」のではなく、掌などに「乗せる」というのが正しいやり方です。

また、トカゲが怖がらないからと言って、人間に懐いたと勘違いをしないようにしましょう。

警戒心が薄れる場合もありますが、それは単純に人間を見慣れただけであり、トカゲが犬や猫のように、人に懐く事はありません。

あくまでも一匹で暮らすのが本来の姿なのだという事を忘れず、時間や頻度に注意したスキンシップが大切です。

トカゲを飼おう

トカゲ買う際のポイントを並べてみると、思っていたよりも注意事項が多く、難しそうに感じるかもしれません。

しかし、現在は爬虫類を飼う人も増え、それに伴って、必要品も様々なものがお店に並び、情報も得やすくなっています。

一定の設備が整い、エサやりなどのコツが掴めれば、スペースを取らず、大きな鳴き声を上げる事もないトカゲは、飼いやすいペットと言えるでしょう。