猫は好奇心の強い生き物。
子どもが美味しそうにバナナを食べていると、近寄ってきてクンクンと匂いを嗅いだりします。
猫の食べ物の嗜好性は、生後6ヶ月頃までに口にした食事によって決まるとされ、子猫の頃にキャットフードしか与えられなかった猫は、人間の食べ物にもあまり興味を示さません。
その一方で、栄養の偏りを防ぐ本能からか、様々な食べ物にトライするチャレンジャー猫も存在するよう。
バナナに興味を示す子もいれば、そっぽを向く子も。
もし愛猫がバナナに興味をもったら、あげる際にはどのようなことに注意したら良いでしょうか。
バナナの皮はむいてあげよう
バナナには様々な糖質が含まれています。
これらのうち、ブドウ糖や果糖は消化が速いのでエネルギーに変換されやすく、ショ糖やデンプンは消化に時間が掛かるので腹持ちが良い、という両面の特性を併せ持っています。
そのため、スポーツ選手が栄養補給に利用しており、テニスの試合中に選手が頬張っているのをテレビで観た方もいるのではないでしょうか。
またバナナにはマグネシウムが豊富ですが、マグネシウムはエネルギー代謝を助け、疲労回復に効果があります。
しかし、輸入される果実には、腐敗やかびを防止するために収穫後農薬(ポストハーベスト)が塗布されることがあります
ですが、ほとんどのバナナには使われていません。
ですから、猫が皮を直接舐めても深刻な心配には及びません。
とは言え、やはり外部にさらされている以上、何が付着しているかわからないので、ちゃんと皮をむいてからあげましょう。
バナナを一度にあげて良い量は?
バナナはご飯の半分のカロリーで、リンゴの3倍のカリウムが含まれるバランス栄養食です。
カリウムは塩分の調整や筋肉の収縮に必要で、利尿作用もあります。
体に良いからと無理強いはNGですが、喜んで食べるからと言ってあげ過ぎることにも注意が必要。
バナナに豊富に含まれるマグネシウムやカリウムは、適量なら健康に良いのですが、過剰に摂取すると膀胱炎や尿路結石のリスクを高めます。
平均体重が3~5kgとされる標準的な猫の場合、一度にあげるのは先端なら大人の親指程度、輪切りなら長さにして1cmくらいが目安です。
食物繊維も豊富なので、下痢の原因にもなります。
また、冷蔵庫から出したばかりの冷たいバナナは消化器を刺激するので、すぐにあげるのは避けたいですね。
黒い斑点は大丈夫
バナナが熟してくると皮に現れる黒い斑点は「シュガースポット」と呼ばれ、シュガースポットが出たバナナは免疫力を高める効果があります。
また、皮をむいたままにしておくと黒くなるのは、バナナに含まれているポリフェノール類が酸化されるためで、長時間出しっ放しにして腐らせたのでなければ大丈夫です。
ただし、古くなって人は食べられないから猫にあげよう、という考えであげるのはよしましょう。
犬や猫のおやつとして市販されているバナナチップスも、あげる際は同じように適量を守るようにしましょう。
スライスしたりしてトッピングに使うときも、あげ過ぎにならないよう注意してください。
高齢の猫、療法食、服薬中の猫には禁物
歳をとって腎機能が弱っている猫の場合、カリウムの過剰摂取は高カリウム血症に結びつくリスクがあります。
高カリウム血症は最悪の場合、死に至る危険性があります。
腎機能が低下しているために療法食をあげている猫や、なんらかの病気で服薬中の猫にも、むやみにあげない方が良いでしょう。
このような猫がちょっとバナナを舐めたからと言って、すぐに重篤な症状に結びつくものではありませんが、ご心配なときは獣医さんに相談してください。
その他の注意すべきこと
動画投稿サイトで、キュウリに驚いてジャンプする猫や、バナナと戦う猫をご覧になった方も多いのでは。
これらの動画で猫が驚くのは、急に背後に現れたから(猫のサイズから言うと、自分の体長の半分くらいの物体です)というのが大きな原因のようですが、バナナのような細長いものは天敵のヘビのように見えるから、という説もあります。
もしバナナの存在そのものを畏れるようなら、驚かせて楽しむのはちょっと面白いけど考えもの。
猫はストレスを感じやすい生き物で、ストレスは病気の発症に結びつくものだし、何より嫌われちゃいますよ。
バナナをあげるときは量に注意
高カリウム血症のところに記したように、カリウムの過剰摂取は猫にとって深刻な病を引き起こすことがあります。
人間の食事の中でカリウムが多く含まれるものには、パセリ、よもぎ、味噌、アボカドなどがあります。
このうちアボカドにはペルシン(Persin)という毒素があって、人には無害だが猫には危険な10大食物として、よく知られているタマネギやレーズンなどと共に海外のサイトにも紹介されています。
バナナも適量を守ると健康に良い食材ですが、何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。
あげる分量に注意して、愛猫と長く過ごしていきましょう。