膝の上にちょこんと乗ったり、いっしょに布団に入ってきたり。
そんなかわいい猫ですが、いっしょに暮らすときには、その抜け毛というのは結構厄介な問題だったりします。
気が付いたら洋服にびっしりと毛が付いていたなんてことはしょっちゅうですよね。
毎年のように夏毛と冬毛に抜け替わる猫の毛ですが、その違いはどういう部分にあるのでしょうか。
猫の毛の特徴
猫の毛と一口に言っても、実はオーバーコートとアンダーコートという機能の違う二種類の毛を持っています。
私たちが普段目にしている猫の模様などは、オーバーコートという外側にある毛並みによるものです。
オーバーコートは、猫の皮膚を様々なものから保護するための役割をしています。
紫外線から皮膚を守ったり、皮脂によって水弾いたり汚れを着きにくくして、体を衛生的に保つのに役立っています。
一方、アンダーコートは体温を逃がさないようにする保温の役目をしています。
細くてフワフワとしたやわらかい毛で、これがよく言われる「猫っ毛」というイメージの毛です。
猫の毛は一年を通して生え変わっているのですが、換毛期には抜ける毛の量が一時的に多くなります。
特に、アンダーコートが多い猫ほど換毛期の抜け毛が多いと言われています。
猫の夏毛の特徴
猫には季節に合わせて、一年のうちで春と秋の2回、毛の抜け替わる換毛期があります。
人が衣替えを行うように、猫も次の季節に備えて被毛の準備作業をしています。
春にかけては少し固めの毛が粗く生えている状態になり、これが夏毛と呼ばれる毛です。
冬に体を温めてくれていた毛布みたいな毛を落として、さっぱりとした夏使用になります。
夏毛は密度が低く毛が固いので、毛の間を風が通るようになり皮膚からの放熱を助けます。
通気性を良くして、暑い夏に熱がこもるのを防ぐというのが大きな役割です。
冬にもふもふになった要らない毛を落とすので、この時期はいちばん抜け毛が多くなります。
抜け落ちる毛も細い毛が多いので、猫の抜け毛に最も難儀するのは、このタイミングの換毛期ではないでしょうか。
猫の冬毛の特徴
夏が終わり秋になると、寒い冬に備えるための身支度が始まります。
今度は体の周りには細い毛が密集して生えるようになり、フワフワとした感じになってきます。
これが冬毛と呼ばれる毛で、夏毛よりも毛が細く、そしてたくさんの毛で被われるようになります。
この毛は、体から熱を逃がさないようにする保温機能を果たしています。
アンダーコートは一つの毛穴から何本も生えているので、冬毛ではアンダーコートが増えてモコモコになります。
夏には凛々しかった猫も、一回り大きくなったり、丸っこくなったりするような感じになります。
猫には汗腺が少なく被毛の調整が大切
猫は、もともとエジプトなどの暑い地方が起源だと言われています。
そのため、ある程度の暑さには耐性があると言われていて、寒さよりも暑さに強いんだそうです。
しかし、体が毛で被われていることに加え、人間のように汗をかいて体を冷やすことができません。
そのため耐性があると言っても、暑い時期の体温調節は苦手という特徴があります。
猫には肉球にか汗腺が存在していません。
あの狭い肉球の部分でしか汗をかくことができないので、他の方法でうまく暑さに対処する必要があります。
季節によって毛の調節をしているのは、そうした環境に合わせた必要な習慣です。
夏の日中に家の中の涼しい場所にいたり、車の下の日陰で寝そべっているするのも、自分で涼しい場所をうまく見つけているのです。
猫の換毛期の抜け毛に注意
このように、毛で上手に季節の移り変わりに対応しているので、どうしても換毛期の抜け毛は仕方のないものです。
しかし、「どうせ抜けるのだから」と言って、ブラッシングを怠ったりすると思わぬトラブルになったりします。
猫は自分で体をなめてグルーミングをすることがあります。
通常、体内に入ってしまった毛は排泄されたり、吐き出したりして体外に輩出しています。
しかし、うまく排出できずに、大量の毛が消化器官に残ってしまったりすることがよくあります。
食欲がなくなったり、嘔吐や下痢をするような毛球症という病気があり、悪化すると手術が必要なケースもあります。
普段からこまめにブラッシングをしてあげたり、抜け毛対策をしっかりとしてあげるようにしましょう。
ねこ草やグルーミンググッズもたくさんあるので、抜け毛の多い換毛期には特に注意して見てあげてください。
猫の冬毛と夏毛との違いを知ろう
夏毛と冬毛は、猫が体温を調節するのに非常に大きな役割を果たしています。
毎年しっかりと抜けてくれるたくさんの毛には本当に困ってしまいますが、換毛期はなくてはならないものです。
モコモコの冬毛のかわいい姿も、しゅっとスリムな夏毛の猫も、どちらもかわいい魅力に溢れていますよね。
毛の長い猫ほど夏と冬の装いの違いにびっくりさせられてしまいます。
どんな猫もそうですが、やっぱり換毛期にはたくさんの毛が抜けてしまいます。
その仕組みや役割を理解して、ちゃんと猫の衣替えの手伝いができるように協力してあげたいものですね。