褒められて伸びるのは人間だけじゃありません。
猫もそうです。
ただ人間の褒め方と、猫の褒め方はちょっと違います。
そこで今回は猫の正しい褒め方をご紹介します。
猫に褒め言葉は通用しない
ただ言葉でほめても、猫には伝わりません。
飼い主からの声掛けは、猫にとってうれしいもののひとつであることは間違いないのですが、「えらいね」とか、「おりこうね」とか言われても、猫にはちんぷんかんぷん。
なぜなら猫には人間の話す言葉の意味が通じないからです。
それに加えて、飼い主の声はたえず聞こえてくるもの。
褒めるときだけしか声を発しないというのなら、話は別ですが、そんな人はいないですよね。
そのため褒め言葉を使った声掛けは、猫を褒めるのには向いていません。
食べ物で褒める
言葉でだけで褒めるのは難しいので、ご褒美を用意しましょう。
ご褒美と言えば食べ物ですが、いつも食べているものはご褒美になりません。
それに、猫は食べ物への執着がそれほど強い生き物ではありません。
ですから、その猫にとって、何が一番のご馳走なのかを、日頃から探しておく必要があります。
そして、それを見つけたら、褒めるときのためにとっておいてください。
一種類だけではなくたくさん見つけましょう。
そして与えるときは少な目でOKです。
飽きるほど与えたら、特別ではなくなってしまいます。
少しだから、よりおいしく感じるのです。
スキンシップで褒める
猫にとってのご褒美は食べ物だけではありません。
特別なスキンシップもご褒美です。
特別という言葉がついているのは、いつもしていることとは差をつけないと、ご褒美にならないからです。
猫がされて、一番喜ぶことをご褒美にして、日頃はそれを意識してしないようにします。
喜ぶものがわからないというときは、自分で決めてしまえば良いのです。
例えば「頭を撫でる」ことに決めたら、日頃はそれを禁じ手にして接します。
褒めたいときだけ、手の平で優しく猫の頭を触ります。
そのときはメリハリをつけた方が良いので、なでる前はできるだけ無視します。
褒める時がきたというその瞬間に、「◯◯ちゃん」と言って満面の笑顔で撫でます。
頭を撫でられるときに、飼い主の注目と声掛けが同時に起こるので、それを何度も何度も繰り返すうちに、撫でられることが嬉しいことになります。
遊んで褒める
遊びもご褒美です。
猫が大好きな遊びがあると思います。
この場合、道具を使う遊びの方が、ご褒美としては扱いやすいです。
猫が褒められているということがわかるように、玩具を見えないところに隠しておいて、褒める時がきたらパッと目の前に持っていきます。
驚かせてはいけませんが、こんなふうにメリハリをつけることが、ご褒美の意味を強調します。
どんなときに褒めたら良いのか
行動分析学によると、ある行動の直後に嬉しいことが現れると、その行動を繰り返すようになると言います。
最初は、行動をするとご褒美をもらえるということだったのが、繰り返すうちに、ご褒美をもらいたいという要求を満たすために自ら行動を起こすようになります。
人や動物に、特定の条件反射を引き起こすように学習させることを「条件付け」と言いますが、もちろん猫でもできます。
これを利用すれば、褒めることを通してしつけることができます。
鳴いたり、噛んだりしたことを叱るのではなく、鳴きやんだら、ご褒美をあげる。
噛むのをやめたら、ご褒美をあげる。
こうして猫の学習能力をうまく引き出してあげましょう。
ただ、条件付けを定着させるためには、褒めるのは行動の直後でなくてはいけません。
厳密にいえば0.5秒以内が理想なのですが、現実問題としてこれはちょっと大変ですね。
動物の訓練ではないので、そこまできちんとやる必要はないのですが、それでも「ちょっと今忙しいから、後でご褒美ね」なんて言っているようでは、猫は何を褒められたのかわかりませんよね。
できるだけその場で褒めてあげましょう。
褒めるタイミングが良いと、褒められたことを元に猫も成長していきます。
一人で留守番すること、爪を切られること、キャリーバッグに入ること、そんな苦手なこともごほうびと組み合わさって何度も経験すると、だんだん平気になっていきます。
ご褒美は先に見せてはいけない
ごほうびでしつけることと、エサでつることは全く違います。
エサでつるのは、エサを見せたときだけに決まった動きをするということで、先に食べ物があります。
例えば、キャットフードの缶を見せて、猫をおびき寄せるみたいなことです。
ご褒美を使って教えるのは、常に行動が先です。
ある行動をしたら、ご褒美がもらえる。
これが繰り返されると、猫は行動を手段としてご褒美を手に入れようとします。
ですから、ご褒美はいつも隠しておかなくてはいけません。
ご褒美を使って上手く猫を褒めよう
猫は言うことを聞かないという話はよく聞きますが、褒めて楽しくしつけるのだったら、イライラせずに続けられますよね。
褒めて嫌な気分になる猫はいませんから、飼い主のことがもっと好きになることでしょう。