時として飼い主は、心を鬼にして嫌がる愛猫をケージに入れないとけない場合があります。

例えば、ケガや病気をして動物病院へ連れて行かないといけないとき、また災害が起こって避難しないといけないケースなどがそれです。

そのとき、ケージに入れられる猫の心理とはどんなものなのでしょうか?そしてその対策は?いくつかの観点からご紹介します。

自由を失うのが嫌だから入りたくない

猫というのは誰でも知っての通り、自由気ままな生き物です。

束縛されることを何よりも嫌います。

自分の気持ちの赴くままに行動し、人間とは親子のような関係を結び、上下関係というよりもどちらかといえば「フラット」な関係になります。

そんな気質を持つ猫にとって、狭くて慣れない場所に閉じ込められるのは、たまったものではありません。

「猫は狭い場所が好きではないのか?」という疑問が湧いてくるかもしれません。

いくら狭い場所であっても四方八方を障害物で囲い込まれた怪しげな空間の中に、自ら進んで入りたいとは思いません。

それでも入れないといけない事情があれば、ケージの中の空間を少しでも居心地が良くしましょう。

クッションを入れるなどしてくつろぎやすいものに作り替えておくことも良いでしょう。

普段の生活の中でその場所に慣れ親ませておくと抵抗感も少なくなります。

そうすることでいざとなったとき、愛猫が感じる違和感や抵抗感を少なくすることが可能になるでしょう。

洗濯ネットを使う

愛猫がケージに入れられたときに感じる一番の不安・・・それは、「命」に直結する不安です。

保健所に連れて行かれ殺されるのではないか、または飼い主の都合で知らない土地へ捨てられるのでないかという心理が働きます。

本能で生きる動物は生・死に関わることに対してとても敏感な反応を示します。

人間に飼い慣らされて安心できる環境の中で生きて来た猫も、そういった鋭さは失っていません。

ケージという「檻」の中に入れられた愛猫はとても不安に駆られ、扉に手をやって「ここから出せ」と、にゃあにゃあと泣くように叫び出します。

そしてしばらくすると震え出します。

飼い主にとってはそんな愛猫の姿を見ていられません。

そんなときはケージを使うよりも、100円ショップでも売っているような「洗濯ネット」を使うようにしましょう。

ケージのように堅くなく、柔らかい肌触りで猫の形に合わせ広がってくれます。

穴もたくさん開いているので息苦しくなく、呼吸もきちんとできます。

何よりも飼い主が抱っこしてあげられるので、肌のぬくもりが伝わるスキンシップができ、ケージの中に入れるよりも不安な気持ちを抑えてあげることができます。

ケージの中で長時間過ごすことが必要になる場合は、一通りの生活用具を揃える

ケージの中で過ごすのが短時間で済む場合は、それほど気を遣う必要はないでしょう。

その中で長い時間にわたり生活することが必要な状況の下では、ケージの中に色々と揃えないといけないものがあります。

それは猫の生活用具一式です。

キャットフードや飲み水が入ったお皿、排泄ができる場所(砂の入った小さめのケース)、暇つぶしができるオモチャ、猫や飼い主の匂いが付いた布などを揃えましょう。

猫は自分や飼い主の匂いが付いている物がそばにあると、安心して安らげます。

匂いを通していつもと同じ場所にいるような感覚にひたることができ、不安を少しでも和らげることができます。

また、生活に必要なものが一式揃っていれば、その狭い空間の中でも何とか日常を営めます。

ただし、多少の運動不足になることが避けられませんので、オモチャを使って遊んであげるよう気を遣いましょう。

猫の特性を考えて、少し高めの場所に配置したり、風通しをよくしたりする

猫には高い場所が好きなことや、ジメジメしていないカラッとしたところが好きなこと、まぶしくなくて、うるさくない環境が好きだという特性があります。

ケージの中から出たいという気持ちを少しでも抑えるためには、生活に必要な物を用意するのと同時に、その特性に応じた生活環境を整えてあげないといけません。

それは、地面にべったりとケージを置くのではなく、少し高い場所に置いてあげ、風の通りが普通にあって湿気が少なく、静かな場所を選択するということです。

日差しが直接降り注ぐところは暑くなりすぎるので適しません。

そして、愛猫が眠るときはケージに毛布などをかぶせ、周囲の状況に気を取られず安心して寝られるようにしましょう。

そうすることでストレスを軽減でき、ケージの中でも何とか我慢して生活できるようになります。

ケージに入れても出たがってしまう猫の対処法を知ろう

このように猫はケージの中に入れられることを基本的に嫌がる生き物です。

その嫌がる気持ちを少しでも和らげてあげるためには、飼い主がきちんと気を遣って、生きやすい環境を整える必要があります。

神経質で繊細な愛猫のために、「工夫」をしましょう。

無骨で殺風景な狭い空間に、そのまま入れることがあってはいけません。