猫の寿命は以前と比較すると、各段に長くなりました。

完全室内飼いをしている猫の場合、平均寿命は約16歳です。

ペットはもはや愛玩動物ではなく、家族同然の存在ですので少しでも長生きして欲しいものですが、寿命が長くなった事で病気にかかる老猫も増えています。

老猫はどのような病気にかかりやすいのでしょうか。

腎臓病

猫は特に腎臓病を起こしやすい、動物と言われています。

老猫の場合、慢性腎不全を発症しやすいのが特徴です。

慢性腎不全は徐々に腎臓の機能が低下し、機能不全を起こす病気です。

腎臓は老廃物や余分なミネラルを、尿として排泄する働きがあります。

加齢や感染症などが引き金となり、腎臓の機能が衰える慢性腎不全になってしまうと、体内に老廃物などが溜まってしまい尿毒症といった、命を失う危険性のある大きな病気を招く恐れがあります。

慢性腎不全になってしまうと、多飲多尿になったり痩せたりするケースが多いので、老猫にこのような症状が現れたら、すぐに獣医師に相談しましょう。

尿路結石

尿路結石も腎臓病と同じように、猫に多い病気の1つです。

腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結晶や結石ができる病気で、尿道に詰まってしまうと尿毒症を起こします。

尿路結石にはマグネシウム由来のストルバイト結晶と、カルシウム由来のシュウ酸カルシウム結晶という2つの症状があり、このうち7歳以上の老猫の場合はシュウ酸カルシウム結晶による、尿路結石を発症しやすいと言われています。

トイレに行く回数が増えたり、トイレに行っても尿が出ない、トイレの際に痛がる、尿に血が混じるといった症状が特徴です。

尿が詰まるだけでなく、結石が膀胱を傷つけてしまうと膀胱炎を起こすケースもあります。

また、尿が詰まり老廃物などが体内に溜まると、尿毒症を発症し命を落とす場合もあるので、注意したい病気です。

ガン

猫もガンを発症する動物です。

老猫の場合、リンパ腫と乳がんを発症するリスクが高いと考えられています。

リンパ腫は主に、猫白血病ウイルスに感染している猫が発症します。

リンパ腫を発症させない為には、子猫の頃からワクチン接種を徹底し、完全室内飼いにするなど、他の猫との接触を避ける事が大切です。

放射線治療や化学療法、免疫力を下げないようなケアを行います。

乳がんの発症原因は、まだはっきりとは分かっていません。

10歳以上のメス猫に多く見られます。

もし乳がんが見つかった場合は、切除し放射線治療や化学療法で治療を行うケースが一般的です。

1歳未満で避妊手術を行えば、乳がんの発症リスクは下がると言われています。

口内の病気

老猫の場合、加齢によって歯が抜けるケースがあります。

また、注意したいのが口内炎です。

歯に歯石が溜まったり、感染症に感染したりなどによって起こります。

歯茎が赤く腫れ、よだれが出てしまう他に、症状が重くなってしまうと、歯茎の痛みによって食事はもちろん、水を飲む事さえできなくなってしまいます。

口内炎は子猫のうちから、歯磨きを習慣にする事で予防できます。

ただ、猫は口の中を触らせてくれない事が多くなります。

歯磨きがどうしてもできないという場合、歯石除去効果のあるフードなどを試してみるのもオススメです。

口内炎になってしまった場合は内服薬やレーザー治療、抜歯して痛みを和らげる治療法などがあります。

便秘・排泄障害

年齢を重ねると食事や運動の量が減ってしまい、便秘となってしまう老猫が増えます。

便秘と聞くと軽く思ってしまいますが、猫の場合は巨大結腸症という病気を招く恐れがあるので注意が必要です。

巨大結腸症は便が溜まり、結腸が巨大化する病気です。

内服薬や食事療法で改善されない場合、外科的手術を行うケースもあります。

便秘と侮らず毎日どのくらいの排泄があるか、チェックしてみましょう。

また、加齢によって便だけでなく尿が出にくくなる猫もいます。

心臓病

老猫は心筋症という心臓の病気を、引き起こすケースが増えます。

心筋症は発症原因が分かっていないので、予防が難しい病気です。

ですが早期発見・早期治療を行う事によって症状を緩和したり、症状の進行を抑えたりする効果も期待できます。

心筋症の初期は、さほど症状が出ません。

症状が進むと元気が無くなったり、食欲が低下し始めます。

老猫の場合、加齢で動きが鈍くなったり食欲が無くなったりするので、心筋症かどうかの見極めは難しいのが現状です。

ですので、少し様子がおかしいなと感じたら心筋症も疑い、動物病院を受診してみましょう。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気です。

動きが活発になり、一見、元気に見えるのですが、食欲があるのにも関わらず、痩せる場合があります。

また、落ち着きがなくなったり攻撃的になったりするなど、性格が変わったように見える点も甲状腺機能亢進症の特徴です。

この他にも多飲多尿になる、毛づやが悪くなるといった症状が現れます。

8歳以上の猫に多く発症する病気ですので、このような症状を感じたら早めに治療を行いましょう。

老描の病気は早期発見が大切

このように、老猫がかかる病気は様々です。

また、これらの病気以外にも猫がかかる病気は、他にも色々とあります。

老猫は体力も衰えているので、病気になってしまうと症状も重くなる傾向にあります。

少しでも長生きしてもらうには毎日、猫の様子をチェックし病気を早期発見・早期治療を行う事が必要です。