最近は完全室内飼いの猫が増えたせいか、かなり高齢まで生きる猫も多くなってきています。
人間がそうであるように、猫も高齢になるとあちこちにガタがきます。
老化によって一番なりやすい病気のひとつが慢性腎不全で、放置しておけば命に関わります。
ただ、猫の腎臓に病変が起きているサインは、行動を見ていればある程度分かります。
そこで、猫の腎臓病のサインについてご紹介します。
尿の量や回数が増える
まず知っておいてほしいのは、猫は砂漠由来の動物なので、尿の濃縮率が高いということです。
これは水の少ない砂漠でも生きていけるよう、水をあまり飲まなくても体内の有害成分であるBUNやクレアチンを排泄できるようにするためです。
尿の濃縮は腎臓で行われていますので、濃縮率が高いということは、それだけ腎臓に負担がかかっているということにもなります。
問題は、腎機能が衰えてくると、この濃縮がうまくいかなくなってくることです。
これは加齢や糖尿病などが原因で、腎臓で尿の濃縮を行っているネフロンという組織が壊れてしまっているためです。
濃縮がうまくいかなければ、体内の有害成分を十分に排泄できません。
体を正常に保つためには、尿の量自体を増やさなくてはならなくなります。
結果として尿の量や回数が増えていくことになり、猫トイレの掃除の頻度が増えていくことになってしまいます。
これは気を付けていれば気づきやすいサインのひとつです。
問題はこうした状態が続くと、さらに腎臓に負担がかかって、ますます腎機能が衰えてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
また、猫の腎機能は衰えると回復しませんので、放置しておくと取り返しのつかないことになってしまいます。
尿の量が増えてきたなと思ったら、早急に獣医さんに診てもらうのが腎臓病の進行を防ぐための最善手と言えるでしょう。
水を飲む量が増える
上にも書きましたが、猫は砂漠由来の動物なので、それほど水を飲みません。
体重4キロの猫が1日に必要とする水分量は約200ミリリットルです。
実際にはキャットフードにも若干の水分が含まれていますので、水として飲む量はさらに少なくなります。
問題は腎臓病の猫の場合、上にも書きましたように尿の濃縮がうまくいかなくなっていますので、有害成分を排泄するためには尿の量を増やさなくてはならなくなるということです。
猫の体内には無尽蔵に水分があるわけではありませんので、その水分はどこかから補充しなければならなくなります。
結果、水を飲む量が大幅に増えてしまうのです。
高齢猫を飼っている人は、どのぐらい水を飲んでいるかについて注意して観察しておいてください。
やたらと水を飲んでしまうようでしたら腎臓病かもしれませんので、早急に獣医さんに連れて行くべきです。
これも注意していれば比較的分かりやすいサインだと言えるでしょう。
尿の臭いが薄くなる
猫の尿はかなりきつい臭いがします。
これは上にも書きましたように、水分をあまり摂取しなくても生きていけるように、濃い尿を出す仕組みになっているからです。
ところが、腎臓病になるとそもそも濃縮がうまくいっていませんので、尿そのものが薄くなってしまいます。
体内の水分が足りなくなってしまうので水を大量に飲んで補充するわけですが、そうすることによってさらに尿が薄くなってしまいます。
こうなると尿の臭いがあまりしなくなるのです。
中身が薄いのですから当然といえば当然なのですが、これは意外と気づきにくいかもしれません。
もし夏場に猫のトイレを掃除していても、あまり尿の臭いがしないようでしたら、腎機能がかなり衰えている可能性があるので、早急に診てもらうべきです。
しばしば吐き、体重が減少してくる
猫の腎臓病によって尿が増えるのは、体内の有害物質を排泄しようとするためです。
ただ、腎機能そのものが次第に衰えていくと、頑張っても有害物質が排泄しきれません。
こうなると猫の体調にも色々な不具合が生じてきます。
例えばものを食べても気分が悪くなり、頻繁に吐くようになってしまったりしてしまいます。
この状態で猫の血液検査を行うと、BUNやクレアチンの数値が高くなっていますので、腎機能障害だとすぐに分かるようになってきます。
しばしば吐くようになってくると、食欲そのものも落ちてしまい、体重が減少してきます。
吐いてしまうほど体調が良くないのですから、ある意味当然とも言えます。
ここまでくると、腎機能障害もそれなりに進んでいるというのが実際のところで、こうなる前に獣医さんに診てもらうのが理想です。
愛猫の腎臓病のサインを見逃さないように注意しよう
猫が腎臓病にかかっているというサインは、ちょっと注意していれば気が付きやすいものが多いです。
上にも書きましたが、猫の腎機能は一度衰えると元に戻りませんので、本格的に悪化する前に獣医さんに診てもらい、症状の悪化を食い止める必要があります。
愛猫が上に書いたような行動を取るようでしたら、一度診察を受けてみた方が良いかもしれませんね。