うんちは、食べ物が口から入って体の中を通って出てきたものですから、体の中のたくさんの情報を教えてくれます。
うんちを観察することで、猫の健康状態を知ることができます。
もし、うんちに白っぽいにょろにょろとした紐のようなものが混じっていたら、それは寄生虫かもしれません。
そのうんちをした猫は、寄生虫に感染している可能性が高いと考えられます。
寄生虫にも色々あります。どのような寄生虫に感染しているのか、どのように対処すれば良いのか、その原因と対処法をご紹介します。
回虫に感染している場合
まず考えられるのは回虫です。
回虫は、主に小腸に住み着く白くて細長い寄生虫で、成虫の体長は2~10㎝。
外に出ると丸くなる様子からこの名前が付いています。
回虫は成長すると胃へ這い上がってくる為、胃が刺激されて嘔吐することもあります。
嘔吐物に混じったり、うんちに混じって排泄されることで発見されます。
猫の回虫感染率は非常に高く、野良猫を対象に行った調査では、50%の確率で見つかっています。
回虫にはどのようにして感染するのでしょうか。
その感染ルートは以下の3つが考えられます。
①感染した母親のおっぱいを飲む
②回虫の卵を口にする
③感染したネズミを食べる
中でも多いのが①で、母親の小腸で孵化した幼虫は、腸内の壁から血管に侵入し、全身を巡ります。
その時、母乳の中にも入り込み、子猫に感染してしまいます。
母親が感染していれば、ほぼ100%の確率で子猫にも感染します。
成猫ではめったに症状はでませんが、回虫が小腸に寄生すると、食べた物の栄養を横取りされてしまいますので、抵抗力の弱い子猫やシニア猫の場合は、下痢や腹痛、栄養失調の症状が現われることがあります。
また、回虫の卵を人が口にしてしまうと、人にも感染します。
その場合、発熱や腹痛の症状が現われます。
条虫に感染している場合
次に考えられるのは条虫です。
通称「サナダムシ」として知られる寄生虫です。
猫の条虫に多いのが「瓜実条虫」という条虫で、名前の通り瓜の実のような変節(3~5㎜)というパーツのつながりでできていて、細長い紐のように見えます。
成長すると体長は50㎝を超えることもあります。
条虫は成熟すると変節が切り離され、それがうんちに混じって外に出てきます。
猫のおしり米粒のようなものがくっついていたり、寝床に付着していたりする場合は条虫であることが考えられます。
条虫にはどのようにして感染するのでしょうか。
条虫の感染ルートはただ1つです。
それは、条虫を体内に宿した生物(中間宿主)を口にすることです。
猫に感染する瓜実条虫の中間宿主はノミです。
瓜実条虫の卵を食べたノミの体内で卵が孵化し、感染力のある幼虫に成長します。
そのノミが猫の体表に付き、それを猫が毛づくろいなどで舐めてしまい、感染します。
条虫は、猫の腸内に寄生し成長しますが、害は少なく、無症状のことも少なくありません。
ただ、複数寄生すると、食欲不振や下痢、腹痛、栄養失調の原因になることもあります。
また、条虫を体内に宿したノミを人が口にすると、人にも感染します。
無症状のこともあれば、食欲不振などの症状が出ることもあります。
寄生虫に感染している場合の対処法
もし寄生された場合は、病院で診察してもらいましょう。
寄生虫検査によって、どの寄生虫に感染しているのか特定し、寄生虫に合った駆除薬を処方してもらいます。
寄生虫検査は便を調べますので、うんちを持参すると良いでしょう。
ティッシュ包むのではなく、密封できる袋や容器に入れるのがベストです。
回虫に感染していると、回虫が体内で産んだ卵がうんちに混じって出てきます。
人の目では確認できませんが、うんちを検査することで診断できます。
一方、条虫の場合は、変節がうんちに混じって出てきますので、うんちの表面に変節があるかどうかで診断します。
回虫あるいは条虫に感染していることが確認されたら、治療は薬を使って駆除をします。
駆除剤には、錠剤の飲み薬、首元に垂らす液体タイプなどがあります。
錠剤を飲ませるのが難しい猫には、液体タイプが良いでしょう。
獣医さんと相談して決めてください。
また、条虫の場合は、高確率でノミにも感染していることが多いため、合わせてノミの駆除も行う必要があります。
寄生虫の原因を元から断とう
猫のうんちに虫がいたらびっくりしますよね。
寄生虫に感染しているのはほぼ間違いないですが、薬でちゃんと駆除できますのでご安心ください。
ただ、大切なことは、寄生虫は駆除して終わりではないということ。
例えば、回虫の場合は、母猫から子猫へ感染しますので、母猫、子猫どちらかが感染していれば、もう片方も感染している可能性が高いです。
また、条虫の場合は、ノミが中間宿主ですので、ノミを完全に駆除しない限り必ず再発します。
寄生虫に感染したルートをきちんと突き止め、そのルートを完全に断つこと、それが再発防止につながります。