肌寒い日には、猫がこたつの中や湯たんぽの上で寝ているのをよく見かけますよね。
とても愛らしい姿に癒されますが、そこには低温やけどの危険が潜んでいます。
暖かく過ごせるように工夫したつもりが、痛い思いをさせてしまった。
そうならないために、原因と治療法についてご紹介します。
低温やけどについて
低温やけどとは、40度以上の熱源に、長時間同じ部分が触れていることにより、皮膚が損傷した状態のことです。
熱源が44度の場合では、約3~6時間ほど熱源に触れ続けるとやけどになります。
低温やけどの重症度は、熱源が皮膚のどの深さに到達したかによって以下の3段階に分類されます。
Ⅰ度.表皮に限局される熱傷
Ⅱ度.真皮にまで到達した熱傷
Ⅲ度.皮下組織にまで到達した熱傷
ひどい場合にはⅢ度の皮下組織にまでやけどがおよび、手術が必要になることもあります。
これらは、寝ているときに寝返りをうたないなど、身動きが少ないために発症します。
睡眠時間が多い子猫や、動きが緩慢になる老猫、病気の猫などは発症のリスクが高いです。
猫の低温やけどの症状
軽度の低温やけどの場合には、しきりに体や肉球部分を舐めている、触られるのを嫌がるそぶりを見せる、皮膚が赤くなっている、などの症状が見られます。
毛が邪魔をして低温やけどに気づかないことも多いため、猫の行動の観察や、皮膚の状態をチェックすることも大切です。
また、毛の焦げた臭いがすることもあります。
中程度になると、毛が抜ける、患部が腫れていたりじゅくじゅくしている、水ぶくれができている、などの症状が見られます。
重度になってしまうと、皮膚がむけて組織が見えてしまっている、患部が白っぽくなる、出血している、などの症状が見られます。
重症になると痛みを感じないこともあるため注意が必要です。
猫が低温やけどになる原因
低温やけどになる主な原因として、湯たんぽ・カイロ・ストーブ・ホットカーペット・ドライヤー・化学薬品・夏場の熱くなったアスファルトなどが挙げられます。
湯たんぽ使用する際は、お湯もれに十分注意し、必ずカバーをかけて使用しましょう。
カイロはすぐには温かくならず、開封して徐々に温かくなり始め、1時間後くらいに最高温度に達します。
温かさが12~16時間ほど継続し、平均温度が40~47度もあります。
ホットカーペットは強に設定すると、42度以上の表面温度になります。
湯たんぽやカイロ、ホットカーペットを利用するときは、タオルでくるむ、毛布を敷くなどして、猫が直接熱源に触れないように工夫をしましょう。
猫をお風呂に入れた後などに、ドライヤーを使用する場合は、必ずドライヤーと猫の体との間に自分の手を入れて、熱くなりすぎないように温度を確認しながら乾かしてあげてください。
また、強力な酸やアルカリなどの化学薬品などでも低温やけどを起こすことがあります。
家庭内では漂白剤やサビ落とし剤、強力な洗浄剤などを間違って使用するなどが、化学薬品による低温やけどの主な原因です。
猫の低温やけどの治療法
皮膚が赤くなっていたり、毛が少し抜けている程度のやけどを発見したら、すぐに冷やすことが炎症の悪化を防ぐことにつながります。
袋に氷水を入れたものや保冷剤にガーゼを巻いたものなどで、30分以上を目安に患部を冷やします。
水を怖がらない猫なら、お風呂場などにつれていき、患部に水をかけて熱を逃がしてあげるのも効果的です。
ただし、水を長時間かけすぎると低体温症になる危険性もあるため、水をかけたあとは氷水で冷やす方に切り替えます。
皮膚がむけてしまっているような場合や、水ぶくれができている場合は、動物病院に連れて行きましょう。
コットンやガーゼを氷水で濡らしたものを患部に当て、すぐに病院へかかってください。
病院ではやけどの程度によって、感染症予防の飲み薬や、患部に直接塗る塗り薬などが処方されるので、用法・用量を守って正しく使ってください。
病院によっては患部を舐めないように、エリザベスカラーをつける場合もあります。
また、重度の場合は、手術が必要になることもあります。
その場合は入院が必要になり、経過観察や栄養補給、感染症の予防なども含めて数日かかってしまいます。
市販されている薬は、かえって合併症などを起こす可能性があるので注意が必要です。
猫に暖房器具を使うときには低温やけどに注意
猫はとても寒がりな動物のため、暖房器具とは切っても切れない関係です。
特に飼い猫は、エサを確保しなければいけないという心配がないため、動きも緩慢になり、注意力も低下しがちです。
人間用の暖房器具を共用するときには、体の小さな猫のことを常に考えて、快適に過ごせるような環境づくりを心がけることで、もっと人間のことを信頼し、好きになってくれることでしょう。
暖房器具と上手に付き合って、人も猫も暖かく過ごせるように工夫してあげてください。