人に媚びず、気まぐれなところが猫の魅力のひとつ…なんて言われることもありますが、食事を食べたり食べなかったりすると、飼い主さんとしては心配になりますよね。

猫の「ムラ食い」には、どんな理由が考えられるのでしょうか。

もともとの習性だから

猫は、もともとムラ食いをする動物です。

食べるときはたくさん食べるけれど、食べたくないときは全く食べないこともしばしば。

猫がフードのニオイを嗅いだだけで食べず、前足で砂をかけるような動作をすることがありますが、それは「今は食べたくない」というサインです。

この「砂かけ」は野生時代の猫がとっていた行動の名残で、食べ残しを埋めておき、後で食べようと考えているのです。

よく「猫が砂をかけるのは、フードがまずいから」なんて言いますが、「これはまずい。絶対に食べたくない」というよりは「今は食べたくないけど、後でなら食べたい」という気持ちなのかもしれません。

フードが古くなったから

「以前は好きだったフードなのに、急に食べなくなった」という事態もよく起こります。

好物だと思って出したのに、ニオイを嗅いだだけでプイッとそっぽを向かれてしまうと、飼い主さんは困惑してしまいますよね。

実はこれ、お皿に残っているフードが古くなったことが理由かもしれません。

猫にとって食事は、味だけでなくニオイも非常に重要です。

フード皿に長時間出しっぱなしでニオイがしなくなったフードは、美味しく感じなくなってしまいます。

「まだフードは残っているのに、食べない」というときは、残りものを捨てて新しいフードを入れてあげるか、ウエットフードであれば電子レンジで軽く温めなおしてあげると、ニオイが強くなって食べるようになることがあります。

ストレスを感じているから

普段から食欲にムラのある猫。

何らかの原因でストレスを感じてしまうと、余計に食べなくなってしまうことがあります。

例えば、引越しや旅行などで肉体的・精神的に緊張し、疲れてしまっているとき。

飼い主さんの友人や業者など、見知らぬ人が家に来て怖い思いをしたとき。

普段は室内飼いの猫が誤って外へ出てしまい、外猫とケンカするなどして興奮したとき。

などなど、さまざまな要因で猫がストレスを感じると、一時的に食欲が落ちることがあります。

ストレスの原因がはっきりしているときは取り除き、猫をなるべくリラックスさせてあげるように心がけましょう。

2~3日程度までは無理に食べさせず、猫のペースに合わせて様子を見ましょう。

ただし、全く食べない「絶食」状態が3日続くようなら、動物病院へ連れて行くことをオススメします。

体調がすぐれないから

動物病院でワクチン接種した日や、分娩の前後、発情期など、体調がいつもと異なる猫は、フードをあまり食べなくなる傾向があります。

その他、消化器系の病気、感染症、その他の内臓疾患なども、食欲不振を引き起こします。

口内炎がひどい猫では、食べたいのに口が痛くて食べられない、などということも…。

逆に、過度な食欲があり、たくさん食べているのに痩せていくという場合には、糖尿病や甲状腺機能亢進症なども考えられます。

ワクチン接種後や発情期の食欲不振は、大体において一時的なもので、よほどひどくない限りはそれほど心配することはありません。

しかし、食欲不振の症状の他に、発熱や、うずくまって動かないなど、明らかに普段と異なる様子が見られる場合は、別の病気の可能性が考えられます。

猫は自分の体調不良を言葉で訴えることができません。

飼い主さんがよく観察して、いつもと違うところがないか、熱などの症状はないか、排泄物の状態はどうかなど、こまめにチェックしてあげましょう。

高齢だから

人間と同じで、猫も高齢になると噛む力や飲み込む力、嗅覚が衰えてきます。

また、消費エネルギーも減るので、若い頃ほどたくさんは食べられなくなります。

そのため、一般的には高齢猫になるほど食欲が衰え、ムラ食いも増えてくるのです。

また、高齢猫では歯が少なくなってうまく噛めない、口内炎があって痛い、などの理由で食欲が落ちている可能性もあります。

ですので、高齢猫には高齢猫用のフードを与えるのがオススメ。

歯が悪くなった猫でも食べやすいように粒が小さいものや柔らかいものもあり、高齢猫の食事をサポートしてくれます。

猫のムラ食いは基本的に習性

猫はもともとムラ食いをする動物、と心得ましょう。

環境の変化や来客など、原因がはっきりしているときは極端な心配は必要ありません。

しかし、場合によっては食欲の変化が重大な病気の症状である可能性も。

例えば、食欲不振とともに発熱や元気がないなどの異変があるときは、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。

愛猫の食事を含めた健康管理は、飼い主さんにしかできません。

ぜひ、普段から食事や水の量、トイレの回数や排泄物の状態などを、こまめにチェックしてあげてくださいね。