ファラオハウンドという犬を知っていますか?
この名前はエジプトから渡ってきた犬ということや、その容姿の上品さから連想されて付けられました。
アヌビス神にも似ていると言われるファラオハウンド、その特徴や飼い方についてご紹介します。
ファラオハウンドとは
ファラオハウンドはマルタ原産の犬で、かつてはうさぎを狩る犬として活躍していました。
もともとは大昔にエジプトからマルタ島に渡った犬が独自の犬種になったと言われています。
島という閉鎖的な場所で、だんだんと特徴が固定化されていったとされています。
20世紀になってからイギリスに渡り、そこで繁殖が行われるようになりました。
それ以降、世界的に知られるような犬となり、一躍人気を博しました。
日本では、まだ年間に数頭しか登録されていない、とても珍しい犬の一つです。
ですが、その独特のルックスで見る人の目や興味を釘付けにすることでしょう。
ファラオハウンドの特徴
ファラオハウンドの体長は50〜60cmになり、大型犬として分類されます。
いちばんの特徴は、その体型と被毛の色、それから顔つきではないでしょうか。
ファラオハンドは短毛種の犬で、体は赤みのある茶色の毛に覆われています。
かなり毛は短いのですが、スムースで触り心地がよく、とても上品な印象を与えます。
足がとても長く、余分な脂肪のないスリムな体型が、いっそうそのスタイルの良さを引き立ています。
体は筋肉質で運動能力に優れ、瞬発力やスピードに優れています。
顔はサイトハウンド系の犬の特徴のよく現れた外見をしています。
長いマズルとキリッとした目は、ファラオハウンドの持つ精悍さと好奇心の強さを感じさせます。
目の色は琥珀色ですが、生まれたばかりの頃はブルーで次第に変化してきます。
ろうそく耳と言われる、ろうそくの炎のようにピンと立った耳が聡明さを物語っているかのようです。
ファラオハウンドは意外に人懐っこく優しい性格
ファラオハウンドは、その姿に見慣れていないと、「怖そう」とか「獰猛そう」といったイメージを持つかもしれません。
しかし、実際にはとても飼い主に忠実な性格をしています。
飼い主や家族には愛情深く接し、いっしょにいてもとても穏やかな犬です。
古くから人と共生してきていることもあってか、しつけの飲み込みも早いと言われます。
もともとうさぎを追う猟犬として飼われていたため、小動物との相性は良くありません。
ペット用に交配されていたりするわけではないので、本能として動物を襲おうとしたりします。
狩猟犬としての特徴とも言うべき、責任感や独立心が旺盛な部分も特徴的な性格です。
ですが、しつけさえしっかりすれば、非常に優秀なペットとして飼えることでしょう。
ファラオハウンドの寿命と気を付けたい病気
ファラオハウンドの一般的な寿命は10〜13年とされています。
大型犬としては平均的な寿命と言えるでしょう。
この犬は大きな病気をすることもなく、とても丈夫で健康体なので、飼い方次第ではもっと長生きします。
遺伝的な疾患や、先天的にかかりやすい病気などの存在は知られていません。
飼育されている数自体が少ないと言う指摘もありますが、必ずしもそうではない部分もあります。
一般的に血統を維持している純血種は遺伝的な疾患が出やすいが、何千年もの間、純血種として血統が維持されています。
こうした時間や、他の犬種との交配がないことが、現在の安定した遺伝が引き継がれている要因とも言われます。
ファラオハウンドの値段
ファラオハウンドは、日本のペットショップなどですぐに購入できる犬ではありません。
ほとんどの場合は海外のブリーダーから輸入することになります。
世界的に見ても頭数が少なく、最も高価な犬の一つとして数えられます。
値段は平均的な相場自体がないのですが、だいたい30〜100万円ほどと言われています。
輸入するときにはその他の手続きなどの諸経費を含めると、かなりの費用となります。
それでも、毎年数頭ではありますが日本はコンスタントに登録数が増えてきているのは興味深いですね。
散歩や運動はたっぷりと
ファラオハウンドの散歩はしっかりと一日2回、1時間程度を目安に行います。
古代犬であり、生態が野生に非常に近いことから、たっぷりの運動量を必要としています。
時間のあるときには、ぜひドッグランなどで思い切り体を動かせるようにしてあげてください。
散歩やドッグランでは、他の小型の動物や犬にくれぐれも注意を怠らないようにしてください。
なかなか難しいかとは思いますが、ドッグランでも、他の犬がいるときにはリードを離さない方が良いでしょう。
もちろん、散歩の時は必ずリードをつけ、しっかりと握って制御してください。
瞬発力があり、いきなり走り出したりしますし、とても力の強い犬なので油断は禁物です。
ファラオハウンドを飼う際には寒さ対策を忘れずに
ファラオハウンドは体を見て分かる通り、暑さには強いのですが寒さにはめっぽう弱い犬です。
日本の場合は、必ず室内で飼育する必要があります。
飼い主といっしょにいたがる甘えん坊な性格でもあるので、家の中に広めの部屋を作ってあげた方が良いでしょう。
寒い地域では、冬場には服を着せてあげるようにしましょう。
また冬の寒い季節には、散歩の時に耳などのしもやけにも注意してください。
被毛が短く、脂肪の層も薄いので、寝床には柔らかいタオルケットを敷いてあげます。
硬い床では床ずれを起こす可能性があるので、専用のベッドを作ってあげてください。
ファラオハウンドの特徴を知ろう
まだまだお目にかかることも少ないファラオハウンドですが、ペットとしての犬の魅力は溢れんばかりです。
日本ではなかなかブリーダーさんがいないと、煩雑な輸入手続きなどもあり、入手しやすいとは言えません。
しかし、賢い大型犬として、ゴールデンレトリーバーやジャーマンシェパードにも劣らない可愛さもかっこよさも兼ね備えています。
野生種に近い犬なので、多少しつけには根気が必要ですが、いつかこんな犬を飼いたいなと思う人も多いのではないでしょうか。