犬の「祈りのポーズ」というのをご存知でしょうか?
これは犬が腹痛に耐えているポーズで、犬の病気を見分けるために飼い主は是非知っておきたいポーズです。
犬が祈りのポーズをしているときにどんな病気が考えられるかご紹介します。
1.犬の祈りのポーズとは
犬の祈りのポーズとは、伏せの姿勢で前脚を伸ばして胸を床につけて、後ろ足は立たせて腰を上げているポーズです。
イスラム教徒がアラーの神に祈るときのポーズに似ています。
これは犬が腹痛を我慢しているときのポーズです。
野生の犬は病気などの弱みを見せるとすぐに敵に襲われるので、犬は本能的に病気を隠そうとします。
痛みがあっても訴えることはせず、ひたすらじっと耐えるのです。
飼い主は犬の様子を見て、犬の健康に変調が起きているサインを見逃さないようにしましょう。
このポーズを取るときには他にも病気のサインが見受けられるはずです。
痛みで震えていたり、背中を丸めたり、お腹に触ると痛がったり、抱こうとすると暴れたりするかもしれません。
また下痢、嘔吐、発熱、食欲不振、元気喪失などの症状も一緒にあらわれることが多いです。
2.犬の祈りのポーズで、病気の場合とそうでない場合の見分け方
犬は病気でないときにも祈りのポーズと似たようなポーズを取ることがあるので見分ける必要があります。
犬は寝起きのときに体を伸ばして、似たようなポーズをすることがあります。
これは人間が朝起きて「良く寝たなぁ~」「これから始動するぞ」という感じで伸びをするのと同じようなものなので、心配は要りません。
この場合は伸びをした後に普通通り元気にしているでしょう。
また犬と遊んでいると、伏せてこのようなポーズを取ることがあります。
これは「プレイバウ」と言って、犬が「遊んでほしい」と欲求しているポーズです。
プレイバウのポーズをするときには、犬は伏せながら尻尾を振って楽しそうにして、かまってやると飛んだり跳ねたりして喜んで体を動かします。
元気があるかどうかが祈りのポーズとの違いです。
犬が祈りのポーズを取っているときには、ポーズだけで判断しないで、犬に元気があるか、他にも病気の兆候が無いかをチェックしましょう。
犬が祈りのポーズを取っているときに考えられる病気を以下にご紹介します。
3.犬の祈りのポーズで考えられる、胃腸障害
胃腸障害にはいろいろな原因が考えられます。
腐敗物や毒物の摂取やウィルス感染による胃腸炎、胃痙攣、腸閉塞、食物アレルギー、過食、誤食や誤嚥による消化器閉塞、などがあります。
また慢性的に痛みが続くようなら腹部の腫瘍の可能性もあります。
胃腸障害は下痢や嘔吐などを伴うことが多いです。
いずれの場合も獣医師に連れて行きましょう。
4.犬の祈りのポーズで考えられる、胆のう障害
胆のうは肝臓から分泌される消化液の胆汁をためておくソラマメのような袋で、十二指腸や膵臓とつながっていて、食べ物が十二指腸を通ると胆汁を放出します。
この胆のうに障害が起きて胆汁が正常に十二指腸に流れなくなると、胆のうに胆汁が蓄積したり、胆のうが破裂したり、胆のうから漏れた胆汁が体内に回って、犬は腹痛を起こします。
胆石、胆管閉鎖、また胆汁が濃縮されて固まってしまう「胆嚢粘液嚢腫」などによって引き起こされます。
嘔吐、食欲不振、黄疸などの症状もあります。
すぐに獣医師の手当てを受けさせましょう。
5.犬の祈りのポーズで考えられる、急性膵炎
犬が祈りのポーズをするときにまず疑われる病気が急性膵炎です。
膵臓は食べ物を消化する酵素を作り、膵液として十二指腸に分泌する働きをします。
何らかの原因で膵液が膵臓の外へ漏れたり、膵臓内で活性化されて膵臓自体を消化してしまうと急性膵炎になり、犬は腹部に激痛を感じます。
原因はいくつかありますが、高脂肪の食事、高脂血症、ある種の薬品の副作用、副腎皮質機能亢進症、高カルシウム血症、遺伝、感染症などが引き金になります。
急性膵炎を起こすと、犬は祈りのポーズをするほかに、嘔吐、下痢、食欲不振などを起こします。
命にかかわる病気なので、すぐに獣医師に連れて行きましょう。
治療後もしばらくは低脂肪の食事を与えることが必要になります。
また膵臓の損傷が激しいと、体内でインシュリンが作れなくなって、糖尿病に発展することがあります。
急性膵炎は、人間でも七転八倒するほどの激痛を伴う病気なので、疑われたら一刻も早く治療を受けさせて、犬を楽にさせてあげましょう。
6.犬の祈りのポーズで考えられる、尿管結石
腎臓にできた結石が、腎臓と膀胱をつなぐ尿管に詰まってしまう病気です。
尿管は細いので、ここに石が詰まると激痛を感じます。
尿管が詰まると尿が流れなくなって腎臓にたまって水腎症になり、命にかかわることもあります。
犬は祈りのポーズをするほか、尿が出ない、血尿が出る、などの症状があるはずです。
結石は「シュウ酸カルシウム結石」「ストラバイト結石」などいくつか種類があります。
結石が大きい場合は切開手術をすることもあります。
結石の種類によって、それに対応したフードがありますので、治療後は獣医師の指示に従って食事療法をしましょう。
7.犬の祈りのポーズで考えられる、生殖器の病気
メスの犬の場合、細菌の感染によって子宮に膿がたまる「子宮蓄膿症」を起こすことがあります。
炎症によって腹部に痛みがあり、発熱、嘔吐、食欲不振などの症状があらわれます。
放置すると腹膜炎に発展して命にかかわることもあるのですぐに治療しましょう。
犬の祈りのポーズについての正しい知識をもとう
犬が祈りのポーズをしていたら、それは腹痛に耐えているポーズです。
多くの場合、重大な内臓の病気の兆候です。
犬に元気があるか、他にも症状が出ていないか確認して、病気が疑われたらすぐに獣医師に連れて行きましょう。