犬が突然パトカーや救急車などの「サイレン」に反応して、そわそわしたりウオォーンと遠吠えのように吠える姿を見かけたことはありませんか?
ご近所の犬たちまで次々と遠吠えが始まって、まるでオオカミの群れのようになってしまうことも。
そんな犬とサイレンの関係やサイレンに反応したときの対処法をご紹介します。
大きな音に驚いている
犬は非常に発達した聴覚の持ち主で、人間のおよそ10倍も優れていると言われています。
遠くの仲間の声や物音を聞き取ったり、細かな音の違いまで聞き分けることができます。
その特徴を活かしているのが、しつけの際に大きな音を出してビックリさせる方法ですね。
してほしくないことを犬がしているときにおこなうと効果的です。
これは、犬が優れた聴覚を持っているからこそ有効な方法なんです。
そしてサイレンというのは「周りに知らせる」ことが目的で作られている音ですから、人間も遠くのサイレンに反応したりしますよね。
それが犬にはさらに大きく鮮明に聞こえていて、驚いてしまうことも考えられます。
飼い主さんが出している音ではない、何か大きな音が向こうからやって来るわけですから、警戒してしまうのも無理はありません。
仲間の遠吠えだと思っている
実は、サイレンの音は犬の先祖であるオオカミの「遠吠え」と似た周波数を持っていることが分かっています。
確かに、どちらも遠くからでもよく聞こえてきますよね。
オオカミが遠吠えをするのは、山で群れを作って生活していくために、遠くの仲間とのコミュニケーション技術として必要だからです。
離れた場所にいる仲間に合図やメッセージを送ることもでき、聞き取った仲間がまた、それに応えて遠吠えをすることもあります。
連鎖反応といって、次々に仲間が加わって遠吠えを始めることもあります。
犬が沢山いる地域でもときどきこういった光景が見られますね。
そんなコミュニケーション方法を持つオオカミから派生した犬も、原種に近い犬はサイレンを仲間の遠吠えだと思い、反応してしまうことがあります。
しかし遠吠えをしない犬もいて、品種改良されてきた愛玩犬はオオカミの名残も少なくなっているため、あまり遠吠えをしません。
分離不安を感じている
サイレンの音を仲間のメッセージだと思う犬もいれば、仲間と引き離されるかもしれないという分離不安を感じる犬もいます。
何匹か犬を飼っていたらその仲間たちと、一匹だけなら飼い主さんと引き離されるかもしれないと感じ、不安になってしまいます。
警告する意味合いの遠吠えもありますから、犬がサイレンを聞いて危険が迫っていると勘違いしている可能性もあります。
そんなことになったら、必死になって逃げているうちに仲間や飼い主さんとはぐれてしまうかもしれない。
と感じているのですね。
日ごろから犬が飼い主さんにピッタリくっ付いて、どこへ行くにも付いて回るようなら、もともと分離不安を抱えている可能性があります。
不安感を解消してあげるか、声をかけてあげたりして気をそらしましょう。
聞きなれない音に不安を感じている
サイレンの音は人工的に作られた音ですから、周波数こそ遠吠えに似ているものの、自然の音ではありませんよね。
しかも犬は聴覚が優れているため、とても大きく聞こえてしまいます。
そんな人工的な音がボリュームたっぷりに聞こえてきたら、あまり聞きなれていない犬にとっては「いったいなんだ?」と、不安に感じてしまいます。
普段静かなお家にいることが多く、音の刺激を受けることが少ない子だと、特にサイレンのような音にはビックリするでしょう。
車の走る音や人々の生活音など、色んな音を聞くことで人工的な音にも少しずつ慣れていくことができます。
ここ最近の生活を振り返ってみて、あまり外に出してあげられていないようなら、少しずつでもいいのでお散歩に連れて行ってあげてください。
サイレンに反応してしまうときの対処法
原種に近い犬は特に、サイレンに反応して遠吠えをしてしまうのは自然なことですから、叱りつけるのはよくありませんね。
しかし、ご近所に迷惑をかけてしまうかもしれませんから、そのままにしておくことも難しいでしょう。
そんなときは、おもちゃなどで気持ちを引き付けて、サイレンから気をそらしてあげましょう。
遠吠えをしそうな素振りをみせたら名前を呼んで飼い主さんに注意を向けさせ、おもちゃで遊んであげたりするとサイレンのことは気にしなくなります。
可能なら、サイレンが聞こえてくる方向と逆になるようなポジションがいいですね。
名前を呼んで飼い主さんに注意を向けさせることで、犬も安心できます。
また、大きな音でビックリさせて気をそらす方法も効果的です。
サイレンとは違う方向で何か大きな音を立てて、遠吠えをやめさせることができます。
叱ったりはせず、ビックリさせて気をそらすことが目的です。
犬がサイレンに反応する理由と対処法を知ろう
犬は聴覚が優れているだけに、サイレンがとても大きく聞こえたり周波数を仲間の遠吠えと勘違いして、反応してしまうのですね。
愛玩犬種は遠吠えをほとんどしませんが、原種に近い犬はサイレンに応えて遠吠えをしてしまうこともあります。
そんなときは、音を立てたりオモチャで遊んで気をそらすことでサイレンを気にしなくなります。
不安を感じていたり警戒している子には名前を呼んで飼い主さんに注意を向けさせ、安心させてあげましょう。
また、まめにお散歩に連れて行くことは、犬をお家の外の音に慣れさせるためにも必要なことなので、少しずつでも行くようにしてあげてください。