アメリカ合衆国が原産の犬種といえば、どのような犬種が思い浮かぶでしょうか。
有名なのは、「ボストン・テリア」や「アメリカン・コッカー・スパニエル」などですが、他にもたくさんの犬種がいます。
今回は、アメリカ合衆国が原産の犬種をご紹介します。
ボストン・テリア
ボストン・テリアは、アメリカ合衆国マサチューセッツ州ボストン原産の小型犬です。
19世紀後半頃にブルテリアの原種である「ブル・アンド・テリア」と「ブルドッグ」を元に作られました。
幅広の頭に大きな立ち耳、短いしっぽ、短い鼻が特徴的です。
毛色は黒と白のツートンカラーであることが多いですが、赤や茶色の毛を持つ個体もいます。
ボストンテリアは知能が高くて温厚な性格をしており、なおかつ、タキシードを着ているような毛色から「アメリカ犬界の紳士」と呼ばれています。
また、地元の名門・ボストン大学のマスコットとしてボストン・テリアが採用されています。
アメリカン・コッカー・スパニエル
アメリカン・コッカー・スパニエルは、19世紀後半にイギリスから持ち込まれた「イングリッシュ・コッカー・スパニエル」を元にして生み出された犬種です。
当時猟師たちはウズラなどの小型の鳥を捕まれていたため、それらを捕まえやすくするために小型化が進みました。
元々は猟犬でしたが、現在では長い被毛が美しいため、ショードッグとして活躍している個体もいます。
アメリカン・コッカー・スパニエルは、優しく愛情深い性格をしています。
学習能力が高い犬種であるため、しつけなどのトレーニングにも積極的に挑戦してくれます。
元は猟犬であるため体力がありますが、膝蓋骨を脱臼することが多い犬種なので、あまり激しい運動は控えるようにしましょう。
オーストラリアン・シェパード
オーストラリアン・シェパードは、アメリカ合衆国カリフォルニア州原産の牧羊犬です。
犬種名に「オーストラリアン」と入っていることからオーストラリア原産だと勘違いされることもあります。
1800年代にバスク地方よりオーストラリアに移住した羊飼いが持ち込んだ「ボーダー・コリー」や「ラフ・コリー」などの牧羊犬が自然交雑したことにより生まれ、後に羊飼いたちと共にアメリカにやって来たことにより犬種が確立されていきました。
当初はオーストラリアから直接アメリカに持ち込まれたため、「オーストラリアン・シェパード」と呼ばれるようになりました。
しつけの飲み込みが早く状況判断力も高いことに加えて身体能力が高いため、牧羊犬以外に聴導犬、麻薬探知犬、ドッグスポーツなど様々な分野で活躍しています。
チェサピーク・ベイ・レトリバー
チェサピーク・ベイ・レトリバーは、アメリカ合衆国の首都・ワシントンDCの東に位置するチェサピーク湾が原産の犬種です。
一説では、「ニューファンドランド犬」と地元のハウンド犬とを交配して生み出されたのが始まりだとされています。
レトリバー(回収犬)の名前の通り、チェサピーク湾岸沿いで悪天候にも臆することなく狩りをすることを目的として交配が進められてきました。
狩りだけでなく、回収後に獲物が盗まれないように見張りをしてきたことから、非常に賢く、飼い主を保護しようと意識が非常に強い犬種です。
毛色はブラウン、黄土色などで、巻き毛なのが特徴です。
アラスカン・マラミュート
アラスカン・マラミュートは、アメリカ合衆国アラスカ州西部スワード半島原産の犬種です。
元々は、アラスカ西部の海岸地方に生活していたエスキモー・マラミュート族が飼っていたそり引き、狩猟、漁業などに使われる労働犬でした。
性格は温厚で愛情深く、人間に対する親和性があります。
北方で暮らしてきた犬種らしく、がっちりとした骨格と筋肉質な体が特徴です。
四肢が強靭かつ持久力があるため、寒さが非常に厳しい極地での作業に適しています。
被毛は二重構造になっており、対寒性に優れています。
毛色は明るいグレーや黒で、顔、下腹部、足の一部に白の模様が入るのが特徴的です。
アメリカン・ヘアレス・テリア
アメリカン・ヘアレス・テリアは、アメリカ合衆国原産の犬種です。
元々は「アメリカン・ラット・テリア」というネズミ捕りに特化したテリアに突然変異が起き、毛のない(ヘアレス)アメリカン・ラット・テリアが誕生したことにより端を発します。
毛のない犬種ですが、生まれてすぐは毛が生えており、数週間かけて抜け落ちて無毛になります。
性格は賢くて好奇心旺盛で愛情深いため、ペットして適している犬種であるといえます。
元々がネズミ捕りに特化した犬種であったため、小動物に対して過敏に反応します。
小動物を飼育している場合は、注意が必要です。
毛のない犬種のため、暑さと寒さに弱いです。
また、肌の乾燥を防ぐためにクリームを塗ったり洋服を着せる必要があります。
アメリカン・アキタ
アメリカン・アキタは、アメリカ合衆国原産の犬種です。
「アキタ」の名の通り、元々は日本秋田県の天然記念物の犬種・「秋田犬」が元になっています。
1937年に、アメリカの教育家で社会福祉活動家でもあるヘレン・ケラーが来日しました。
その際、彼女は秋田県を訪れ、2匹の秋田犬を譲り受けます。
そのことにより、アメリカに秋田犬の存在が知られるようになりました。
第二次世界大戦後、日本にいたアメリカ軍の兵士たちが秋田犬をアメリカに持ち帰り、シェパードなどと交雑を続けた結果、秋田犬とは別犬種として確立していきました。
アメリカン・アキタの性格は優しく、飼い主に忠実で番犬に向いています。
また、秋田犬と比べるとやや大きく、顔もシェパード寄りです。
個性豊かなアメリカ生まれの犬たち
アメリカ合衆国が原産の犬種をご紹介しました。
アメリカという国が移民を受け入れたことで生まれた国であるため、「アメリカン・コッカー・スパニエル」などのアメリカ原産の犬種も、元はイギリスなどの外国から持ち込まれた犬を元にしているのが多いです。
他の国に連れてこられても、たくましく生きて子孫を残し、その土地に根付いている。
その健気さと強さがアメリカ原産の犬の魅力であるといえます。