愛犬を呼びかけた時や、ふとした瞬間に何気なく首をかしげるしぐさをすることがありませんか?
そのしぐさからなんとも言えない愛らしさを感じます。
思わず顔がほころんでしまう愛犬家も多いことと思います。
しかし、犬は何故、どのような理由で首をかしげるのでしょうか。
興味がある
人間と同じように、犬にも五感が備わっており、嗅覚に続いて聴覚が優れています。
音として感知することができる可聴域(かちょういき)という周波数帯域は、人間の約20~2万ヘルツ。
対して犬は、約50~6万5千ヘルツと広く認識することができます。
特に人間に比べ高周波の音の認識力が高く、男性より女性の言葉に反応することが多いのはこういった理由も挙げられます。
次に、音源の方向を探る能力ですが、こちらは人間の2倍の察知能力があると言われています。
散歩中に、遠くから聞こえる車のクラクションや踏切の遮断機の音に反応して、首をかしげるしぐさをすることがあります。
これは、どこから音がするか耳をかたむけて音源を察知しようとしています。
室内では、電子レンジや洗濯機の「ピー・ピー・ピー」といった電子音、テレビの音にも興味があります。
褒められることが嬉しい
初めて愛犬が首をかしげた時に、可愛くて褒めちぎった経験はありませんか?
犬は、飼い主が喜ぶことを忠実に覚えています。
褒められる=ご褒美がもらえるという感覚でコミュニケーションを大切にします。
飼い主を喜ばせようと、目が合うだけで首をかしげる犬もいるほどです。
サービス精神たっぷりの犬ほど、この傾向がみられます。
不思議
お座りやお手をさせる時に、いつものパターンに聞いたことがない新しい言葉を追加すると、「え?」という感じで首をかしげることがあります。
人間と同じで、犬も飼い主がいつもと違った言動を行うことに対して不思議に思うのです。
疑問形で質問することでも「なに?」という風にかしげます。
一生懸命聞いてくれる様子はなんとも言えず可愛いですよね。
期待
愛犬の好きなワードにも反応することがあります。
「ごはん」「おやつ」「お散歩」などの待ち遠しい時間に、「ホント?」と確認の意味を込め首をかしげます。
試しに小さい声で言ってみましょう。
「え?もう一度言って」と期待の意味も込めて、可愛く左右に首をかたむけてくれますよ。
興味ある対象
小さい頃に多いのですが、初めてのお散歩は見るもの全てが興味津々です。
すれ違う動物や、小さな虫、風に揺れている草の動きにまで反応します。
「可愛いですね」と、声をかけてくれることも多いのですが、人間にも慣れていませんので首をかしげる行為も見られます。
病気のサイン
・外耳炎
首をかしげるようで、実はかゆみを訴えているのですが外耳炎の可能性があります。
耳が垂れているミニチュアダックス、他にもレトリバーや、耳の中に毛が生えているシーズー、トイプードルによくみられる病気です。
耳の中の通気性が悪いことや、アレルギーやダニ・カビ・細菌の繁殖が原因と言われています。
頻繁に、耳周りをかくしぐさや耳を床にこすりつけている様子がみられたら赤みやただれがないか耳の中をチェックしてみてください。
異常を感じたなら、完治する病気ですしなるべく早めに病院に行くことをオススメします。
抗生物質や軟膏などの塗り薬、点耳薬などで治療をします。
再発が多い病気ですが、日ごろから耳の中の匂いチェックや耳掃除をこまめにし、清潔に保つことで予防・対策できます。
・神経炎
聞きなれない病名ですが、前庭神経炎という病気の可能性があります。
外耳炎などの耳の炎症が原因の一つとして挙げられています。
前庭神経は三半規管とつながっており、異常が起きると体のバランスを保つことができなくなります。
首をかしげるしぐさはもちろんですが、まっすぐに歩けない状態やグルグル回る動作がみられ、眼球が震える症状が出ることもありますので要注意です。
高齢犬に多く見られる病気で、どの犬種でもかかる可能性があります。
抗生物質投与や、ホルモン剤の内服が主な治療法となりますので病院を受診してください。
1週間ほどで治るケースが多くなります。
・異物混入
目視でも原因が分からない場合、ひょっとすると耳の中に異物が入り込んでしまっていることがあります。
非常に分かりにくいのですが、虫やノギ(猫じゃらしやススキなどの植物)犬の耳垢や毛が入り込み、首をかしげるしぐさをすることがあります。
犬の耳の外耳道は人間と違いL字型をしています。
無理に綿棒で混入物をとろうとしても、誤って中に押し込んでしまう可能性があります。
外耳炎と同じように、足でひっかくようなしぐさをしますのでこちらも病院の受診をオススメします。
ダックスフンドのが首をかしげる時の気持ちを知ろう
可愛い愛犬の何気ないしぐさも、ひょっとすると病気のサインかもしれません。
これから犬を飼う方も、あらかじめかかりつけの病院を事前に見つけておくのも良いでしょう。
人生のパートナーとして、病気のサインを見過ごさないために愛犬の特徴やくせ、行動パターンなど把握しておき、ともに健康で長生きするように心がけたいものですね。