犬は嗅覚がとても優れている生き物だというのは、非常に有名な話です。
事実、その嗅覚を生かして人間のパートナーとして働いている犬もいるほどです。
例えば新しいおもちゃを買って与えたり、初めて家に来る人と出会ったときに、犬がクンクンと匂いを嗅ぐ姿に心当たりがありませんか。
犬にとっては、匂いというのがとても大切な情報になっています。
そんな犬の嗅覚のすごさをご紹介します。
犬は数日前の匂いがわかる
犬の嗅覚のすごさを知るのに、最も分かりやすい例は警察犬がイメージしやすいのではないでしょうか。
犯人の匂いを辿って追跡したり、山で遭難してしまったり、地震で崩れた建物の中にいる人を探したり。
どうしてこんなことができるんだろう?と不思議に思う人も多いと思います。
犬はただ嗅覚が鋭いだけでなく、数日前の匂いがわかる嗅覚を持っています。
人間の嗅覚では、日にちが経ったり、他の空気と混ざって薄まった匂いを嗅ぎ分けるというのは至難の技です。
しかし、犬の嗅覚にはそうしたごくわずかな匂いにも反応することができます。
私たち人間の嗅覚は、ある程度匂いになれると、臭気としての感覚の刺激が鈍ってしまいます。
わずかな匂いだけでなく、機能的な嗅覚を持っていることがわかるでしょう。
匂いの分析ができる
犬の嗅覚のすごいところは、単にわずかな匂いも嗅ぎ分けられるというだけではありません。
さらにすごいのは、匂いの分析ができるということです。
具体的にどういうことかというと、例えばスパイスをたくさん使う料理をイメージしてみましょう。
私たちにとってはいい匂いか、せいぜい数種類のハーブの匂いが感じられるくらいのものです。
しかし、犬の鼻では、いい匂いにどんなハーブや香辛料が含まれているのかがわかるようになっているという感じです。
こうした機能によって、様々に入り混じっている匂いから、必要な匂いの情報を取り出すことができます。
わずかな匂いもわかるだけでなく、匂いの成分が違う方へと辿っていくということができます。
これが警察犬や災害救助犬では、大きいな功績を残している犬の嗅覚のすごいところです。
犬は誰のおしっこの匂いかがわかる
散歩をしているときに、他の犬と出くわして、互いにお尻の匂いを嗅いでいたりすることがあると思います。
この行為にも、実は犬の嗅覚のすごさを垣間見ることができます。
この行為では、お尻の匂いというよりは、肛門線の匂いを嗅いでいるのです。
というのも、犬にとってはおしっこの匂いを嗅ぐということがコミュニケーションの一つになっています。
私たちにとっては大差なさそうな匂いですが、仲間や友だちかどうかがその匂いでわかるようです。
匂いに敏感ということもありますが、犬の匂いの記憶力というのも驚くべきものがあります。
こうした行為からもわかるように、わずかな匂いを嗅ぎ分けて、それをしっかりと記憶しています。
またフェロモンなどの匂いにも、非常に敏感に反応すると言われています。
隠れたものを匂いで見つけ出す
わずかな匂いでも敏感に察知し、複数の匂いを嗅ぎ分けることができる犬の嗅覚。
私たちの想像の遥か上をいく非常に優れた嗅覚は、どんな匂いを嗅ぎ分けることができるのでしょうか。
地中にあるトリュフの匂いを頼りに、その場所を当てることができるというのは非常に有名な話です。
トリュフは非常に良い匂いがして、見つけやすいものなのかもしれません。
しかし、トリュフではなく、地中12mの深さにあるものの匂いを感じ取り、その場所を示した犬もいるそうです。
また、空港で密輸される食品や薬物などを見つけるために犬が活躍していることもご存じでしょう。
非常に強い匂いのする化学物質などの場合には、一兆倍に希釈してもその匂いがわかると言われています。
また、数日経った私たちの指紋の匂いもわかるそうで、まるで匂いが目に見えているような印象さえ受けます。
人間の呼気に含まれる匂いから、ガンを見つけ出す犬もいるそうで、その精度は最新の医療機器を凌ぐと言われています。
犬は動物の発する匂いに敏感
そんな鼻の良い犬ですが、そんなに敏感だとなんだか普段の生活に支障が出てしまいそうです。
風向きによって空気が変わったり、そんなことをしていては頭がパンクしてしまいそうです。
ですが、もちろんそんなことはありません。
犬にも得意な匂いと、不得意な匂いというのがあります。
どちらかというと、動物の発する匂いというのには敏感に反応するようにできています。
反面、普段から身の回りにある花や植物の匂いには、それほど反応することがありません。
また、化学物質などの匂いも、もともとはあまり敏感ではません。
しかし、訓練によってそうした匂いを嗅ぎ分けて、人に知らせてくれるようになっているのです。
どうして犬は匂いに敏感なのか
人も犬も、基本的な鼻の構造や匂いを感じる仕組みに大きな違いはありません。
では、どうして犬がこれだけ鋭い嗅覚を持っているかというと、匂いを感じ取る部分が広いというのが挙げられます。
私たち人間では500円玉くらいと言われている匂いを感知する部分ですが、犬には紙幣一枚分くらいあると言われています。
また、シワの多い複雑な鼻のつくりも、わずかな匂いを感じるのに役立っています。
もう一つ、犬の鼻の特徴として、鼻が湿っているということです。
これによって、わずかな匂いの成分などを吸着して、多くの情報が得られるようになっています。
また下を向いている私たちの鼻の穴ですが、犬の鼻の穴は地面に平行になっていますよね。
こうしたちょっとした違いで、風に漂う匂いまで嗅ぐこともできるようになっているのです。
犬の嗅覚の優秀さを知ろう
犬がどんなにわずかな匂いでも、しっかりと情報として感じている例を紹介しました。
しかし、あんまりにも凄すぎて、人間の嗅覚しかわからない私たちには、なかなかイメージしにくいですよね。
匂いを重要な情報源としている犬にとって、匂いの感じ方や匂いの持つ情報量自体が桁違いなのかもしれません。
これだけ鋭い嗅覚を持っていれば、私たちが外で何をしたり、何を食べたといったことまでお見通しなのでしょう。
犬には嘘をついても、匂いでバレているなんてことがあるかもしれませんね。