猫のうんちは健康のバロメーターと言われますが、もし猫が白いうんちをしたら、何かの病気でしょうか?

猫のうんちが白いときに考えられる原因をあげてみました。

うんちが白いときは内臓の病気の可能性

便の色が赤、黒、緑、そして白のときはいずれも内臓に何かの異常がある可能性があります。

猫の健康なうんちは茶色から黄色っぽい茶色です。

この茶色または黄色の色のもとは、胆汁の中に含まれる「ビリルビン」です。

より正確に言うと、ビリルビンが酸化した「ステルコビリン」の色です。

なぜ猫の便が白くなるのかに関係しているので、次に便に色がつく過程をご紹介します。

なぜうんちは茶色なのか?

うんちの色の始まりは、血液の中の赤血球です。

赤血球の寿命は約120日で、寿命を終えると脾臓に運ばれて分解されます。

そして赤血球の中のヘモグロビンは肝臓に運ばれて「ビリルビン」という成分に変えられて、胆汁の成分になります。

胆汁は脂肪を消化するための黄色い消化液で、肝臓で作られた後、胆管を通って一旦胆のうに蓄えられ、食べ物が胃から腸に送られるときに十二指腸から分泌されます。

腸内に分泌されたビリルビンは、大半はまた腸管から吸収されて血液内に戻ります。

再吸収されなかったものは便の中にとどまり、排泄されるまでに酸化して「ステルコビリン」という茶色の物質に変化します。

このステルコビリンの茶色い色こそが便の色です。

白い便は肝臓や胆のうの病気

猫の便が完全に白い場合は、肝臓や胆のうや胆管の病気の可能性があります。

肝炎、肝硬変、肝臓がんなどで肝臓の働きが弱まって胆汁が生成されなくなると、胆汁内のビリルビンの色で便が染まらないので、猫の便は白くなります。

また肝臓で胆汁が生成されていても、それが腸管内に分泌されないと便は白くなります。

胆のうに石がたまる胆石、胆管がん、胆管肝炎などがあると、胆汁が腸内に流れなくなります。

いずれの場合も、猫の命にかかわる重大な病気なので、すぐに獣医師の治療を受けましょう。

便の色が白っぽく異臭がするときは脂肪便

先ほどの胆汁は脂肪を分解する消化液ですが、同じく脂肪を分解する消化液で、膵臓から分泌される膵液の中の「リパーゼ」という物質があります。

このリパーゼが作られなくなると、脂肪の消化能力が落ちて、未消化の脂肪が便の中にそのまま出て、白から灰色の便になります。

「脂肪便」というもので、酸っぱいにおいがします。

胆汁が全く分泌されないと便は白くなります。

多少の胆汁が分泌されていても量が少ない、または胆汁は分泌されていても膵臓からのリパーゼが分泌されないという場合は、少し胆汁の色がついても脂肪の白色が目立つ「脂肪便」になります。

膵液は胆汁と同様、胆のうに蓄えられます。

この胆のうに石がたまる胆石や、膵炎などがあると脂肪便になります。

これも重大な病気なので、すぐに治療をする必要があります。

ただ、脂肪分が多すぎる食事をとったときにも脂肪便が出ることはあり、この場合はしばらく様子を見ておさまるようなら大丈夫です。

カルシウムの過剰摂取

ミルクを飲んだり、カルシウムのサプリメントを飲んだりしてカルシウムを過剰摂取すると便が白くなることがあります。

余分なカルシウムが消化吸収されず、便の中に出てくるためです。

カルシウムは猫にとって大切なものですが、取り過ぎると「シュウ酸カルシウム結石」を作り出して、下部尿路結石症の原因になるので気をつけましょう。

猫回虫症

寄生虫が大量にいると、便が白っぽく見えることがあります。

一番多いのは回虫が引き起こす「猫回虫症」(トキソカラ症)です。

猫回虫は、5㎝~15㎝くらいで白色のミミズに良く似た寄生虫です。

猫の体内に入ると、腸、肺、気管支、食道などを巡って、また腸管内に戻って大量の卵を産みます。

排泄した猫の糞に回虫の卵がいる場合、そこから他の猫に感染します。

猫回虫症になると猫は、食欲不振、元気喪失、体重減少、咳、貧血、腹痛、下痢、嘔吐、腹部膨満などの症状を引き起こします。

嘔吐したときに回虫を吐き出すこともあります。

回虫は目や脳や肺などに入ると、深刻な障害を引き起こすことがあるので注意が必要です。

また人間にも感染するので、猫の糞に回虫がいたら、絶対に手で触れないように、そして手洗いや消毒を完璧にしましょう。

白い毛の毛玉が排泄されたとき

猫は毛づくろいをするときに、自分の毛を飲み込みます。

それが胃の中にたまって毛玉になります。

多くは口から吐き出しますが、毛玉のかたまりが腸の中を通って排泄されることもあります。

毛が白っぽい猫の場合はこれが白い便のように見えることがあります。

便の異常を獣医師に見てもらうときに気をつけること

猫の便が白くなるときは、重大な病気のこともあるので獣医師に診てもらう必要があります。

獣医師に猫を連れて行くときには、便も一緒に持って行って見てもらいましょう。

写真だとわかりづらいので実物の便を取っておいて持って行きましょう。

そして検査に影響が出ないように、できれば冷蔵しないそのままの便を持参しましょう。

猫のうんちが白くなる原因とは

猫のうんちが白いときは、肝臓や膵臓など、内臓の深刻な病気の可能性があります。

命にかかわることもあるので、異常を察したらすぐに獣医師の治療を受けさせましょう。

また便の色は日ごろからよく観察して、体調と合わせて見る習慣をつけましょう。