猫は好奇心旺盛な上、人間に比べて薬品や化学物質に敏感です。
少量であっても中毒を起こしやすいので、洗剤や薬品などの取扱いには注意が必要です。
今回は、家庭によくある洗剤などを猫が誤って舐めてしまった場合の対処法をご紹介します。
ごく少量であればまずは様子を見る
ごく少量であっても危険なことに違いはありません。
ただすぐさま応急手当を…と飼い主が慌ててしまっては冷静な判断ができなくなります。
まずは、何を舐めてしまったのか、中毒症状は出ていないか、猫と猫の周りの様子を注意深く見ます。
また少量とはいえ猫は身体が小さいので、人間にとっては問題ない量でも猫にとっては厳しい量である可能性もあります。
少しでも怖いと思った時にはかかりつけの動物病院へ相談してみましょう。
そうした時の情報を伝えるために舐めてしまったものがわかれば洗剤などのパッケージは取っておいてください。
体や足を洗う
体や足、尻尾に洗剤などが付着している場合は、すぐに流水で洗い流します。
洗い流したあとは、猫が自分の体を舐めないように足の先までタオルでよく拭いてあげます。
猫が自分のグルーミングによって、毛や皮膚についた薬品を口の中に入れてしまうので、少量であっても必ず洗い流すようにしてください。
また、猫の様子に関わらず体に付着したものと、付着した場所を覚えるか控えておいてください。
時間が経ってから中毒症状が現れた場合に、獣医師に相談する際、診察の参考にしてもらう為です。
飲んでいる場合は吐かせる
石鹸などを飲んでしまって間もない(2〜3時間以内)場合は、飲んだものを吐かせます。
吐かせるときは、水や牛乳もしくは飽和食塩水や卵白を、スプーンまたは注入器で10分から15分おきに、吐き気を催すまで飲ませてください。
吐いたあとは、少量のお水と一緒に活性炭を食べさせると残留物の吸収を促してくれます。
活性炭は獣医師に処方してもらうか、猫に合った市販のものを購入しておきます。
吐かせてはいけないものもある
トイレ用洗剤や塩素系洗剤、漂白剤など酸性やアルカリ性の強いものは吐かせてはいけません。
口の中やのどがやけどをしてただれていたりする他、吐かせることで症状をかえって重くしてしまう可能性があるからです。
この場合は吐かせずに、主に水や牛乳を飲ませて毒性を薄めます。
飲んでしまったものがわかるときは、成分によって飲ませるものを分けても良いです。
飲んだものが酸性の場合は、お水、オリーブオイルもしくは卵白をスプーンまたは注入器で飲ませてください。
飲んだものがアルカリ性の場合は、お水、お酢もしくは牛乳をスプーンまたは注入器で飲ませます。
また、レモンやグレープフルーツなどの柑橘類は極力控えてください。
柑橘類の皮には下痢や嘔吐の原因になる中毒成分が含まれているからです。
飲ませるときは、果汁のみを水で薄めて飲ませるようにしてください。
動物病院に連絡する
大量に飲んでしまった場合や、よだれや下痢や嘔吐、痙攣や泡を吹くなど重い中毒症状が出た場合は、すみやかに動物病院に連絡してください。
その際、いつ何を口にしてしまったのか、どのような症状が出ているのかも伝えてください。
あとは獣医師の指示にしたがって応急処置をします。
たとえば意識がハッキリとしない場合や意識を失っている場合は、主に心肺機能の確認と気道の確保をします。
胸に手を当て、心臓が動いているか。
口元に耳を近づけ、呼吸をしているかを確認します。
頭を持ち上げて、口を開き、舌を引っ張り出します。
このとき、口の中に異物があれば取り除きます。
空気が通りやすいように首をまっすぐにして気道の確保をします。
また、動脈の位置や人工呼吸、心臓マッサージも日頃のスキンシップの中でやりやすいようにイメージしておくと、いざというときに慌てずに行うことができます。
動脈の位置は主に、前足、後足、太ももの脈拍を見ます。
人工呼吸のやり方は、頭を持ち上げ、下あごを掴み、口を閉じます。
鼻先を口にくわえ、早めに4〜5回空気を送り込みます。
胸が膨らんでしっかりと肺に空気が送り込めているかを確認しながら繰り返します。
心臓マッサージは、人工呼吸でも意識が戻らない場合に施します。
大きい猫の場合、両手の指で3センチ程度胸が沈むくらいの強さでマッサージをします。
小さい猫の場合は、胸を掴むようにもち、親指で押すようにしてマッサージをします。
動物病院に連れていく
動物病院に連絡したあとは、獣医師の指示にしたがって動物病院に連れていきます。
前述にもある通り、口にしてしまったものがわかる場合はそのもののパッケージを持参しましょう。
洗剤などが付着してしまった場合は付着した体の場所を控えておくと、よりスムーズに診察することができます。
猫が洗剤をなめてしまったら慌てず冷静に対応しよう
あらためて、猫は中毒を起こしやすい動物です。
少量であっても洗剤などの薬品を舐めてしまったときには、できるだけ自分だけで解決させようとはせず、すみやかに動物病院に連絡または獣医師に相談するようにしてください。
その万が一の為に、最寄りの動物病院と、救急対応が可能な動物病院の場所と連絡先を控えておいてください。
ご紹介した対処法はあくまで手遅れにならない為の応急手当の一例になります。