長い歴史がある中国。
その文化や歴史は、多くの時代で憧れの的として見られてきました。
そんな中国原産の犬たちは、皆個性的な姿をしています。
彼らはどのような経緯を経て、現在のような姿になったのでしょうか。
中国原産の犬種をご紹介します。
ブサカワな愛玩犬・パグ
パグは、中国原産の小型犬です。
ぺちゃっと潰れたような低い鼻と、くるっと背中の上でカールした巻き尾が特徴的です。
パグは、紀元前400年頃の中国で既にペットとて飼育されていたという記録が残っているくらい、非常に歴史がある犬種です。
そんなパグがヨーロッパの人々に知られるようになったのは、17世紀のこと。
オランダの東インド会社がヨーロッパの人々に紹介し、ヨーロッパ各地の貴族たちがこぞって飼育しました。
その後、ヨーロッパを始め、アメリカなど世界中で飼育されています。
パグの性格は、明るくて陽気です。
その反面、頑固な部分もありますが、子犬の頃からしつけをすれば、家庭犬として最適な犬種となります。
皇帝の寵愛を一身に受けたペキニーズ
ペキニーズは、チベタン・スパニエルを祖先としているとされ、かつて中国の歴代の宮廷で「門外不出」として飼育・改良がされてきた愛玩犬です。
皇帝の葬儀の際は、皇帝の寵愛を受けたペキニーズが棺を墓まで導く仕事を任されていました。
アヘン戦争の際にイギリス軍の兵士によりイギリスに持ち帰られ、ヴィクトリア女王の寵愛を受けました。
その後、貴族などにも飼育されるようになり、広く知られるようになりました。
ペキニーズは、その優雅な見た目に反して、勇敢で大胆な一面を持っています。
あまり運動は必要がない犬種のため、マンション暮らしをしている人にもオススメ出来ます。
狛犬としてのチャウ・チャウ
チャウ・チャウは、中国華北原産の犬種です。
毛色は、黒、赤、青、シナモンがあります。
かつては一般家庭だけではなく、寺院で番犬として飼育されていました。
また、そりを曳くためや猟犬として使われた他、食用や毛皮を取るために飼育されていたこともありました。
チャウ・チャウの後ろ足は棒状になっており、歩き方が少しぎこちない感じがするのが特徴です。
性格は穏和で物静かですが、家族以外には警戒心が強いという一面もあります。
遺伝的に緑内障にかかりやすく、太りやすいため、飼育には注意が必要です。
なお、チャウ・チャウは舌が青いのが特徴ですが、病気などではないので、心配は無用です。
しわが特徴的なシャー・ペイ
シャー・ペイとは、中国広東省原産の犬種です。
シャー・ペイは「沙皮」と書き、「砂のようにザラザラした毛皮」という意味です。
皮膚に独特のしわがあるのが特徴的です。
祖先は前漢時代中国南部に生息していた「ハン・ドッグ」という古代犬であると言われています。
このハン・ドッグにナポリタン・マスティフを掛け合わせて犬種が確立しました。
また、同じ中国原産のチャウ・チャウと共通特徴があることから、この2種は共通の祖先から派生したと考えられています。
性格はプライドが高いですが、飼い主には忠実な一面もあります。
シャー・ペイは、闘犬の他に農作業の手伝いやイノシシ狩りに従事していました。
現在は、ペットと飼育されているのがほとんどです。
日本でも人気が高く、20万円から30万円くらいで取引されています。
寺院を守っていたラサ・アプソ
ラサ・アプソとは、中国チベット自治区ラサ市原産の愛玩犬です。
頭部から四肢の先まで、美しく豊富な毛で覆われているのが特徴です。
「ラサ」は原産地であるチベット仏教の聖都・「ラサ市」を、「アプソ」は「ヤギ」を意味するチベット語「ラプソ」が転訛したものです。
優れた聴覚を活かしてチベット仏教の寺院で番犬として飼育されていた歴史があり、来客などが来たら飼い主に鳴いて知らせます。
このラサ・アプソとペキニーズを交配させて生み出されたのが「シー・ズー」であると言われています。
ラサ・アプソが欧米に紹介されるようになったのは第二次世界大戦前であり、特にアメリカでは繁殖が盛んに行われてきました。
性格は、快朗だけど用心深い一面もあります。
ヘアレスドッグの人気ナンバーワン。チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
チャイニーズ・クレステッド・ドッグとは、中国原産のヘアレス(毛がない)犬です。
かつては身分の高い人の愛玩犬として飼育されており、現在でもペットやショードッグとして飼育されています。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグには、ヘアレスタイプとパウダーパフタイプの2種類が存在しています。
ヘアレスタイプは頭にたてがみのような毛があり、足先としっぽの先に飾り毛ありますが、それ以外は無毛なのが特徴です。
そのため、保湿クリームや洋服で皮膚を保護する必要があります。
パウダーパフタイプは、全身が絹のような細く長い被毛で覆われているのが特徴で、定期的なブラッシングをして毛並みを保つように心掛けます。
なお、ヘアレスタイプとヘアレスタイプを交配させると、遺伝子上の問題で流産や早産の危険性が高まるため、必ずヘアレスタイプとパウダーパフタイプの個体を交配させるようにします。
個性豊かな中国産の犬種
中国原産の犬種を見てきました。
時の皇帝の寵愛を受けた犬種、闘犬として活躍した犬種、番犬や農作業に従事していた犬種など、それぞれに様々な分野で活躍してきた歴史がありました。
現在はペットとして飼育されているのがほとんどですが、彼らの中に脈々と流れている歴史に思いを馳せてみるのも、魅力を再確認することが出来、オススメです。