「犬がびっこをひいている」というのは、動物病院に受診する犬の症状の中でも比較的多いです。
犬が突然びっこをひきはじめたら、きっと飼い主さんは非常に慌てると思います。
一体どんな病気でびっこを引く可能性があるのか、知っておくことで、いざという時のために役立つことでしょう。
ここでは、びっこをひく原因となることの多い原因をご紹介します。
足の裏に何か刺さっている
散歩のときに、足に何か刺さって痛みからびっこを引くことがあります。
刺さるものは、例えば草の種やガラスの破片など、様々です。
刺さったときに、外まで刺さったものが出ていれば、患部を見てすぐに何が刺さっているか分かりますが、犬は毛に覆われているので、見た目ではなかなかわからないことも意外に多いのです。
何か刺さっていると、数日立つとどんどん患部が腫れてきたり、化膿してくることでしょう。
麻酔をかけて、患部から原因となる異物を取り除く必要があります。
骨折
骨が折れても痛みからびっこを引きます。
小型犬の場合、飼い主さんが抱っこしていたら暴れて落下してしまった、という原因が非常に多いです。
骨が折れてしまうと、患部が腫れあがり、熱を持ち、痛みを訴えます。
骨の方向が明らかに本来の方向と異なる方向を向いてしまうこともあります。
(交通事故などの場合、体全身を打っているので、全身の検査が必要となるでしょう。)
骨折は、ほとんどの場合、手術によって固定をする必要があります。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨とは膝にあるお皿の骨を指し、この骨が膝関節から外れる状態が膝蓋骨脱臼という病気です。
この病気はトイ種やミニチュア種に多い疾患で、生まれつき膝蓋骨が脱臼する犬も少なからずいます。
健康診断のときに、一度チェックしてもらっておきましょう。
フローリングで滑る、後ろ足だけで立ってジャンプをするなどの行動で後天的に脱臼するようになってしまう犬もいます。
犬は、膝蓋骨が脱臼するたびに痛みを訴えたり、スキップのような歩き方をしたり、びっこを引いたりします。
膝蓋骨の脱臼が習慣的になることで、関節内で炎症が起こるようになります。
根治を目的とするためには外科的に手術をするしかありませんが、症状によっては内服薬で経過を見ることもあります。
前十字靭帯断裂
前十字靭帯とは膝の関節の中にある靭帯で、断裂することにより足を痛がり、びっこを引きます。
激しい運動や事故によって負荷がかかり、切れてしまうことがあります。
老化によって靭帯が弱くなったり、肥満によって断裂してしまったりすることもあります。
一般的には手術で靭帯を再建する手術を行い、安静にします。
椎間板ヘルニア
椎間板とは、背骨の間にあるクッションの役割をするものです。
これが変性し、脊髄を圧迫する病気がつい間板ヘルニアです。
ミニチュアダックスフンド、ウェルッシュコーギー、ビーグル、ペキニーズなどは好発犬種です。
痛みや痺れがあり、びっこを引く、足の付き方がおかしい、足を引きずる、足が麻痺する、うまく排尿排便ができない、痛みを感じなくなるといったように、症状にはかなりの幅があります。
一番重い状態では半身不随の状態になります。
治療法は、外科的に手術で治療をするか、積極的な治療はせずに対症療法を内科的に行うかのいずれかです。
股関節形成不全
股関節形成不全は、ラブラドールレトリバー・ゴールデンレトリバー・シェパードなどの大型犬や、バーニーズマウンテンドッグやニューファンドランドなどの超大型犬に多い病気です。
股関節が生まれつき不安定な構造であることが原因、もしくは後天的に激しい運動や環境が原因で股関節が変形することで、炎症を起こす病気です。
痛みがあり、特徴的な腰を振る歩き方をします。
歩くときにびっこをひくことや、座り方がぎこちないという症状も見られます。
治療は内科的な方法と外科的な方法があり、病状の程度、犬の年齢や体重などを加味して判断されます。
変形性関節症
変形性関節症は、関節に変形が生じ痛みを感じる病気です。
老化に伴って起こることが多いですが、前述の膝蓋骨脱臼・股関節形成不全などの発生頻度の多い疾患に伴って生じることも多いです。
症状は関節炎が起こる関節によっても異なりますが、痛み、びっこを引く、歩き方がおかしい、座り方がおかしい、散歩を嫌がるようになるなどの症状が見られます。
治療は痛みを緩和するための内服治療が一般的です。
体重管理をして関節への負担を減らすこと、フローリングなどで滑らせないようにすることは治療において重要です。
原因の疾患がある場合は、元となる疾患の治療も並行して行うことがあります。
犬がびっこを引く原因を見つけよう
これらの病気はどれも痛みを伴うものばかりなので、きちんと治療をしてあげないと犬のQOLは著しく低下してしまいます。
いずれにしても、犬がびっこを引くときは何らかの原因があるので、きちんと動物病院を受診して原因を特定しましょう。