おやつやご褒美として、愛犬に犬用クッキーを与える方も多いのではないでしょうか。

しかし中には、人間用のクッキーを軽い気持ちで与えてしまう飼い主さんもいます。

ここでは、人間用のクッキーを犬に与えてはいけない理由を、いくつかピックアップして説明します。

1.肥満になりやすい

人間用のクッキーは、犬用クッキーに比べてとても多くの砂糖や脂質が含まれており、犬にとってはかなり高カロリーだと言えます。

その人間用のクッキーを「愛犬が食べたがっているのに、与えないと可哀想」などという飼い主の勝手な考えで安易に与えてしまうと、体重や体脂肪は増え、犬の体へ悪い影響を与える一方です。

人間と同じく肥満は万病の元で、糖尿病や心臓病、神経や関節のなどの様々な病気を患いやすくなります。

人間用のクッキーの100g当たりのカロリーは500キロカロリーほどで、高カロリーな食べ物です。

そして、糖分に加えて肥満の元となる脂質は、一般的な人間用のクッキーには100g当たり27.5gほど含まれています。

犬の1日の必要摂取カロリーは「2×(30×体重+70)」で算出した数字だと言われています。

そして、犬の1日の脂質の摂取量の目安は「1.1g×愛犬の体重」で算出された数字です。

この2点の計算式と人間用のクッキーのカロリー・脂質を比較してみましょう。

犬に人間用のクッキーを与えるとカロリーオーバーになりやすく、脂質の過剰摂取になってしまうことは明確です。

2.虫歯になりやすい

前述の通り、人間用のクッキーには大量の砂糖が含まれています。

「犬は虫歯になりにくい」とよく言われていますが、砂糖などの甘いものを過剰に摂取した場合は、当然犬も虫歯になります。

なので、砂糖が大量に入ったクッキーを食べると虫歯のリスクが高くなります。

人間と同じく、犬も虫歯になるととても辛い思いをします。

虫歯が悪化して神経まで到達してしまった場合には、歯の痛みから満足に食事を摂ることが出来なくなって衰弱してしまいます。

その結果、焦って動物病院に駆け込むという事態になってしまうことも十分に考えられます。

犬の舌は甘味を敏感に感じ取るので、甘いものを好む傾向にあります。

だからといって、愛犬が欲しがるまま甘いクッキーを与えるのは、飼い主の「歪んだ愛情」とも言えるでしょう。

3.深刻な病気につながる可能性がある

人間用のクッキーには大量の砂糖のほかに、たくさんの塩分や、添加物も含まれています。

塩分が多く含まれる食べ物を犬が摂取すると、肝臓や腎臓疾患、心臓病を患うリスクが高くなります。

ちなみに、一般的な犬の1日の塩分摂取量の目安は、小型犬の場合は0.18g、大型犬の場合は4.9gほどです。

そして、人間用のクッキーには、着色料や保存料などの添加物が含まれているものが多く売られています。

着色料や保存料の種類によっては、犬が貧血や肝臓障害を起こす有害なものもあり、発がん性物質が含まれていることも証明されています。

最近では、犬用クッキーのレシピが載っている雑誌やサイトが多数あります。

そちらを参考に塩分や添加物を使用しない安心出来る素材を使って、飼い主さんが手作りするのも良いのではないでしょうか。

4.クッキーに混じっているものによっては中毒症状を起こす

人間用のクッキーには、チョコレートやナッツなどが入っているものも多くあります。

しかし、この2つの食材は、犬が食べると中毒症状を起こしてしまうとても有害なものです。

チョコレートには、犬にとって有害な「テオブロミン」という成分が入っています。

犬がチョコレートを食べると、下痢や嘔吐や多尿、神経の異常などのテオブロミンによる中毒症状が起こります。

そして、それがさらに悪化すると、呼吸困難や不整脈に加えて筋痙攣を起こし、死に至るケースがあります。

ナッツ類を食べた際には、下痢や嘔吐、発熱、そして痙攣やひきつけを起こす場合もあり、最悪の場合には腎不全を起こし、やはり死に至るケースもあります。

そのほかに、ココアやコーヒー、レーズンも人間用のクッキーに入っていることが多いですが、これらも犬にとって有害な成分が含まれており中毒症状を引き起こすので、要注意です。

そして、飼い主が家を留守にしている間に、愛犬が人間用のクッキーを食べてしまって体調を崩し、動物病院へ駆け込むというケースも多くなります。

このような事態にならないためには、人間用のクッキーやお菓子などの犬にとって有害なものは、愛犬の届かない場所に保管しておくことも大切です。

犬に人間用のクッキーは与えないようにしよう

このように、人間用のクッキーを愛犬に与えることは様々な弊害があります。

おやつやご褒美としてクッキーを与えるときは、人間用の食べ物と犬用の食べ物をきちんと線引きしましょう。

必ず犬用クッキーを与えるように飼い主さんがしっかりと心掛けることが大切です。

愛犬と長く幸せに生活していきたいのであれば、自分と同じものを食べて自己満足を得るような甘やかし方は、絶対に避けるようにしましょう。