みなさんは、飼い犬の歩き方がおかしいと思ったことはありませんか。
実は足をついていない、お尻を振って歩いている、足を引きずっている。
そんな、変な歩き方をしていたら、その子は手や足の関節に異常があります。
手足の骨は体の骨の孔のようなへこみに入るようになっています。
その手足の骨が体の骨から外れた状態を脱臼と言います。
今回は、脱臼と歩き方の関係についてお話しします。
犬が肩を脱臼したとき
腕の骨は肩の骨とつながっており、このつながりが外れることを肩関節脱臼と言います。
前足の上の方の体とつながっている骨を上腕骨と言い、肩の骨を肩甲骨と言い、これらの骨がつながっている部分を肩関節と呼びます。
肩関節が脱臼すると脱臼した方の前足を地面につけなかったり、引きずったりするようになります。
また、患部に触れると痛がることが多いです。
犬の場合ですと、交通事故のような外傷が原因の肩関節脱臼の他に先天的に起こる事があります。
先天的な肩関節脱臼はトイプードル、シェルティー、チワワ、ミニチュア・ピンシャーのような犬種に見られ、肩関節が生まれつき歪んでいて生後3~8か月で肩関節脱臼が明らかになります。
また、先天性の肩関節脱臼は左右両方で脱臼することが多いです。
そして、先天性の肩関節脱臼では、痛みを感じないこともあります。
さらに、肩関節脱臼はほとんどの場合(75%)内側に脱臼します。
肩関節脱臼を起こした場合は、外れた関節をはめなおしたり、ギブスで固定したりして治療しますので、動物病院で診てもらいましょう。
犬が股の関節を脱臼したとき
後ろ足の人間でいうところの太ももの骨を大腿骨と言い、腰の骨を骨盤と言います。
この大腿骨と骨盤の繋がりの股の部分を股関節と言い、股関節脱臼は犬で最も多い脱臼の一つです。
股関節脱臼を起こしていると、患部を曲げると痛がったり、髪の毛をすり合わせたようなチリチリという音、いわゆる捻髪音が聞こえたりします。
また歩き方では、患部の足を伸ばしたまま、スキップのような歩き方になったり、ガニ股で歩いたりします。
股関節脱臼は交通事故に遭ったときや高い所から飛び降りたときになったりします。
また大型犬種などでは、先天的に股関節の骨盤側のくぼみが浅い事があり、それが原因で股関節脱臼を起こすこともあります。
股関節脱臼になってしまった場合は、外れた股関節をはめるだけの時もありますが、麻酔をかけて手術によって関節をつなげたり、大腿骨の一部を切除したりする必要があります。
大型犬で症状がひどい時は、股関節を人工関節と取り替える大手術が必要になります。
いずれにせよ、獣医さんに診てもらう必要がありますので動物病院に連れていきましょう。
犬が膝のお皿を脱臼したとき
人間で言うところの膝の皿、いわゆる膝蓋骨が犬にもあります。
膝蓋骨は膝を曲げたり伸ばしたりする際に靭帯がずれないようにある骨なのですが、大腿骨とその下の腓骨でくぼみをつくり、そこに収まっています。
膝蓋骨脱臼も最も多い犬の脱臼の一つです。
膝蓋骨が脱臼すると、患部の痛み、スキップをするような歩き方、脱臼した方の足をずっと挙げたままの状態で歩くというような症状が現れます。
股関節脱臼は、習慣的に姿勢が悪いことで股関節が変形し、大腿骨が外側に回転し、膝蓋骨が内側に脱臼します。
小型犬は先天的にこのタイプの膝蓋骨脱臼が多く、50%の確率で両方の膝蓋骨脱臼を起こすと言われています。
大型犬は、外側に膝蓋骨が外れることが多く、こちらは重症になりやすいと言われています。
膝蓋骨脱臼の治療は基本的に外科手術を行います。
大腿骨のくぼみを深くする、糸で膝蓋骨を固定するというような方法で治療を行います。
当然、こちらも動物病院に連れていく必要があります。
犬が背骨の脱臼
関節があれば脱臼が起きる可能性があるわけで、当然背骨にも脱臼があります。
いわゆる、脊椎脱臼です。
交通事故、衝突、落下等が原因で起こり、後部胸椎や第一腰椎で起こりやすい脱臼です。
脊椎脱臼が起こると四肢の脱臼とは異なり、後ろの足の感覚がなくなったり、動かないのでお尻を引きずって歩いたりします。
また、首の骨の脱臼、いわゆる環軸亜脱臼では、四肢に麻痺が出ることがあります。
脊椎脱臼の治療は、外科手術によって治療を行いますが、完全に治らないこともままあります。
ミニチュア・ダックスフンドやトイ・プードルといった、小型犬は高い所に登らせたりしないように注意しましょう。
犬の脱臼の治療は外科手術
いずれの脱臼も治療には外科手術が必要です。
起こってしまっては大変ですので、交通事故や、高い所からの落下、小型犬の階段の上り下りなどには十分注意しましょう。
また、骨折などでも脱臼と同じような症状を示すことがあります。
異常を感じたらすぐに動物病院に連れて行ってあげてください。