プルーンは食物繊維や鉄分、ビタミン、ミネラルが豊富で栄養価が非常に高い果物です。

その栄養価の高さから「ミラクルフルーツ」と呼ばれることもあります。

美容に関心がある人や便秘に悩んだことのある人は、一度は口にしたことがある果物なのではないでしょうか。

このように人間にとっては非常に効果的な食物であるプルーンが、犬にとっては危険な食べ物であるということはあまり知られていません。

ではなぜ犬にプルーンをあげてはいけないのでしょうか。

プルーンには過度に食物繊維が含まれている

プルーンに含まれる食物繊維は「不溶性食物繊維」と言って本来は便秘を防ぐ整腸効果が期待されるものです。

しかもプルーンには他の野菜や果物と比べて非常に多くの食物繊維が含まれています。

しかしながら人間よりもはるかに腸の短い犬にとって、過度の食物繊維は下痢を引き起こします。

またカルシウムや鉄分などの必要な栄養素までも体外に排出してしまうことがあります。

そうして、人間には便秘解消効果をもたらすはずのプルーンが、犬には「便秘」を引き起こしてしまう逆効果を招いてしまうことにもなりかねないのです。

さらに、食物繊維は乾燥させると生の時よりも凝縮される特徴があります。

ドライプルーンになると犬にとっては致命的な量の食物繊維を摂取することとなってしまいます。

プルーンのカリウムが腎臓障害を引き起こす

カリウムというのは動物の体内ではカルシウム、リンに続いて多く存在するミネラルです。

神経情報の伝達や体の水分の調節、筋肉の弛緩や緊張、細胞内でのエネルギー生産などに使われる大切な栄養素です。

このカリウムの含有量がプルーンは非常に多いのです。

さらにドライプルーンではカリウムの量が2倍に増えると言われています。

体の小さな犬がカリウムを多く摂取すると血中のカリウム濃度が高くなり、細胞がうまく機能せず体に様々な影響が現れます。

主な症状としては、嘔吐、下痢、元気がなくなる、昏睡などです。

この状態をカリウム血症と言い、早く処置を行わなければ不整脈が現れ心停止に至ります。

特に高齢の犬はもともと腎臓の機能不全や頻尿の症状を抱えている場合が多いのでより注意が必要となります。

プルーンの葉や茎、種に毒性の成分が含まれている

人間にとっては無害ですが、犬にとっては中毒症状を引き起こす成分がプルーンの葉や茎、種に含まれています。

食べるのは果実部分だから大丈夫じゃないかと思われる方がいるかもしれませんがそうではありません。

種に毒性成分が含まれるということは果実にもその成分が少なからず影響を与えているということです。

さらに、この毒性成分は乾燥すると毒性が強くなるという特徴があるため、ドライプルーンには生以上に毒素が含まれているということになります。

中毒症状としては、呼吸困難やショック状態、けいれん発作などです。

もしも犬がプルーンを誤飲食してしまったら

気を付けていても何かのはずみでプルーンを誤飲食してしまった場合は、すぐに獣医師に連絡、相談をしてください。

しかし、種や実が詰まってしまって呼吸困難に陥ってしまっている場合は速やかに応急処置で取り除くことが必要です。

その場合は犬の舌を引っ張りながら喉を開かせ、ピンセットなどでゆっくり取り出してください。

小型犬の場合はさかさまにして、背中をたたいたり、人間がハイムリック法を行うように腹部を圧迫したりすることで取り除ける場合もあります。

さらにすぐに病院に連れていけない場合や医師の指示があった場合は、体内に消化吸収されることを防ぐために安全に吐かせる必要があります。

安全に吐かせる方法としては次の2つがあります。

①塩で吐かせる方法

水100mlあたり塩3gを入れた食塩水を作り飲ませる。

飲んでも吐かなかったり、飲まなかったりする場合はスプーン1杯程度の塩を直接犬の喉の奥に流し込む。

②オキシドールで吐かせる方法

オキシドール小さじ1杯程度(3~5㏄)を飲ませる。

オキシドールは犬の体に害はないので飲ませても大丈夫です。高血圧などで食塩を多くとるのが心配な場合はオキシドールを利用する方法をオススメします。

飲んですぐ吐く場合もありますが、数分経ってからよだれがだらだらと出てきてその後吐くことが多いです。

意識が朦朧としている、意識がない場合は無理に吐かせず病院へ行ってください。

吐いた後は、水分補給を忘れずに行い、いつもより多めの水分を与えることが重要です。

危険を知って犬と安全に暮らそう

今回取り上げたのはプルーンの危険だけでしたが、日常生活の中で犬にとって危険なものはまだまだたくさんあります。

食物で言えば、ネギ類、ニンニク、ラッキョウ、アボカド、チョコレートなど、飲み薬や殺虫剤、除草剤や重金属などにも注意が必要です。

犬と一緒に安全に暮らすために飼い主は、犬にとって危険性のあるものを正しく知り、万が一の対処方法を理解しておくことが必要です。