犬は基本的に肉食動物なのですが、野菜や果物でも与えて大丈夫なものはあります。
ブロッコリーはそのひとつで、ビタミンCをはじめ多くの栄養素を含んでいますので、犬に与えるメリットはあります。
ただ、体にい良いからといって、むやみに与えては逆効果になってしまうケースもあります。
ブロッコリーを犬に与える際の注意点についてご紹介します。
繊維質が多いため生で与えない
これはブロッコリーに限ったことではありませんが、野菜類は食物繊維を多く含んでいます。
ブロッコリーはその野菜の中でも食物繊維の多い方に入ります。
人間が食べる際には、食物繊維が多いのは便通を良くすることで腸内の悪玉菌の繁殖を抑えるなどメリットが大きいのですが、犬にとっては食物繊維を多く含むということは必ずしもメリットにはなりません。
犬は基本的に肉食動物です。
奥歯が人間の犬歯のように尖っていますので、草食動物や雑食動物のように咀嚼するのは得意ではなく、あまり噛まずに飲み込んでしまいます。
付け加えると腸が短いので植物の消化にも適していません。
このため、あまり噛まずに飲み込んでしまうと、消化不良を起こして下痢や便秘の原因になってしまうのです。
愛犬の健康を考えてのことが、逆効果になってしまっては意味がありません。
犬にブロッコリーを与えるときは生のままではなく、加熱したうえで切り刻むなど、あまり噛まずにのみ込んでも消化できるようにした方が良いでしょう。
付け加えると、調理する際には塩を使わず、そのまま電子レンジで温めるなどしてください。
犬は塩味を感じることができませんので、ナトリウムの過剰摂取になってしまう可能性が高いからです。
甲状腺機能低下の可能性があるため量を控える
ブロッコリーやキャベツなどアブラナ科の植物には、グルコシノレートという物質が含まれています。
グルコシノレートは犬の体内でゴイトロゲンという物質に変化するのですが、このゴイトロゲンが問題です。
犬の甲状腺がヨウ素を取り込むのを阻害して、甲状腺の機能を低下させる働きがあるからです。
甲状腺の機能が低下すると、体毛が抜けて薄くなってきたり、全体的に元気がなくなったりという症状が現れます。
子犬の場合は、甲状腺の機能低下によって発育が止まってしまうという臨床例も報告されています。
重篤になると、意識障害を起こすケースもあるとされています。
甲状腺の機能低下を起こさないためには、ブロッコリーを与えすぎないことが肝要です。
基本的にどのような食べ物でも、食べ過ぎれば体に害になってしまいますから、適量を与えるようにしましょう。
特に、根本的に甲状腺の機能が弱い犬種では要注意で、少しでも与えすぎると甲状腺の機能が落ちてしまいます。
ゴールデン・レトリーバー、ダックスフント、ドーベルマン、柴犬、ボクサー、プードルなどは甲状腺の弱い個体が多いので、注意が必要になってきます。
尿路結石の原因になるケースがある
ブロッコリーにはシュウ酸が多く含まれているとされています。
このシュウ酸が尿路結石の原因になってしまうのです。
シュウ酸は体内でカルシウムと結合して、シュウ酸カルシウムという物質になります。
基本的には尿として排出される物質なのですが、このシュウ酸カルシウムが増えると腎臓内で結石になってしまいます。
結石が尿管に詰まって尿が出にくくなってしまうこともあるため、注意が必要になります。
尿路結石にならないためには、体内でシュウ酸カルシウムができないようにする必要があります。
ただ、骨の原料になるカルシウムの摂取を控えることはできませんので、必然的にシュウ酸の摂取を控える必要が出てくるのです。
そのためには、シュウ酸の多いブロッコリーの量は控えめにするようにしましょう。
アレルギーを持つ個体に与えてはいけない
ブロッコリーは比較的アレルギー症状の出にくい野菜だとされていますが、出ないというわけではありません。
ブロッコリーアレルギーを抱えている個体も存在しています。
ブロッコリーにアレルギーがある個体だと、与えた場合に嘔吐やむくみ、発疹、脱毛、下痢などの症状が出るとされています。
もし愛犬にブロッコリーを与えたあと、元気がなくなり、上記のような症状が出ているようでしたら、アレルギーの可能性がありますのでただちに摂取を中止してください。
ブロッコリーを与えるのは愛犬の健康のためであって、ブロッコリーによって体調を崩すのであれば本末転倒です。
アレルギーを起こした個体には、決してブロッコリーを与えないでください。
犬にブロッコリーをあげるときは注意しよう
ブロッコリーを与えることは犬にとってメリットは大きいのです。
特にドッグフードで与えるのが難しいビタミンなどを補充してくれますので、可能であれば与えておきたい野菜です。
ただ、上記のような問題もありますので、与える際には十分に注意してください。