犬に骨を与えるのは、メリットより注意すべき点が多いと言えるでしょう。

犬は本来、肉食ではなく、食べたいものを自分の口や胃に合わせてかみ砕いた状態で吸収します。

この観点から、骨(特に加熱していない牛の骨など)は、軟骨がなく硬いために、十分に噛み砕けないので、消化不十分になります。

もちろん、市販されている骨などもあり、安全性は確保されているでしょう。

しかし、「うちの犬は骨を食べても大丈夫だった」からと、何度もあげ続ければ、消化できずに体調を壊す確率が高まってしまいます。

骨をあげることでもちろん、メリットもありますが、それ以上に注意が必要になります。

加熱した鳥の骨なら安心

犬は普段はドッグフードを食べているように、自分が食べやすい大きさで栄養価のあるものを食べるというのが自然です。

骨は硬く大きなもので、本来は自分の口には合わない大きさであるため、噛み砕いてから食べる必要があります。

牛の骨などはその典型で、食べるところを見ていると、大型犬でも骨を砕いたり、少しずつかじってすり減らすようにして食べています。

しかし、中には噛み砕ききれずに口に合わない大きさのまま食べてしまうこともあるため、この場合には注意が必要になります。

一度骨を与えて大丈夫だったと安心しがちですが、これは「その時にきちんと噛み砕いて食べ、消化できているから」です。

これを何度も繰り返せば、大きな骨をお腹の中に入れたまま、消化しきれずに体調を壊してしまう原因となります。

一般的に、骨は食べるというよりかじって遊ぶために与えるものと言われています。

このことから、「食べ物としての骨」をあげても大丈夫なのは、加熱した鳥の骨に限られるようです。

鳥の骨は軟骨成分が多く、噛み砕きやすい、犬の口に合わせて消化することができます。

さらに、加熱することによって、犬の胃の中できちんと消化吸収されるため、残るということがありません。

鳥の骨、市販の骨でもあげすぎはダメ

加熱した鳥の骨、市販の柔らかい骨でも、やはりあげすぎは良くありません。

噛み砕いて食べられても、量が多すぎれば嘔吐してしまい、体調を壊すことの原因になります。

あくまでドッグフードを主食として、骨はわずかなおやつ程度、おもちゃとして遊ぶ程度と考えた方が良いかもしれません。

市販の骨も、硬いものは避けた方が良いとされています。

売っているものだから大丈夫と、あげ続けてしまうと、噛み砕ききれずに、お腹の中に残る確率が高まります。

柔らかく、小さなものを選んで、食べても大丈夫なように配慮してあげましょう。

硬すぎる骨は歯肉炎を引き起こす

市販のものでも、硬い骨はかみ砕く時に、歯やあごの力を要します。

牛の骨などはプラスチックと同じくらいの硬さのものもあり、小型犬などは歯も立たないでしょう。

そのため、無理に噛み砕こうとして、思い切り噛んでしまい、歯や歯茎を傷める原因になってしまいます。

実際に、小型犬が硬い骨を噛んでいるところを見ると、明らかに歯茎から出血があり、無理をして噛み砕いていることがわかるでしょう。

歯茎に傷ができれば、歯肉炎を引き起こすおそれもあり、あちこち舐めた時に、そこからバイ菌が入ってしまう可能性もあります。

また、「硬すぎる骨」は歯を傷つけたり、歯が割れてしまうこともあります。

これらの理由から、「硬すぎる骨はあげない」ことが望ましいと言えます。

カルシウムの補給に

骨をあげるのは注意ばかりではなく、もちろんメリットもあります。

その代表的な例がカルシウムの補給です。

市販の骨にはどんな栄養分が含まれているかが記載されているので、その養分を補給させる目的で一時的に与えるのであれば効果が期待できます。

やはりオススメは鳥や鴨の首骨で、食べやすい硬さの軟骨でできているほか、カルシウムや脂肪、タンパク質が含まれていますから、安心して噛み砕いて食べることができるでしょう。

柔らかい鳥の骨からは十分な栄養が摂れるので、あげれば効果が期待できます。

あごを鍛え、歯を強くする

骨をあげるメリットとして、噛み砕く力で犬のあごを鍛え、歯を強くすることがあげられます。

この場合もオススメは加熱した鳥の骨で、噛むことでドッグフードにはない「ちょうど良い硬さの食感」を味わうことができるでしょう。

犬にとっては、食べ物というよりはおもちゃとして遊ぶついでに食べてしまうという感覚になるでしょうか。

また、硬めのものを口の中で噛み砕くことで、歯石をとったり歯みがきをするという効果があります。

柔らかい鳥の骨を愛犬にあげよう

犬に骨をあげるときは、加熱した鳥の骨ならオススメです。

ただし、あげすぎ、食べ過ぎは注意が必要です。

骨と言っても柔らかい軟骨で、きちんと噛み砕けるくらいのものが最適でしょう。

犬に骨をあげる場合は、メリットを考える以上に注意が必要ですから、「きちんと食べられるもの、食べても効果が得られるもの」を選んであげるようにしましょう。