私たち人間にとっての癒しの存在でもある犬ですが、犬も人間と同様にストレスを日々感じながら生活しています。
日常生活の中で軽いストレスを感じている程度なら問題ありませんが、慢性的なストレスの場合は人間と同じように、元気が無くなったり食欲不振になったりと、犬の心身に悪影響をもたらします。
ここでは、犬がどんな事でストレスを感じるのか、そして犬のストレスを解消するために飼い主にはどのような事が出来るのかご紹介します。
犬のストレスの種類
犬のストレスは、心理的なものと身体的なものに分かれます。
心理的なものには飼い主家族の不仲によって感じるもの、引越しなどの環境の変化によるもの、飼い主に赤ちゃんが産まれる、新しい犬が加わるなど、家族が増えることによるものなどがあげられます。
人間の心理的ストレスにも言えることですが、やはり環境の変化が大きな原因になる事がほとんどです。
一方、身体的ストレスには、本当は行きたくないのに無理やり散歩をさせられることや、過度の運動などがあります。
散歩は犬にとって良いことですが、犬も疲れていたり体調が良くなかったりする事もあります。
小型犬であれば、毎日の散歩や激しい運動は必要ありません。
無理に連れ回すことによって、犬の身体には過度のストレスがかかってしまうのです。
スキンシップを増やす
犬は精神的にストレスを感じている時、カーミングシグナルというボディランゲージを出します。
あくびをしたり、尻尾を降ったりする行為がそれにあたり、これは飼い主とのスキンシップが足りていないサインであることが多く、構って欲しいというサインでもあります。
一日のうちに何度か犬との時間を設けて、おもちゃで遊んであげたり、撫でてあげたり、抱き締めてあげましょう。
犬も人間の赤ちゃんと同じように、触れて貰ったり話しかけてあげると嬉しいのです。
言葉は理解していませんが、人間の自分への気持ちや雰囲気などは察知する事が出来るので、少しのすれ違いでもいじけてしまいます。
飼い主の方から、しっかりスキンシップを取るように心がけましょう。
軽度の心理的ストレスならこれで十分解消されます。
適度な運動をさせる
先ほど、過度の運動は身体的ストレスを感じると説明しましたが、心理的ストレスが溜まっている場合、軽い適度な運動はストレス解消に繋がりますし、散歩などの運動量が足りていない事も犬にはストレスになります。
犬がカーブを描くように歩いたり、噛み付き行為したり、突然飛びついてくるような行為をした場合は散歩の量が足りていない可能性が高いです。
その場合は、散歩の回数や時間を増やしてみたり、散歩のコースを時々変えてみると良いでしょう。
適度な刺激がストレス解消になります。
小型犬か大型犬、室内犬かそうでないかによって運動量は異なりますが、お散歩は犬の生活リズムを整えるためにも大切な習慣です。
その犬のペースに合った散歩の習慣を崩さないようにする事が大切です。
飼い犬が増えた場合、一時の間離して育てる
犬同士にも相性があり、元々飼われている犬の場合は縄張りを取られたよう意識が働き特にストレスになります。
新しく来た犬にとっても、恐怖心などからストレスを感じるので、双方にとって良くない環境です。
犬同士の相性があまり良くないと感じたら、一時の間は別々の空間で育てるようにしましょう。
部屋が狭い場合は、ついたてなどをして視界を遮ってあげて下さい。
少し面倒ですが、散歩の時間を別々にするなどの工夫も大切です。
二匹にたっぷりと愛情を注ぎ、少しずつお互いを慣れさせてあげましょう。
これは人間の家族が増えた場合でも同じです。
新しいおもちゃなど、時には刺激を与える
人間にとっても単調な毎日はつまらないですよね。
それは犬も同じです。
犬は元々好奇心の強い生き物なので、散歩しかすることがなく、一日ぼんやりしている事は犬にとって苦痛です。
たまには、犬の本能を刺激するようなおもちゃを与えて遊ばせてあげましょう。
犬と一緒にロープの引っ張り合いなんかをすると、スキンシップにもなり、一石二鳥ですね。
刺激を与える行為として、新しいしつけを教えてあげるのも効果的です。
犬は教えて貰った事を実行することに喜びを感じるので、常に新しい学びを求めているのです。
ゲージから出して、広い部屋で生活させる
犬、特に小型犬はささいなことでストレスを感じてしまいます。
衛生面などを気遣って、小さなゲージの中に入れっぱなしにしている場合は、すぐに広い部屋で生活させたほうがよいでしょう。
犬も人間と同じです。
小さな部屋、狭い部屋にずっといると、窮屈に感じ、ストレスがたまってしまいます。
広い部屋に移して、気持ちを解放させることで、ストレスなく、自由にのびのびとした心が育ちます。
これは、外で飼っている犬にも同じことがいえます。
鎖でつながれ、小屋にいるとどうしてもストレスになりがちです。
散歩も大切ですが、大きな柵で開放感のある部屋を作ってあげて、鎖をはずした状態で生活させることが大切です。
散歩してあげる
散歩はストレス軽減のために絶対に必要なことです。
本来、犬は野性の動物ですから、外で思いっきり走ったり、他の動物と会って生活していく本能をもっています。
犬を飼うことは、人間の支配下に置くということですから、それ自体でストレスがかかる状態です。
でも、愛情をもって散歩してあげることで、本能を表現することができ、気持ちよく生活ができます。
散歩の際も、他の犬や人と多く出会うような場所ならさらに良いでしょう。
一人で散歩していると、吠えたりして表現することがなくなるので、散歩の中に動きが生まれません。
自分の散歩コースは、自分の縄張りですから、そこで人や他の犬に会うことは、表現することにつながります。
最初は吠えたりしますが、あとで仲良くなってじゃれ合ったりすれば、コミュニケーションができ、ストレスがなくなります。
飼い主が一緒にいてあげる
これは一番大切なことかもしれません。
犬と飼い主の関係は、人間の母と子の関係と同じです。
飼い主がそばにいるだけで犬は安心します。
逆に、飼い主がいなくなると、寂しさからストレスになるのです。
仕事で長時間家にいない、という場合がほとんどです。
しかし、帰ってきたら、犬をなでてあげたり、すぐに散歩をしてあげることが大切です。
犬は、自分がかまってもらっていることを愛情として受け止めます。
その愛情を感じていれば、ストレスにはならず、心も健康な生活ができるのです。
おもちゃで遊んであげる
犬は散歩だけでなく、何かで一緒に遊んであげることも大切です。
特に、小型犬などは家の中にいると、飼い主に近寄ってきて表現します。
吠えることもあれば、じゃれて体をくっつけてくる場合もあります。
これは遊んでほしいときが多いので、その表現に応えてあげることが大切です。
おもちゃを使って引っ張ったり、音のでるおもちゃを与えてじゃれたり。
外で遊べないときは、必ずおもちゃで遊んで運動させてあげる。
これがストレスを解消させる方法です。
大切なのは、犬が何を表現しているかを察知することです。
食事を与え、トイレもきちんとしてある。
しかし、ずっと吠えているなどの場合は、ほとんどが遊んでほしい、かまってほしい、と訴えています。
夜など、外に出られない時間でも、犬は遊んでほしいという欲求を表現しますから、それに応えることです。
それに気づかず、無視してしまうと、犬はかまってもらえない、愛情を感じないとストレスをためてしまいます。
遊んでもらえない期間が長すぎると、自分の欲求を表現するという本能をなくしてしまうのです。
これは、飼い主の都合によるものですから、おもちゃで遊んであげて、愛情を示しましょう。
色々な食事をさせてみる
最近では色々なドッグフードが売られています。
どれも同じようにバランスがとれているのですが、ずっと同じ食事を与えているのは、犬にとってはストレスの原因です。
犬も人間と同じく、同じメニューの食事を食べ続けていたら、苦痛に感じてしまいます。
固形物のドッグフードを与えたら、次の日はパックの生食を与えるなど、メニューを変えることで食のストレスを解消できます。
また、おやつなども効果的です。
散歩をしたあとなど、おやつを与えることで、散歩がひとつの楽しみになっていきます。
外へ出られたということと、そこでおいしいおやつがもらえる、という楽しみがあり、犬にとってはストレスを解消できます。
10.ドッグカフェを利用してみる
近くにドッグカフェがある方は、利用するのもひとつの方法です。
他の犬や人に出会い、仲良くなることで、仲間ができ、気持ちよく生活することができます。
小さい頃に特に効果的です。
成犬になってから、人や他の犬に会わせて仲良くなるのは時間がかかります。
早く慣れさせておいて、心を健康にしてあげましょう。
また、ドッグカフェには違った遊び場があるので、そこを利用するのも大切です。
いつもと違う散歩、違う遊び方は、犬にとって楽しさが増すので、ストレス解消にとても良い方法といえます。
ストレス解消のために、犬を気にかけてあげる
犬はただぼんやりと毎日を送っているわけではありません。
飼い主である私たちの事もよく観察しており、家族感のちょっとした変化でもストレスを感じます。
犬がストレスを受けやすいということを良く理解して、犬の様子を日々注意して見守ってあげましょう。
そんな風に飼い主に気にかけて貰っているという安心感も、犬のストレス軽減に繋がります。
また、飼い主自身がイライラしていたり落ち込んだりしていると、それが犬にも伝わってしまうので、私たちも日頃からストレスを溜めないように気をつけなければいけません。