猫の死因で最も多いのは「腎不全」と言われ、特に高齢の猫の30%~40%は「慢性腎不全」になっていると言われています。

一回発症してしまうと完治することはない大変恐ろしい病気です。

慢性腎不全にならないための心がけや予防策はあるのでしょうか。

血液検査と尿検査

猫の慢性腎不全は、気が付かない間にジワジワと長い年月をかけて進行をしていることが多く、症状が出る頃には慢性腎不全の末期だったなんてということもあります。

そうならない為にも、まずは動物病院に定期的に検査へ行くことが重要になってきます。

動物病院では血液検査と尿検査が行われます。

血液検査の中で特に要注意項目として「クレアチニン」と「BUN(血液尿素窒素)」があります。

クレアチニンは猫が筋肉が動かしたときにできる老廃物のことで、この老廃物が血液中に多くあるということは腎臓から上手く排出されていないということです。

つまり、数値が高いほど腎臓が機能していないということになります。

BUN(血液尿素窒素)は、血液中の尿素を測定します。

こちらも尿素の値が高いということは、腎臓が上手く機能していないということになります。

他にも尿検査を行い、尿の色やタンパク、尿の比重などを検査して腎臓がきちんと働けているかを検査します。

動物病院が嫌いな猫も多く、できれば余計ストレスを与えたくないと思う飼い主さんが多いですが、定期的に検査に行って愛猫の体の状態を把握しておくことが大切です。

腎臓病予防向けのフードに変える

普段与えているキャットフードや食事を腎臓病予防向けのフードに変えてみましょう。

犬よりも猫の方が圧倒的に慢性腎不全になることが多いので、最近ではお店や病院でも猫用の腎臓サポートフードが数多く存在します。

有名なところではヒルズから販売されている「プリスクリプション・ダイエットk/dシリーズ」やロイヤルカナンから販売されている「腎臓サポートシリーズ」。

体内に溜まると腎臓が悪化する「リン」の含有量や「タンパク質」を調整・制限しているので、安心して食べさせることできます。

珍しいところではboschから販売されている「ザナベレウリナリー+」などがあります。

グルテンフリーフードでアレルギー持ちの猫でも食べることができます。

腎臓病予防向けのフードは食事療法食なので、猫が好む香りではないものが多く、どのメーカーのものを好むのか実際に与えてみないと分かりませんが、愛猫が毎日安心して食べられるものをぜひ探し出してあげて下さい。

新鮮な水を欠かさないようにする

猫の腎臓病の予防方法として、水分をしっかり取らせるということも重要なポイントの一つです。

実は猫はあまり水を飲まない生き物です。

体の水分が減っていくと尿が濃縮され、あっという間に腎臓を悪化させてしまいます。

そうならない為にも、普段から水をよく飲ませるようにしましょう。

方法としては、常に新鮮な水を置いておくこと。

数日間入れっぱなしなどは厳禁で、猫も神経質なので嫌がって飲もうとしません。

常に水を入れ替えて、新鮮な状態を心がけて下さい。

さらに水を1箇所だけではなく、複数の箇所に置きましょう。

特に猫が日常で通っている場所に置いておくと、意外と気が付いて飲んでくれます。

ミネラルウォーターはオススメしません。

ミネラルが多すぎると尿路結石という別の病気にもなりやすいので、常温の水道水で十分です。

時間がなくて水を頻繁に変えられないという方には、水を自動で循環してくれる給水器もありますのでそちらもオススメです。

トイレを常に清潔にして尿をチェック

猫は非常に神経質なので、トイレが不潔だったり気に入らないとオシッコを我慢してしまう傾向があります。

尿を排出しないと腎臓も悪化してしまうので、ゆっくり安心して排泄ができるようにトイレの環境を今一度見直してみましょう。

出来る限りトイレの掃除をこまめに行い、清潔な状態をキープしておけばオシッコに行く回数も自然と増えていきます。

そしてトイレ掃除をする際に重要なのは、尿チェックです。

尿の色や、量や回数などを常にチェックをすることで愛猫の体の状態を把握することができます。

尿の色が透明に近い薄い色で回数が増えてくるのは、慢性腎不全の疑いが強く要注意です。

他にも尿の色が濃く血液が混じっているようであれば膀胱炎、小さな結晶のような粒があれば尿路結石症というように、オシッコで泌尿器系の病気が発見できます。

猫の慢性腎不全は事前に防げる病気

慢性腎不全は猫とは切っても切れない病気です。

定期的に病院で検査を行い、食べ物や水、トイレの環境などにも気を配って腎臓病を発症しないように心がけて下さい。

「水を多く飲んでいないか」「おしっこの量がいつもよりも多くないか」「毛ヅヤは悪くなっていないか」「体重が減ってきていないか」など、どれか一つでも当てはまるものがあれば、すぐに動物病院にて血液検査や尿検査を行いましょう。