人獣共通感染症という病気がある事をご存じですか?
この病気は簡単に言えば、動物から人間に移る危険性のある感染症の事を言います。
猫を飼っている方はここ数年増え続けていますが、猫によって引き起こされる感染症もあるのでしょうか。
猫ひっかき病
猫ひっかき病は名前の通り、猫から引っかかれたり噛まれたりすると、発症する事がある感染症の1つです。
バルトネラヘンセラ菌という菌を保有してる猫に、引っかかれると発症するケースがあります。
猫ひっかき病を発症すると、引っかかれた部分や噛まれた部分が約10日後、赤くなる症状が現れます。
また水ぶくれの症状も、猫ひっかき病の特徴です。
症状が重い場合、リンパ節の腫れや発熱、全身の倦怠感や吐き気も起こります。
自然に治る事もありますが、症状が長引く場合は治療が必要です。
猫ひっかき病の治療は抗生物質の処方が一般的です。
疥癬症
疥癬症はヒゼンダニというダニが、寄生し起こる感染症です。
ヒゼンダニに感染している猫と接触した場合に、発症するケースがあります。
ただ、ヒゼンダニが皮膚についてから、すぐに症状が現れるという事はありません。
通常、発症までには約1ヶ月から2ヶ月程度の潜伏期間があります。
ですので、皮膚に異変を感じても、猫からの感染症を気付かないかもしれません。
人に感染した場合、痒みを伴う赤い発疹が現れます。
疥癬症に詳しくない皮膚科医が受診した場合、アレルギー性皮膚炎と誤診してしまうケースがあるので注意が必要です。
治療が外用薬や内服薬で行います。
また、室内を清潔にする・ヒゼンダニが感染している猫も一緒に治療する事が、改善と予防に繋がります。
皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症は、いわゆる水虫の事です。
白癬菌というカビの1種が、皮膚に感染する事で発症します。
初期は白癬菌が感染した部位に赤みが現れ、徐々に丸みを帯びた円形に症状が広がっていきます。
その見た目から「リングワーム」とも言われる感染症です。
白癬菌が感染した部位によっては、脱毛などの症状も現れます。
水虫ですので、そのまま放置していても治りません。
抗真菌薬での治療が必要です。
また元々、白癬菌を保有していない猫も、水虫を発症している飼い主から白癬菌が移り、皮膚糸状菌症になってしまうケースもあります。
白癬菌は人から猫に移る事もあるので、水虫を発症している方は猫に移さない為にも、早めに水虫の治療を行いましょう。
ツメダニ症
ツメダニ症は名前の通り、ツメダニに感染する事で起こる皮膚病です。
猫の体にツメダニが感染した場合、ずっと寄生してしまうので治療が必要となります。
ですが、人の場合は皮膚で繁殖出来ないので、症状が現れたとしても一過性のものです。
人がツメダニ症になった場合、赤みを帯びた発疹が現れます。
また、強い痒みがある点もツメダニ症の特徴です。
飼っている猫がツメダニ症を発症している場合は、ダニの駆除を行いましょう。
また、ツメダニの繁殖を抑える為、室内の掃除を丁寧に行うなど、衛生面に気を付ける事も予防・改善に繋がります。
トキソプラズマ症
トキソプラズマ症は原虫の1種、トキソプラズマに感染する事で発症する病気です。
トキソプラズマは猫の便に含まれているので、トイレの掃除などをしていて感染してしまうケースがあります。
免疫力が正常な場合は、トキソプラズマに感染してしまっても、全く症状は現れません。
ただ、先天的に免疫力が低い方や、病気などで免疫力が下がっているという方の場合、重い症状が出てしまう場合があるので注意が必要です。
脳にトキソプラズマが感染すると、言語障害や疲労感、痙攣などの症状が起こります。
また、臓器の機能不全を起こすケースもあります。
免疫力が低下しているという場合は、猫のトイレを掃除する際、マスクや手袋をしたり、手を洗うなどの対処が必要です。
パスツレラ症
猫の口の中には、色々な菌が住み着いています。
パスツレラ菌という菌を保有している猫に、噛まれたり舐められた、また空気感染によってパスツレラ症を発症発症するケースがあります。
パスツレラ症の症状としては、噛まれた部分が腫れたり化膿します。
空気感染によってパスツレラを取り込んだ場合は、副鼻腔炎や咳といった風邪に似た症状を起こすのが特徴です。
腫れや痛みは激しくなる事が多く、噛まれてから数時間ほどでズキズキとした、うずくような強い痛みが現れます。
傷が深かった場合、骨にまで炎症が起こる場合もあります。
猫に噛まれたりして、傷口が傷むという時はすぐに病院を受診しましょう。
猫から人間にうつる病気を知っておこう
このように猫から人に移る病気は、数多くあります。
感染症と聞くと怖い・猫を飼うのが不安と考える方が多いでしょう。
ただ、感染症は正しい知識さえあれば予防する事が可能です。
手洗いをしっかり行う、室内の掃除を行う、猫の健康診断を定期的に行う、完全室内飼いにするといった対策を行えば、まず感染症は起こりません。
猫を飼う際は、感染症や病気の知識を蓄えておきましょう。