猫は基本的にお腹を触られると嫌がって怒ります。
でも、ふかふかな部分なので、ついつい顔を埋めてしまったりするものですよね。
そこで今回は猫がお腹を触ると怒る理由をご紹介します。
内臓がたくさん詰まった、骨に守られていないウイークポイントだから
通常、猫をは初めとする脊椎動物たちは、お腹を守る構造にはなっていません。
心臓や肺などは肋骨に守られていますが、胃腸や肝臓などの消化器系は、その一部を除いてほとんどが守られていません。
太古の昔には「腹骨」と呼ばれる骨が腹部にあった動物たちが存在します。
しかし、その分の動きが鈍くなり、外敵から執拗に攻撃されているうちに、ついには力尽きるということがあり
そこで腹部の骨をなくし、軽量化を実現することで、鈍重だった動きから素早く危険を回避できる動きを実現できるようになり、それで生存率が上がったということです。
しかしその代償として、腹部の防御力は失ってしまった訳ですから、気を許していない存在からその部分を触られることを、猫は非常に嫌がるのです。
単純にくすぐったいから
人間もお腹や肋骨の辺りを触られるとくすぐったく感じます。
みなさんも子どもの頃にそうやってからかい合った体験はないでしょうか?
全ての物事には何らかの意味があるようです。
人間も猫も、厳しい自然環境の中で上手く生き残るために進化してきました。
その中で、くすぐったいという感覚も生存する上で有益だったからこそ、残って来たのだと言う説があります。
例えば、夏には蚊が現われ、寝息を立てている私たちを苦しめます。
その他にもノミ・ダニ・ムカデなどの害虫も、人間にとっては非常に危ない存在です。
その際、それらの虫が肌に触れた場合、くすぐったい感覚が一瞬したかと思うと、その後にたまらなく不快な気持ちになることです。
また、動脈などの大事な器官に近い皮膚の部分だと、外部からの刺激には気を付けなければなりません。
それで、ちょっとした刺激でも反応できるように神経が集中し、それがくすぐったく感じられるのです。
だから、愛猫は「やめて」と、愉快・不愉快な気持ちが混じり合ったような怒り方をするのではないでしょうか。
お腹を触られることは別に嫌ではないが、気を許してない存在から触られるのが嫌
基本的にはお腹を触られることを猫は嫌がりますが、よほど親しい間柄の存在から触れられることは、案外嫌がったりしないものです。
例えば、自分の子どもが乳を吸うのを嫌がったりするものでしょうか。
それを嫌がってしまえば子育てができません。
それと同じように、飼い主に対してとっても親しい感情を抱いているのでしたら、お腹も触らせてくれるものです。
お腹を触ると怒るというケースは、猫がそれほど親しみを感じていない相手に触られたから、「怒った」ということです。
自然界でお腹を見せるという行為は「降参」の合図だから
よく犬などの哺乳動物で耳にする話ですが、自分の急所であるお腹を見せるのは、相手に対して「私はあなたより下の存在であることを認めます。だからそれ以上手出ししないで下さい」という意味だと言われます。
無益な血を流さないように、勝負はそこで「終わり」になり、そのポーズを取った相手に対してそれ以上手を出すのは、「ルール違反」だということになるのです。
急所であるお腹を相手にさらけ出してまで、相手のことを絶対的に信頼しますと言っているのですから、それ以上追いつめてはいけません。
それ以上追いつめると、「窮鼠猫を噛む」というように破れかぶれな心情になり、思い余って攻撃してきます。
猫の場合は、犬のように「上下の主従関係」で人間を捉えているとは言えません。
しかし人間を自分と同じ存在、つまり猫の仲間であり対等な仲間であるというような気分になっていた場合、相手の力が強いと分かり、「もう降参」と言ってお腹を見せていることがあります。
この時「ゲームは私の負け」と示しているだけで、触ってくれと言っている訳ではありません。
嫌がられたらお腹を触るのはやめよう
基本として猫はお腹を触られると嫌がりますが、飼い主と親密な関係になっているのでしたら、少々は触らせてくれることでしょう。
でも、あまり調子に乗って触っていると、ガブリと噛まれたり、グサッと引っ掻かれたりするかも知れないので、「ほどほどに」が一番だということです。