猫と人、お互いが心地良く暮らすためには、まず住環境を整えることが大切です。

特に室内飼いであれば、猫は全ての時間を家で過ごすことになります。

猫がいつも気持ちよく暮らせる環境を作ってあげましょう。

滑らない床を選ぶ

フローリングの床は清潔感があって良いものですが、中には滑りやすい種類のものもあります。

家の中を走り回るような元気な若い猫にとってはとても危険です。

猫の手のひらには肉球というクッションがあって、走ってきて急に止まるときなどは肉球と床の間の摩擦を利用してブレーキをかけます。

つるつるした床は摩擦係数が低いので、ブレーキをかけても思ったように止まらず、行き過ぎたりバランスを崩して横滑りしたりして、事故に繋がる危険性が大きくなります。

またワックスで磨いた床は、滑って危険なだけではなく、化学物質が毛づくろいを通して猫の体に入ってしまう可能性もあると考えられます。

猫のいるお家ではワックスがけは少し控えましょう。

歩きやすい床を選ぶ

滑らないからといって、「毛足の長いじゅうたんを敷こう」というのも問題があります。

皆さんご存知のように、猫の爪は出したり引っ込めたりすることができます。

この爪は歩くときに出すことはありませんが、全力で走るときなどは出たままになります。

爪がひっかかりやすいじゅうたんは転倒を招くおそれがあり、とても危険です。

また掃除の際に猫の抜け毛が入り込んで取りにくいというデメリットもあり、あまりオススメできません。

じゅうたんを敷く場合は毛足の短いカーペットがベターです。

適度な摩擦力があり、それでいて爪がひっかからない長さのものを選ぶようにしましょう。

入り込んだ抜け毛が掃除機で取れる程度の長さにするのもポイントです。

傷がつかない床を選ぶ

猫と暮らすうえでとても大事なのは、人の生活を過度に犠牲にしないということです。

人も猫もストレスをためない暮らしのために、まず考えたいのが被害を予防・軽減する住環境です。

猫が走り回って遊んだら、たちまち床は傷だらけ、畳はボロボロ、という事態になります。

ボロボロにされて「猫がいるから仕方ない」と諦める前に、傷を防止できる材質の床を選びましょう。

最近では「傷に強い」「傷がつかない」フローリングもたくさんあります。

ただし、どの程度傷を防げるのかは各メーカーによりまちまちですので、専門のお店で相談することをオススメします。

畳についてはあらかじめ立てられる対策はありませんが、爪切りをしっかりすればある程度被害を防ぐことができます。

汚れが落ちやすい床を選ぶ

猫と暮らしていると、色々な場面で汚れと向き合うことになります。

例えば、猫は定期的に体に溜まった毛玉を吐き出します。

何かの理由で、トイレではない場所で用を足してしまうこともあります。

汚れが落ちやすい床であれば、掃除の苦労はだいぶ軽減されます。

例えば、小さなカーペットを敷き詰めるタイプの床であれば、汚れた部分だけを取り出して掃除できるのでとても便利です。

またタイルの床も汚れが落ちやすく、オススメです。

タイルは滑りやすいのでは?と思われるかもしれませんが、最近は「ペット用」と名前がついた滑りにくいタイルも出回っていますので、選択肢に入れる価値は十分あります。

とはいえ、いちばん大切なのは愛猫の健康です。

嘔吐やトイレの失敗があまりに多い場合には、事後処理を考えるより先にストレスなどの原因を探すようにしましょう。

リーズナブルな床を選ぶ

人にも猫にも優しい床を探す時に、人にとっていちばん重要になってくるのが予算です。

猫はしばしば床を汚すので、最悪の場合はカーペットを丸ごと替えるという羽目になることもあります。

何度も替えるということを前提にすれば、安く購入できるというのは価値があります。

ただし、あまりに安いものを買っては替えるというのもよくはありません。

猫は環境の変化を嫌うので、あまりたびたびカーペットを替えたりするとそれがストレスになってしまいます。

自分のにおいがついたものがなくなって、知らないにおいのものが現れるというのは猫にはとても不安なものです。

それよりも最初からスマートに掃除ができる素材を利用して、ある程度の汚れには耐えながら時々リニューアルして新鮮な気分を味わうほうがオススメです。

予算と性能のバランスを上手にとって、無理のかからない計画を立てましょう。

猫の健康と幸せのために床を選ぼう

住環境を考えるうえで、家の中で一番接する機会が多い床はやはり最重要ポイントと言えるでしょう。

いつも清潔で気持ちの良い床は、猫の健康にも人の健康にも役立ちます。

最近は色々な素材の床が手軽に手に入るようになっています。

床を賢く選んで、健康で幸せな猫との暮らしを楽しんでください。