元来、日本には猫が存在していませんでしたが、経典をネズミから守る益獣として、7世紀頃に中国から輸入された猫が日本猫の由来だと言われています。
日本猫は長い間愛玩用として家で飼育されることがなかったために野外で暮らすことが多く、人工的に品種改良されることがありませんでした。
しかし、戦後多くの外来種が国内に持ち込まれたことにより、急速に混血化が進んでしまいました。
けれども、現在でも由緒ある日本猫の特徴を持つ猫が国内外でたくさん飼育されています。
それでは、日本猫の代表的な特徴と性格についてご紹介します。
日本猫の外見的な特徴
日本猫の顔は、鼻筋がスッと通り耳の毛が短いのが特徴です。
全身の毛は短か過ぎず長過ぎません。
非常に特徴的な部分は尾で、細長いものと極端に短いものがいます。
尾が短いものは、尾骨が複雑に折れ曲がっていることがあります。
短尾品種の猫は世界にあまり存在していないので、日本猫の代表的な特徴と言えるでしょう。
現存している日本猫も短尾のものが多いです。
日本猫の毛並みの色は主に白・黒・茶色・縞模様に分けられます。
より具体的に分けると、白・黒の一色のもの、縞模様のもの(通称トラネコ)、白地に黒・茶のぶちがある三毛猫、サビ(黒と茶のミックス)、グレー、茶トラ(全身茶色に縞模様)、サバトラ(全身鮮やかなグレーに縞模様)、キジトラ(全身こげ茶に縞模様)、クリーム、ブチ(白・黒など2色)などがあります。
毛色や品種で性格に違いはあるのか
猫の性格は毛色や品種で違うと言われていますが、実は未だに科学的根拠は何もありません。
猫の性格は、生まれ持った気質と生後環境が絡み合って構築されます。
猫は犬と違って狩りの用途別に品種改良されてきたわけではないので、あまり品種と性格が関係していないのかもしれません。
さらに、飼いネコの場合は家族以外の人間に本来の性格を見せない性質があるので、性格判定が難しいのです。
日本猫の性格的特徴はあるか
一部の専門家によると、長毛種の猫は気位が高く扱いづらい面があるそうですが、短毛種に属す日本猫は性格が温和で穏やかなものが多くなります。
猫の生まれ持った気質はある程度父猫と母猫の遺伝的な影響もありますので一概には言えません。
しかし、日本猫の元祖はキジトラだったことが判明しているので、キジトラの性格を研究することによって、他の毛色の日本猫の性格をある程度予測することはできます。
キジトラの性格
現在の日本猫は白・黒・茶・縞模様など多種類の毛色のものがいますが、元祖日本猫はキジトラしかいませんでした。
他の毛色は突然変異で発現したものが繁殖を繰り返すうちに定着したとされています。
一般的に、キジトラは野生の気質が強く残っていて、警戒心が強いとされています。
運動量が多く、活発なタイプです。
そのため、飼いネコになると、家族以外の人間にはそっけない態度をとるものが多くなります。
三毛とサビの性格
三毛とサビ猫は、毛色を決定する遺伝子の関係でほとんどのものがメスです。
性格は一概に言えませんが、雌猫の一般的な性格として、自立心が強く扱いづらい部分があります。
茶トラ・茶白の性格
茶トラ・茶白の猫は遺伝子の関係上、ほとんどがオスになります。
こちらも性格を一括りにすることはできませんが、オスなので体格が良く活発、やや攻撃的と言えるでしょう。
また、オス猫は飼い馴らされると非常に「甘えん坊」になる傾向があります。
白猫の性格
一般的に、白猫は繊細で神経質なものが多いと言われています。
警戒心が強く、臆病な性質も持ち合わせています。
もちろん中には活発で怖いもの知らずの白猫もいますから、全部そうだとは言い切ることはできません。
ちなみに白猫は自然界で暮らす場合、非常に目立つので敵に狙われやすいです。
そのため、常に周囲を警戒して用心する習性が身に付いたのかもしれません。
また、ごく稀に全身の色素がないアルビノ遺伝子を持って生まれる猫がいます。
この猫は遺伝的欠陥により聴覚が低い場合があります。
これは、白い毛並みを発現する遺伝子が聴覚を司る器官の働きを阻害しているためです。
日本猫について知ろう
日本猫は外見的な特徴は多いけれど、性格的特徴をあげるのは難しい品種です。
日本猫の性格と毛色の関連性について研究している方は多いものの、未だ科学的根拠を得るまでには至っていません。
したがって、日本古来の猫、キジトラの性格を分析しつつ想像するくらいしかできません。
日本猫の性格を掴もう
猫の性格は生まれつきの気性と生後環境が複雑に絡み合って形作られるので、一概には言えないのです。
しかし、現在日本の一般家庭で飼育されている日本猫は温厚で従順、人間に対してフレンドリーなものが多いと言われています。
どんな猫にも長所と短所があるでしょう。
これからも日本猫の血が受け継がれていくことを祈っています。