トリミングショップでトイプードルの全身カットを注文すると「体はバリカンを使用してもよろしいでしょうか?」と聞かれるかと思います。

なぜそんな確認を取るのでしょうか?

それはトイプードルのカットは「バリカン使用」か「はさみのみ使用」かで仕上がりも料金もトリミング時間も、その後の毛質やトラブルもいろいろ変わってくるからです。

そこで今回はトイプードルのカットにおけるバリカンとはさみの違いについてご紹介します。

はさみカットは料金が高い

はさみのみで全身カットをお願いした場合、バリカン使用の場合よりもかなり料金が高くなります。

具体的な金額はお店やトリマーさんのレベルなどで変わってきますが、大抵のお店は「はさみでカットする部分の面積」で料金が決まります。

犬種に対する基本料金設定があり、そこに犬の個体差(カットする面積)が大きい場合は追加料金が発生します。

また、毛玉の量が多い場合や、カットの際に大人しくしていない犬はさらなる追加料金となるでしょう。

バリカンで根本から毛玉をザクッと落とすことができれば、トリマーさんも時間がかかりませんが、バリカンが使えないとなると一つ一つの毛玉をほぐすのに、はさみで毛玉に切り込みを入れてはとかすの繰り返しで時間がかかります。

その分の上乗せ料金となります。

その変わりはさみカットはバリカンカットと違い、犬にとって都合の良いことがあります。

それは「犬の肌や毛のトラブルがない」ということです。

はさみカットは肌に優しい

はさみカットであれば直接犬の肌に触れません。

毛先だけにはさみが入りますので、肌を傷つけることもありません。

もちろんはさみは熱を持ちませんので、カットした断面にも影響がないのです。

バリカンは5分も連続使用すれば、人間の手に当たったら「熱い」と反射神経で手を引っ込めるくらい熱くなります。

ベテランのトリマーさんで仕事が早く、バリカンの熱に注意してくれて、熱くなってきたら冷ますようなお仕事の仕方であればトラブルも少ないですが、犬の皮膚は人間の皮膚より薄いので、ちょっとした熱にも弱いのです。

未熟なトリマーさんだと時間がかかってしまうので、その分バリカンの熱が上がりやすいのに、冷ましている暇は与えられていないのでしょう。

熱いまま使って犬の肌トラブルの引き金を引いてしまいます。

こうやって聞くと、バリカンは絶対使いたくないと感じるかもしれません。

けれども犬によってはバリカンの方が負担の少ない子もいます。

お年寄り犬にはバリカン使用をオススメします

「お年寄り犬」やトリミングが嫌いで「大人しくできない犬」または「根本あたりに毛玉が多くある犬」にはバリカンカットをオススメします。

なんと言ってもはさみカットは時間がかかります。

トリミングテーブルに長時間立たされることで犬たちはぐったりしてしまうのです。

全身はさみカットをしている犬は、胴体のカットが終わるころにはしきりに座りたがります。

健康な犬でさえ疲れてしまうのですから、お年寄りやトリミング嫌いの犬には、肌や毛質のトラブルのことよりも体への負担を注視する必要があります。

バリカン使用で毛が生えなくなる?硬くなる?

トリミングの際「バリカンを使ったせいで毛が硬くなった」とか「バリカンを使ったら毛が生えてこなくなった」「毛がまだらに生えてきた」ということを聞いたことがありませんか?

毛が硬くなる原因はなんとも言えないところですが、確かにそう感じる飼い主さんは多いので事実です。

毛が生えてこなくなったというものに関しては、一生生えてえてこなかったという事ではなく、1年ほど生えてこなかったという事象が多いようです。

まだらに生えてきたというものに関しては、犬にはトップコートとアンダーコートがあり、トップコートだけが早く伸びたということもあります。

またクリーム色の犬のお尻の上に500円玉ほどの範囲でブラウン色の毛が生えてきたということも、バリカンの熱により肌がダメージを負った可能性が否定できません。

はさみとバリカンの比較

はさみのカットは犬の皮膚への負担が少ない代りに、料金が高く時間がかかるのが難点です。

バリカンカットは料金は比較的安く、仕上げまでの時間が早いけれど、犬の肌や毛質にトラブルがでる可能性があることが難点です。

バリカンカットに関してさらに言えば、プードルはもともと毛が生えている犬種ですから、あまり極度に短くするのは危険を含んでいます。

体温調節ができなくなってしまうのです。

プードルは自分を覆っている毛で体温調節をしているのですが、日本の夏が暑くなるのに比例するように5mm以下のバリカンを使用してトリミングする「サマーカット」の注文が増えています。

サマーカットなど毛を極端に短くした場合は、犬の体調管理を十分に気を付けてあげてください。

人間の足元にいる犬たちですから、自分の足元の高さくらいに温度計を設置すると良いかもしれません。

バリカンとはさみのメリット・デメリットを知っておこう

「トイプードルのカットはバリカンとはさみのどちらが良いのか」の答えは、「その犬による」ということです。

大人しく若いトリミングを気にしないような犬であれば「はさみでのカット」をオススメします。

反対に、お年寄りだったり、トリミングが嫌いでじっとしていられない犬や、毛玉が多く毛玉処理だけでも時間がかかってしまうような犬は「バリカンでのカット」をオススメします。

もちろん飼い主さんにしかわからない、「その子の性格や美しさ」からトリミング方法を選択してあげれば良いと思います。

愛する犬の為に最良の方法を考えてあげてください。