猫の足が冷たい原因には重大な病気の可能性もあります。

単純なことが原因で心配の必要がない場合もありますが、重大な病気の場合は一刻を争います。

猫がどのような状態で足が冷たいのかを把握しておくことも重要です。

床や地面が冷たい場所にいた

猫の足が4本とも冷たいとき、単に冷たいフローリングやタイルまたはベランダなどにいただけかもしれません。

猫の肉球は接触する表面温度を直接感知しますので、冷たい床や地面と同じくらいの温度になりえます。

猫は興味のあることに夢中になっているとき、足の温度には無頓着です。

例えば、冷房の効いた冷たいフローリングの部屋で大好きなおもちゃで遊んでいたとか、お風呂場で虫を見つけて冷たいタイルの上で静かに待ち伏せしていたとか、ベランダの冷たいコンクリート上で外の猫をじっと眺めていたなどです。

「足が冷たい」と感じてはいますが、夢中になっていることを放り出してまで足の温めを優先しようとはしません。

そのため猫の足が氷のように冷たくなることもあります。

肉球が白っぽかったり紫色をしているわけでなく、食欲もあっていつもと変わらない様子であれば問題はありません。

寒い環境に晒されて低体温になっている

猫は体毛が濡れたまま涼しい場所や寒い環境に長時間晒されると低体温を起こします。

猫の平均体温は38℃〜39℃ですので人間が触ると暖かく感じます。

しかし猫の体を触るとヒンヤリとしたり、猫の足や耳が冷たい場合は低体温を起こしている可能性があります。

体温が下がると心臓や体内活動が鈍るので、体内で熱を補うために猫の体は激しく震え出します。

そして血流が滞って足や耳が冷たくなり凍傷になります。

低体温が進むにつれて徐々に無気力になり心拍と呼吸が遅くなり最終的に昏睡状態となります。

応急処置として、猫を暖かい場所に移動させ、濡れている場合はタオルで拭き乾燥させて暖かい毛布でくるみます。

急激に温めると心臓への負担でショック状態に陥る可能性があります。

なので温かいお湯を入れたペットボトルやカイロを使う場合は、タオルなどでくるんで間接的に温めます。

低温火傷を避けるため電化製品の使用は厳禁です。

応急処置のあとは、なるべく早く猫を病院に連れて行くことが最善索です。

ショック状態による体温の低下

猫は体外または体内に重傷を負うとショック状態になることがあります。

ショック状態のときも足や体が冷たくなります。

事故などにより重傷や重篤な失血あると、体が過剰に反応して内臓で血液の滞留を引き起こします。

これは非常に危険な状態で、血圧の低下や脳の酸素不足により死に至る可能性があります。

ショック状態の他の徴候として、猫の歯茎が白い、心拍数の急激な上昇または低下、呼吸数の増加、平均体温以下になる、寒がるといった症状があります。

特に歯茎が白い場合はショック状態になっている可能性が高く、体内で重度の内部傷害や内出血をしている可能性があります。

猫がショック状態のときには、猫を毛布でくるんで暖かくして早急に病院へ連れて行かなければなりません。

心筋症による血栓症

猫の足のどれか1本だけ冷たくて肉球が紫色や青紫になっている場合、心筋症により血栓が足に詰まっている可能性があります。

通常この状態になれば、猫はその足を引きずるか歩けなくなり転びます。

尋常ならぬ痛みのために鳴き叫ぶこともあります。

これは一刻を争うほどの危険な状態で、猫を即座に病院に連れて行かなければ1~2時間後には死に至るであろうというほどの重篤な状態です。

心筋症には肥大型心筋症、拡張型心筋症、拘束型心筋症がありますが、猫には特に肥大型心筋症が多いとされます。

肥大型心筋症の原因は解明されていませんが、大型の猫に多いので遺伝の可能性が高いと言われています。

肥大型心筋症の他の症状には、運動不耐性、食欲不振、呼吸困難、無気力などがあります。

心筋症は一旦発症してしまったら完全治癒は難しく、血栓ができてしまったら予後は良くないと言われています。

しかし、早期発見・早期治療で発症を未然に防ぐことができれば寿命が延びる可能性もあります。

それには、定期的な健康診断を受けることが不可欠となります。

循環不全による体温の低下

体内の循環不全から生じる肺水腫や胸水の貯留がある場合も足が冷たくなり、体もヒンヤリと体温が低下した状態になります。

猫は呼吸が苦しいのでグッタリとしているかじっと伏せの形のまま動きませんが、呼吸が速く回数も多くなるため胸やお腹の起伏が激しくなります。

開口呼吸をしたり肉球や歯茎が白っぽくなることもあります。

肺水腫の原因としては、主に前述した心筋症を含む心不全ですが感電した際にも起こります。

胸水の原因としても心不全があり、他には猫伝染性腹膜炎(FIP)やガンなどが挙げられます。

肺水腫はスポンジ状の肺胞のそれぞれに水が入った状態ですので、利尿薬で流します。

胸水は胸膜の間に水が溜まっている状態ですので、病院で抜いてもらうことも可能です。

猫は我慢強いので初期の呼吸異変には気づきにくく、異変に気づいたときには呼吸困難で死に至る直前だったということもありえます。

猫の呼吸に少しでも異変があったら、様子など見ずに一刻でも早く病院に連れて行かなければなりません。

事故による壊死

猫の足の色が変色していたり怪我をしている足が冷たかったりする場合は、足が壊死している、または壊死しかけている可能性もあります。

猫はその好奇心旺盛な性格が怪我につながることも多く、その部分が壊死してしまうことも考えられます。

例えば、ドアの蝶番の隙間に前足を入れたとたんドアが閉まったとか、輪ゴムや紐で遊んでいたら足に絡まって巻きつき血が止まってしまったなどです。

壊死を放置していると切断しなければならない状態にまでなります。

足が冷たく変色が見られたり怪我をしている場合には、必ず早急に猫を病院に連れて行かなければなりません。

猫の足が冷たい時の理由を知ろう

猫の足が冷たくても、足の肉球の色がいつもと同じ色で食欲もあり通常となんら変わりなく元気にしている場合は問題ありません。

しかし、足の色に異変があったりいつもよりは元気がない場合は、重大な病気や一刻を争う状態である場合がほとんどです。

猫の鼻をチェックして健康状態を見るように、猫とスキンシップを図りながら足の温度も頻繁にチェックしてみた方が良いでしょう。