猫が風邪をひいて世話をしていたら、なんだか自分も風邪気味になってきた…。
などという経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「もしかすると猫から風邪がうつったのかも?」と心配になってしまいますね。
猫の風邪は人間にうつるのでしょうか?
猫風邪には3つの種類がある
猫の風邪は3種類あって、それぞれ別のウイルスから引き起こされます。
「猫ヘルペスウイルス」「猫カリシウイルス」「猫クラミジア」の3つです。
ウイルスの種類によって症状は少しずつ違っています。
獣医師はまずどのウイルスが原因か検査して、それぞれの原因に合ったの対処の仕方をします。
猫ヘルペスウイルスによる猫風邪は人にうつらない
「猫ヘルペスウイルス」による猫風邪は「猫ウイルス性鼻気管炎」と言われ、粘膜が侵されるため鼻炎と結膜炎が中心の症状です。
くしゃみ、鼻水、咳、発熱、倦怠、食欲不振などの症状があらわれ、結膜炎から角膜炎を併発することもあります。
生後2-3か月くらいの子猫がよくかかります。
このウイルスが原因の場合、抗ウイルス剤を投与します。
人間にもヘルペスがあって、口唇ヘルペス、性器ヘルペス、水疱瘡、帯状疱疹などはどれも、ヘルペスウイルスによって引き起こされるものです。
しかし人間のヘルペスウイルスと猫のヘルペスウイルスは種類が違うので、猫から人間に感染することはありません。
また人間から猫に感染することもありません。
猫カリシウイルスによる猫風邪は人にうつらない
「猫カリシウイルス」による猫風邪は、口内炎を起こすのが特徴で、口腔内に潰瘍や水泡ができたり舌に炎症を起こします。
その他、くしゃみ、鼻水、食欲不振、目の周りが赤くなる、爪周囲の潰瘍、発熱などの症状が起き、高熱を出すことがあるので要注意です。
これも2-3か月くらいの子猫がかかりやすいです。
このウイルスに感染した猫は、インターフェロン注射をして治します。
猫カリシウイルスは、猫独特のウイルスなので、人間に感染することはありません。
猫クラミジアによる猫風邪から人に結膜炎がうつることがある
クラミジアはウイルスと細菌の中間くらいの大きさの生物です。
「猫クラミジア」は「クラミジア・フェリス」という種類のクラミジアが原因です。
「クラミジア・フェリス」による猫風邪は、結膜炎、角膜炎、口内炎、くしゃみ、咳、食欲不振、そして関節炎や肺炎を引き起こすこともあります。
2-6か月の子猫に多いのですが、子猫は肺炎になると命にかかわりますから、かかったらすぐに動物病院に連れて行きましょう。
抗生物質の投与で治療するのが普通です。
3種類のうち先に挙げた2種類のウイルスは人にうつらないものでしたが、この「猫クラミジア」だけは違います。
「猫クラミジア」が人間に感染して結膜炎を発症した例があります。
猫クラミジアの感染を防ぐには
猫クラミジアが感染した例というのは、猫の世話をしていて、クラミジアが付いた手で目に触れて、結膜炎を発症したというものがあります。
感染した場合、潜伏期間は5-10日です。
感染した猫の唾液、鼻水、目やになどの中のクラミジア菌が人間にうつります。
風邪を引いた猫の世話をした後は、絶対に自分の粘膜の部分(目、口など)や傷口に触れないようにして、十分な手洗いと消毒をしましょう。
また風邪を引いた猫とキスをするなど過剰な接触は絶対に避けましょう。
人間のクラミジアとの違い
クラミジア感染症は人間にもあって、性感染症として知られています。
人クラミジアに感染すると、性器や泌尿器系の炎症、のどの痛み、口内の炎症、女性の場合は子宮の感染から不妊の原因になることもあります。
しかし人間のクラミジアは猫のクラミジア「クラミジア・フェリス」とは種類が違うので、猫のクラミジアがこうした人間の症状を引き起こすことはありません。
また人間のクラミジアが猫にうつった例もありません。
猫風邪の予防と対策
以上のような3種類の猫風邪がありますが、どれもワクチンで予防できます。
この3つを合わせた混合ワクチンがありますので、子猫のうちから対策をしておきましょう。
もし猫が感染してしまったら、様子を見て早めに獣医師に連れて行きましょう。
特に子猫や老猫は体力が無く自然治癒を見込めないかもしれないので、ためらわずにすぐに獣医師の治療を受けさせましょう。
治療を始めたら、普通は1-2週間で回復します。
その間はしっかり保温をして、十分に水を飲ませるようにして、もしほかの猫をいっしょに飼っていたら近づけないようにしましょう。
猫風邪は人間にうつるのかどうかを知ろう
猫クラミジアから結膜炎がうつる以外、猫から人間に風邪がうつることはないとわかりました。
しかし猫の体内には猫風邪のほかにも様々なウイルス、細菌、寄生虫などが潜んでいる場合があります。
そうしたものの中には、猫が健康そうにしていて無症状でも、人間にうつって発症するものもあります。
猫と触れ合ったあとはいつでも手洗いや消毒をきちんとするように心がけましょう。