キャットフードの原材料に良く見られる「ビートパルプ」とは何でしょうか。

これは猫にとって必要なものか気になりますよね。

猫の健康に害はないのでしょうか?

ビートパルプとは何か?

ビートパルプとは、Beet(甜菜、てんさい=サトウダイコン)Pulp(繊維)です。

サトウダイコンから糖分を搾り取ったあとに残った繊維質を固めて作った原材料です。

元々ビートパルプは草食性の家畜の飼料に使われていました。

ペットフードにビートパルプを入れたレシピを考案したのは、アメリカのペットフードメーカー「アイムス」の創始者のポール.F.アイムス氏です。

アイムスの研究者たちが11年の研究の末、1960年代にビートパルプの有効性を生かしたペットフードを作り上げたのです。

その後、後発のメーカーがこぞってビートパルプを使用するようになり、ビートパルプはペットフードの原材料の定番になりました。

ビートパルプの有効性と問題点

アイムスの研究によると、ビートパルプは腸内の善玉菌を増やして腸内環境を良くし、便秘を防ぐ効果を持っているということです。

アイムスはこの信念に基づいて、現在も「良質なビートパルプ」を入れたペットフードを作っています。

ビートパルプはある程度の有効性が認められてはいますが、問題点もあります。

まず、このアイムスの研究は1960年代のものなので、その後ビートパルプの有効性について否定的な意見が出てきています。

またビートパルプは肉や魚に比べると安価なので、追随したメーカーの多くは、ただの嵩増しのために使っています。

またビートパルプを作る行程が消費者にはわからないので、その安全性も疑問視されています。

ビートパルプがキャットフードに使われた場合に、どんな問題があるのでしょうか?

便秘を下痢を引き起こす

草食動物は植物繊維を分解して炭水化物として吸収する酵素を持っていますが、猫はビートパルプの植物繊維を分解・吸収することができません。

「猫の腸内に残った植物繊維が便量を増やして便秘を防ぐ」というのがビートパルプの有効性の理由です。

ところが、繊維の量が多すぎたり猫の胃腸の働きが弱っていると、残った繊維質を排出できず、かえって便秘を悪化させます。

またビートパルプは猫の便を硬くするので、猫の排泄物の掃除をするには便利だという声があります。

一方で痔を起こす危険性がある上、猫の胃腸にとって好ましい状態ではありません。

また猫がビートパルプの入ったフードに慣れてしまうと、他のフードに変えたときに下痢を起こすことがあります。

内臓に負担をかけて体力を消耗させる

食べ物を消化吸収するのには、かなりのエネルギーと体力を必要とします。

ビートパルプのような消化に手間取る植物繊維を毎日摂って、胃腸を働かせてただ排泄するのは、猫の内臓に負担をかけて、体力を消耗させることになります。

しかも猫はビートパルプの植物繊維を分解できず、栄養素を吸収することができません。

健康な猫なら胃腸の活性化にある程度の効果はあるかもしれませんが、体力が衰えた猫や高齢の猫には相当な負担になります。

ビートパルプだけでは必要な栄養素が摂れない

ビートパルプはそもそも草食性の家畜の飼料として作られたものです。

猫は肉食性の動物なので、ビートパルプは本来必要なものではありません。

毎日胃腸に不必要な植物繊維が送り込まれると、猫の消化器官は疲弊してしまいます。

その結果、猫が本来必要とする肉や魚のたんぱく質を十分に消化吸収することができなくなります。

また嵩増しのために大量のビートパルプを使っている粗悪なキャットフードは、猫が本来必要とする肉や魚の割合が相当低いと思われます。

このようにビートパルプは、猫が本来必要とする栄養素を摂る上での妨げになります。

硫酸系の薬品の影響

サトウダイコンから糖分を抽出する際に、よく硫酸系の薬品を使う方法がとられています。

この方が、従来の圧力をかけて搾り取る方法よりもはるかに効率が良いからです。

安価で粗悪なキャットフードの場合、この硫酸がビートパルプに残留していることがあります。

硫酸が含まれたキャットフードが猫の腸に入ると、便意を促す腸の神経経路に作用して便秘を引き起こします。

ビートパルプが入った安価なキャットフードで猫が便秘を起こした場合、繊維質が多いからという理由のほかに薬品の影響の可能性も考えられます。

ビートパルプに類似した原材料

キャットフードに「セルロース」や「~ファイバー」といった原材料名が見られますが、これらは「植物繊維」または「~繊維」です。

最近ビートパルプへの風当たりが強くなってきたために、「ビートパルプ」がこのように表示されている可能性があります。

まだはっきりと「ビートパルプ」と表示されていれば内容がわかりますが、「セルロース」となると何の植物繊維なのか不明なので、この方が怪しいと言えるかもしれません。

キャットフードに入っているビートパルプとは?

ビートパルプは、有効性を信じて積極的に取り入れているメーカーもあります。

しかし、多くのメーカーでは嵩増しのために入れていることが多く、その安全性も確かではありません。

猫は肉食動物で、ビートパルプは野生の猫は決して食べなかったものなので、なければなくとも構わないはずです。

ビートパルプは即有害とは言えませんが、猫の体調や好んで食べるかを良く見て、害がありそうだったり必要がなさそうなら避けた方が良いでしょう。