日本だけに生息するニホンイシガメ。

野生のニホンイシガメに会うことは今や貴重になってしまいましたが、飼育や繁殖にチャレンジしている人は珍しくありません。

そんなニホンイシガメには、一体どのような生き物なのでしょうか。

ニホンイシガメの外見

成体のオスは最大でも甲長15cmほど、メスの方が大きく最大21cmほどです。

成体の背甲には1本のキールが縦に通っていて、後ろの縁はギザギザしています。

色は黄土色〜焦げ茶色ですが個体差が大きく、黄色に近いものから少し赤みがかったものまで様々で、成長過程で変化することもあります。

それに対しお腹側は全て漆黒です。

手足も同じ色ですが、オレンジ色の線が1本入っているのが特徴です。

ペットとして飼われることの多いクサガメとミシシッピアカミミガメと比べると、ニホンイシガメの顔や体は少し小さめで尻尾は長め、手足は細めのため華奢な印象を受けます。

ニホンイシガメは自然下でクサガメと交雑することがあります。

彼らの子どもはウンキュウと呼ばれ両親の特徴を受け継ぎますが、その現れ方には個体差があります。

ニホンイシガメの生態

ニホンイシガメはその名の通り日本固有のカメで、本州、四国、九州に分布し、北海道と沖縄にはいません。

主に生息するのは川、池、田んぼ等です。

水中でも陸でも活動する半水棲のヌマガメですが水棲傾向の方が強く、流れのあるキレイな水を好みます。

その年の気温と場所によりますが、11月頃〜3月下旬頃は冬眠期間です。

ニホンイシガメは低温に強いカメで、12月でも比較的暖かい日には動いていることもあります。

しかし夏の高過ぎる気温には弱いため飼育時には十分注意してください。

6月頃からは産卵シーズンです。

10cmほどの深さの穴を掘り、1度に大体3〜10個ほどの卵を産みます。

卵は条件にもよりますが70日ほどで孵化し、子ガメはゼニガメと呼ばれています。

寿命は大体20年ですが、中には30年ほど生きるものもいます。

残念ながら近年は生息数が激減し、環境省レッドリスト準絶危惧種に指定されてしまいました。

ニホンイシガメのかかりやすい病気

ニホンイシガメは皮膚が弱く、すぐに皮膚病にかかってしまいます。

皮膚病になると、手足の付け根や目の周りなど皮膚の柔らかいところに、白いほこりのようなものが現れ、放っておくと体中に広がります。

最終的には死に至ることもあるため注意が必要です。

皮膚病の原因は水質の悪化ですがストレスも影響します。

飼い始めてすぐ、あっという間に重症化することも少なくありません。

1度かかると完治までに時間のかかる病気のため予防を心がけましょう。

最も効果的なのは水質をキレイに保つことです。

カルキは皮膚に刺激を与えるため、水道水は必ず汲み置きを使用してください。

また初期の皮膚病は見た目に症状はわかりにくいですが、カメが食欲不振になることがあるためこまめに観察しておきましょう。

皮膚病にかかってしまった場合は、水の全交換、飼育容器の熱湯消毒をすぐに行い、カメはエルバージュの薬浴と日光浴をさせます。

これらを行っても良くならない場合は、獣医の治療を受けてください。

ニホンイシガメの入手方法

ニホンイシガメは一般的なペットショップ及び爬虫類専門店の店頭や通販で手に入れることができます。

ベビーや8cm前後のゼニガメ、アダルトサイズなど取り扱われている大きさも様々です。

ベビーは弱いため冬眠を考えている人や初心者にとっては難しいかもしれません。

その場合は成体からの飼育をオススメします。

価格は3000円から8000円ほどのことが多く、珍しい色のものだと万単位の値が付くこともあります。

残念ながら、乱獲した野生のニホンイシガメを劣悪な環境で飼育し、売りさばく悪徳業者もいます。

見破るのは難しいかもしれませんが、信頼できる相手から手に入れるようにしましょう。

エサ

ニホンイシガメは雑食性で、野生下では魚、虫、甲殻類、両生類、ミミズを始めとする動物性のものも食します。

その他にも、水草、野菜、果物、花を始めとする植物性のものなど、かなりの種類を食べています。

飼育時は主食として、栄養バランスに優れた人工飼料を使用しましょう。

様々な種類があるのでカメが気にいって食べるもの、カメの口の大きさにあったものを選んでください。

前述したものは副食として、人工飼料と一緒に少しずつというイメージで与えるとうまくいきます。

人間用の加工食品や海の魚、脂の多いものは深刻な健康被害を起こす原因となるため与えてはいけません。

数分で食べきれる量を目安とし、食べ残しはこまめに取り除いて水質悪化を防いでください。

希少なニホンイシガメ

少しデリケートなところがあるけれども美しい顔をしたニホンイシガメは、このままだと近い将来いなくなってしまうかもしれません。

そうならないためにもまずは彼らに関心を持ち、身近な自然をキレイに保つ努力から始めてみてはいかがでしょうか。

いつか都会の川に野生のニホンイシガメが戻ってくるようになれば、これほど幸せなことはありません。