犬には「狼爪」と呼ばれる爪があることはご存知でしょうか。

「ロウソウ」と読みますが、あまりピンとくる人も多くはないでしょう。

なかなか犬を飼っている人でも、知らなかったりする人も多いのではないでしょうか。

今回はそんな狼爪についてご紹介します。

狼爪は犬の親指

狼爪は、犬だけでなく、他にも多くのほ乳類や鳥類、爬虫類が持っています。

簡単に言ってしまうと、犬の狼爪は人間でいう親指にあたるものです。

しかし、現在ではあまり使われることがなく、退化した体の器官とされています。

狼爪はすべての犬にあるわけではなく、気が付かないということも多かったりします。

犬の場合、狼爪は地面に着く足の先から離れた、少し高い位置に生えています。

ですので、普段歩いたり走ったりしているときに、狼爪が地面についたりすることはありません。

また、完全に機能していないものかと言われると、そういうわけでもありません。

しかし、実際にはほとんどの機能は失われており、狼爪自体にはそれほど大きな意味はないと言えます。

狼爪の切除について

犬の狼爪は、先ほども紹介したように、すべての犬に見られるわけではありません。

また、犬の中には退化してしまって、生まれつきもっていない犬もいます。

そのため、狼爪がある場合には、そのままにしたりすることもあれば、外科的に切除することもあります。

狼爪を残したり切除したりすることは、一概にどちらがよいとは言いきれません。

しかし、そうした手術で切除できるということは知っておいたほうがよいでしょう。

狼爪があることによって、犬や飼い主に大きなメリットがあるわけではありません。

こうした狼爪の切除が普及しているのには、やはりそれなりの理由があったりします。

狼爪の切除に関するメリットやデメリットをしっかりと理解しておきましょう。

ケガの防止

普段から犬の爪切りをしている方もいる方も多くいると思います。

普通の犬の爪は、散歩をしたりすることで、ある程度擦れてしまったりして、短い状態を維持することができます。

もちろん、定期的な爪切りも必要ですが、お手入れをして長く伸びすぎることがないようにしますよね。

一方、狼爪は、普段の運動で地面についたりすることがありません。

その結果、手入れをしないと、ずっと伸びっぱなしという状態になってしまいます。

そのため、伸びた爪が自分の足を傷つけたり、絨毯などに引っ掛かったりする可能性があります。

結果として犬がケガをしたり、場合によってはケガによって狼爪を手術で切除することもあります。

そのため、仔犬の頃に狼爪を切除してしまうことは、珍しいことではありません。

犬種標準を満たすため

犬のブリーダーなどでは、ケガの防止以外の理由で狼爪を切除することがあります。

というのは、世界にはそれぞれの国で犬の犬種や血統の登録・管理をしている団体があります。

そうした中で、犬の大きさや被毛の色などから、犬種としての基準というものが定められています。

こうした犬種標準から外れないように、狼爪を切除するということがあります。

狼爪自体は昔の体の名残りなので、異常や奇形などではありません。

しかし、見た目の印象や、親が狼爪のある犬だったりすると、買い手の心象がよくなかったりすることがあります。

そのため、仔犬に狼爪が見られる場合には、比較的早い段階で切除手術をすることが多くなります。

またケガの予防で切除されることもあるため、購入する側が希望するということもあるでしょう。

狼爪を残すことについて

狼爪を切除することがある一方で、そのまま残すという選択をする人も多くいます。

狼爪は、そもそも病気や異常ではありません。

伸びすぎたり、伸びてケガをしないように手入れをしてあげれば、切除する必要性もそれほどありません。

また、狼爪の切除は、犬にとってもやはり痛みが伴います。

生後間もない仔犬はまだ骨が軟らかいため、このタイミングで切除することが一般的です。

しかし、生後すぐの犬には麻酔はできないため、麻酔なしで手術することになります。

また、大人になった犬の場合には、全身麻酔を使用します。

去勢や避妊手術といっしょに切除を行うこともありますが、全身麻酔も犬にとって負担がないわけではありません。

こうした動物愛護の観点から、狼爪を切除せずにそのままにしておくという人も多くいます。

狼爪を見つけたら

ここまで紹介してきたように、狼爪は決して異常なものではありません。

しかし、家の中で布に引っ掛けてしまったり、何かの拍子に狼爪を骨折することもあります。

そのため、ある程度積極的に切除手術が行なわれているというのが現状です。

どう考えるかは飼い主次第ではありますが、最優先したいのは犬の体のことですよね。

ケガなどをしないように取り除いてあげるのか…それとも、体の負担などを考えてチャームポイントとして残しておくか。

しっかりと考えた上で判断してあげるようにしましょう。

犬の狼爪について知ろう

狼爪は珍しいものではありますが、昔の体の名残りだと思うと、なんだか歴史を感じるものでもあります。

狼爪があることは普通ではあるのですが、世界的に見ても切除することが多くなります。

動物愛護の精神や規制が進んだ欧米でも、狼爪の切除が厳しく禁止されているところというのは少ないです。

ケガを予防するという観点から、断尾や断耳とはまた判断の基準が異なるのだと思われます。

ですので、しっかりと狼爪のことを知って、犬のためにいちばんよい判断をしてあげたいですね。