子犬は母親の母乳を飲んでいる間は、母子免疫力と呼ばれるものが、生後2ヶ月まではあります。
しかし、その後は病気に対する免疫力や抵抗力が失われていくため、感染症などの病気にかかると死亡してしまうケースも出てきます。
せっかく迎えた大切な家族である子犬が、元気に成長するために気をつけなくてはならない病気には、どのようなものがあるのでしょうか。
パルボウイルス感染症
1970年代後半に発見された、比較的新しいウイルスによる感染症です。
発見後、日本でも急速に広まって行きました。
犬パルボウイルスによって感染する病気で、症状としては、発熱や嘔吐、出血を伴う下痢などの症状が見られます。
パルボウイルスが厄介なのは、糞便や嘔吐物を消毒液などを使ってキレイにしても、ウイルスが長期間その場所にとどまって消滅しないということです。
予防注射などで免疫力を獲得していない子犬が、知らずにこのような場所で感染してしまうこともあり得るのです。
犬パラインフルエンザ
犬パラインフルエンザウィルスによって感染します。
咳や鼻水などの呼吸器系の症状が見られます。
他のウィルスとの混合感染を起こしやすく、ケンネルコフの感染の原因の一つとなっています。
他のウィルス一緒に感染すると症状が悪化してしまうことがあります。
ジステンパー
犬ジステンパーウイルスによって感染します。
死亡率の高い恐い犬の病気としてよく知られています。
発熱、嘔吐、下痢など消化器系の症状と、くしゃみ、咳、鼻水、目やになどの呼吸器系の症状が現れることがあります。
その他にも肉球の裏が硬くなってしまう、ワードパッドという症状が現れることもあります。
チック症や痙攣発作などを起こすこともあります。
犬アデノウイルス1型
犬伝染性肝炎とも呼ばれています。
子犬が感染すると1日から3日で死亡してしまうことがあるとても怖い病気で、犬アデノウイルス1型によって感染します。
症状としては、重症の場合、発熱、鼻水下痢、嘔吐、結膜が充血するといった症状が見られます。
回復してくると目が青く白濁することがあります。
この状態をブルーアイと言い、犬アデノウイルス1型の特徴となっています。
犬アデノウイルス2型
犬伝染性咽頭気管炎、伝染性気管気管支炎、またはケンネルコフと呼ばれる病気です。
犬の繁殖場やペットショップなどの、犬がたくさんいる場所などで時折発生する病気です。
犬アデノウイルス2型、犬パラインフルエンザウイルスなどのウイルスの他、細菌やマイコプラズマも関係していると言われています。
鼻水や痰などの他にも咳がこの病気の大きな特徴です。
犬コロナウイルス
子犬が感染すると、脱水症状を起こし急死することもあるとても怖い病気です。
激しい下痢と嘔吐を伴った消化器官系の症状が現れます。
犬パルボウイルス感染症に似た症状ですが、大きな違いは発熱しないということです。
恐ろしいのは、この犬パルボウイルス感染症と一緒に犬コロナウイルスに感染すると、症状が重くなり死亡する確率が高くなります。
子犬が下痢になると体力をとても消耗してしまうので、特に注意してあげたい病気です。
犬レプトスピラ感染症
犬レプトスピラ感染症は、人畜共通感染症としても知られる感染症です。
感染した動物の尿や、尿に汚染された土壌や水を通して人間の口や傷口から感染します。
長い期間、尿を通して菌が排出され続けるので、消毒の徹底と衛生面での注意が必要です。
症状としては、発熱や食欲不振、嘔吐、下痢、血便が主な症状です。
黄疸や痙攣を伴うこともあります。
回虫症・拘虫症
回虫は、哺乳類の小腸に寄生する寄生虫です。
犬に感染するのは、犬回虫と犬小回虫の2種類のうち、犬回虫の方です。
犬回虫の特徴として、幼虫から成虫になるのために、免疫力の確立されていない生後6ヶ月未満の子犬や、免疫力の落ちた成犬でしか成長しないということです。
そのため、子犬の時期に駆除することが大切になります。
症状としては食欲不振、下痢、嘔吐、腹部の膨らみ、子犬の場合は発育不全が見られます。
稀に肺炎を起こすことがあり、2、3日で死亡することもあるので注意が必要です。
犬が他の犬の糞を食べてしまったり、妊娠中の母親の胎盤を通したりして、子犬に感染してしまうことがあります。
子犬の発育に影響する場合もあるので、病院に行って駆虫薬をもらい、しっかりと飲ませて駆除してあげましょう。
子犬の病気に注意しよう
子犬を迎えたら、予防接種をして免疫力ができるまでは、子犬の様子に常に注意してあげましょう。
子犬が病気にならないように住環境に気を配ることも大切です。
心理的、外的なストレスは病気の原因となるので、静かな環境で室温にも注意して過ごさせてあげましょう。
特に子犬のかかりやすい病気には感染症が多いので、飼い主も家から帰ってきたら手洗い消毒を心がけるなどの対策も必要です。