コロコロと太った猫はどことなく愛嬌があってかわいく見えたりもしますよね。

けれども、人間と同じで肥満は猫の健康を害してしまいます。

ここでは、肥満によって引き起こされる猫の病気についてご紹介していきます。

大切な愛猫の健康を守るため、どのような弊害が起こるのかを知っておきましょう。

糖尿病

肥満することで引き起こされる猫の病気には糖尿病があります。

糖尿病には、膵臓の機能が破壊されインスリンが出なくなることで起こるI型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)と、膵臓は正常ですが食べ過ぎや運動不足などを理由に発症するII型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)があります。

猫の場合は「I型:II型=1:4」の割合でII型の方が多いです。

また、メスよりオスの方が発症する割合が多いです。

猫の場合、両方の型で、全ての年齢層に糖尿病を発症する個体が出てきますが、6才を過ぎるとややその数が増加していきます。

血糖値が150以上だと糖尿病が疑われますが、猫はストレスにより高血糖になってしまうことが多いです。

正確に血糖値を計るには何度も検査をする必要があります。

具体的な猫の糖尿病の症状としては、
・水を大量に飲むようになる(正常な量は1日に体重1kgあたり50ml以下)
・エサをたくさん食べるのに痩せてくる(太っていると痩せてきても分かりにくいので定期的に体重を測ることが必要)
・おしっこの回数や量が増加する
・腹部(肝臓)がふくれてくる・白内障
・糖尿病性ケトアシドーシス
があげられます。

グルーミングが出来なくなり皮膚病のリスクが上がる

猫の皮膚は人間の皮膚よりも薄くて傷つきやすく、非常にデリケートです。

また、厚い毛でおおわれているため不衛生にしていると寄生虫や細菌が繁殖してしまい、皮膚病になりやすいです。

猫が肥満してしまうと、しっかりとしたグルーミングが難しくなるので、皮膚病のリスクが上がってしまいます。

例としては、猫ニキビ、脱毛症、フケ、皮膚糸状菌症などが上げられます。

また、お尻周辺に舌が届かなくなってしまうと排泄物が着いたままになり、とても不衛生です。

重度の肥満になると運動出来なくなり、褥瘡を患ってしまうことさえあります。

食欲が落ちると脂肪肝(肝リピドーシス)発症の危険あり

太りぎみの猫の肝臓には脂肪が溜まっています。

それが悪化すると肝臓の細胞が脂肪に置き換わってしまい、肝臓が正常に働かなくなってしまいます。

この状態を脂肪肝(肝リピドーシス)と言います。

太りぎみの猫がストレスや何らかの理由でエサをあまり食べなくなって、体重が急に落ちたときに発症しやすくなります。

脂肪肝が軽度のうちはまだ回復も可能ですが、重度の場合はほぼ発症から7日以内に死亡してしまいます。

症状としては、食欲不振、嘔吐、下痢、肝腫、黄疸(歯茎や白目が黄色っぽくなる)ことがあげられます。

定期的に動物病院で検査を受けることと、少しでも早く異変を発見し病院にかかることが大切になります。

予防としては猫を太らせないことが大切ですが、急激なダイエットはそれ自体が発症の引き金になってしまいます。

獣医さんと相談の上、慎重にダイエットを行いましょう。

運動不足などで水をあまり飲まない猫は、おしっこ系の病気になりやすい

室内飼育されていて運動量の少ない猫や、肥満で運動不足の猫は水を飲む量が少なくなるので、おしっこの量も少なくなります。

また、トイレが汚かったりすると猫がトイレに行くのを我慢してしまうので、おしっこが膀胱に溜まる時間が長くなります。

このようなことが原因で、尿石症や猫の特発性膀胱炎、尿路閉塞、尿路感染などの猫の下部尿路疾患(FLUTD)のリスクが高まってしまいます。

尿路閉塞は、比較的若い猫や去勢された雄に多く見られます。

体重が重いと足腰を痛めやすくなる

肥満している猫は体重が重いので、体を支える足腰への負担が大きくなります。

そのため、関節や、骨と骨をつなぐ靭帯、背骨のパーツ一つ一つの間に挟まってクッションの役割をしている椎間板を痛めやすくなります。

増えてくる怪我や病気は捻挫、関節炎、椎間板ヘルニアなどです。

野生で元々単独行動をしていた猫は怪我をしても、外敵から狙われないようにそれを隠す習性があります。

そのため、関節炎などになっても、飼い主が見てすぐにわかるようなよたよたした歩き方をする猫は少ないです。

階段を駆け降りることがなくなる、高いところから飛び降りるのをためらうなどの些細な変化しか見せません。

首の周りの脂肪で気管が圧迫され、呼吸困難になることも

肥満した猫は首の周りに脂肪がつき、気管が圧迫されてしまいます。

また、肥満により心臓に負担がかかって心臓病を患っている場合にも、呼吸困難を起こしてしまうことがあります。

歴史上最も肥満した猫として記録に残っているオーストラリアの「ヒミー」(21.3kg)は1986年に10歳で、21世紀最大のデブ猫アメリカの「ミャオ」(18kg)は2012年にわずか2歳で呼吸器不全を起こし死亡しています。

このように、猫の肥満は猫の命を奪ってしまうこともある深刻な症状です。

デブ猫は病気になりがち

ここまで様々な病気をご紹介してきました。

これらの他にも、肥満との関連性が正式に解明されたわけではありませんが、おそらく関係しているだろうと言われている病気として、心臓病、便秘、下痢、歯石、歯周病などの口腔内疾患があります。

もし、あなたの愛猫がデブ猫予備軍だったのならば、愛猫の健康を守るために正しい方法でダイエットを頑張ってみましょう。

ダイエットに成功した猫は、ダイエット前よりも飼い主への愛情表現が増えるという調査結果もあります。

愛猫のダイエットは、猫の健康だけではなく、飼い主の心も癒してくれる効果が期待できますよ。