猫の鼻に触ると、冷たくてほんのり濡れています。

普通はこういう状態なのでしょうか、また何のためでしょうか?

猫の鼻が濡れている理由と、猫の鼻のいろいろな役割についてご紹介します。

1.猫の鼻を湿らす液体は何か?

健康な猫の鼻は鼻の内部から出る分泌液でほんのり濡れています。

猫の鼻の表面には「鼻鏡」という細かい溝があり、その溝の中は外側鼻腺からの分泌液や、鼻涙腺からの涙によって湿っています。

これらの液体は、においの分子を吸着して猫の嗅覚を高めるのに役立っています。

猫の嗅覚は人間の1万倍から10万倍と言われています。

そして嗅覚は猫の生活の中でとても大きな役割を果たしています。

人間のように単に臭いを嗅ぐだけでなく、猫にとっての嗅覚は生活全般の行動に影響を及ぼすほど大切なものです。

したがって、嗅覚を最高に高めるためにいつも鼻を湿らせておく必要があります。

2.食べ物の味を知るため

猫は嗅覚が鋭敏ですが、味覚は人間と比べるとそれほどではありません。

猫の舌の味覚を感じる味蕾は、同じ面積で人間の100分の1ほどです。

猫は食べ物の味を舌ではなく鼻から味わっているのです。

鼻が湿っていると、猫は食べ物の味を知ることができておいしく味わって食べられます。

また肉食動物の猫にとって必要な動物性たんぱく質を嗅ぎ分けることができます。

食べられるものとそうでないものも、嗅覚で選別します。

猫が風邪をひいたりして鼻が乾いていると、味がわからなくなるので食欲をなくします。

3.相手を判別するため

猫は額、唇、あご、肉球、尾、肛門などに臭いを発する「臭腺」を持っています。

人間にこの臭いはあまり感じられませんが、猫同志ではお互いのアイデンティティー確認し合うための大切な臭いです。

猫同志が出会って、臭いによってお互いに敵意を持っていないと確認すると、お互いに鼻を近づけてさらにプライベートな情報を読み取ろうとします。

まず顔の臭いを嗅ぎ、距離が縮まったら肛門などの臭いを嗅ぎます。

そしてオスメスの区別、優劣関係などを確認します。

猫は人間とも鼻キッスをしたがりますが、これは相手の情報を鼻から知ろうとしています。

猫が鼻を近づけるというのは、相手に対して敵意を持っていない友好の印であるとされていて、好意があるからこそもっと相手のことを知りたい、という意思表示です。

相手が敵か味方か、自分より優位かどうかを知るという行為は、野生の猫にとって生きていくためにとても大切なことです。

そのために猫は活動中にいつも鼻を湿らせて、感度を良くしておくのです。

4.交尾のため

猫がオスとメスだと、発情期には交尾に必要なサインを臭いで送り合います。

発情期のメスの猫は、オスに対するメッセージ入りの「性フェロモン」を含んだ尿をあちこちにします。

それを嗅いだオスは、鼻の奥の「ヤコブソン器官」という特別な器官で性フェロモンの臭いを察知して、察知すると恍惚とした表情(フレーメン反応)をします。

そして交尾のための行動を取り始めます。

猫が子孫を残すために必要な行動は臭いの察知から始まります。

そのために猫はいつも鼻を湿らせておく必要があります。

5.温度を知るため

猫の鼻は臭いを感じるだけでなく、温度の変化も感じることができます。

猫の皮膚の温度を感じる機能はあまり優れておらず、それを鼻の機能が補っている部分があります。

猫は鼻で摂氏0.5度の変化を感じ取れると言われています。

暑いときは熱中症にならないように、寒い時には凍えないように、猫が快適な場所に移動するのは皮膚よりも鼻で感じて行動しています。

これも生きていくのにとても重要なことなので、猫は活動中は鼻を湿らせて温度を感じ取っているのです。

6.細菌を防ぐため

猫の鼻が湿っている理由の一つとして、細菌の感染から身を守るためというのがあります。

風邪やインフルエンザなどの細菌は、空気が乾いていると感染しやすくなります。

猫の鼻が湿っていると、細菌をブロックして感染を防ぐ役割をします。

風邪をひいたりして鼻が乾くと、別の細菌感染を引き起こすこともあるので注意が必要です。

7.猫の鼻は睡眠中には乾いている

猫の鼻は健康な時には、ひんやり冷たく適度に濡れています。

しかしいつも濡れているかというとそうではなく、健康な猫でも睡眠中は乾いています。

睡眠中は臭いを嗅ぐこともなく必要が無いので、鼻からあまり液が分泌されません。

猫の鼻は合理的にできているのです。

しかし活動中に猫の鼻が乾いていたり、鼻の表面がひび割れていたり、鼻水、鼻づまり、鼻血などがあるときには病気が疑われます。

風邪やその他の病気で発熱していたり、内臓に不調があるのかもしれません。

このようなときは獣医師に連れて行って治療を受けさせましょう。

猫の鼻はなぜ濡れているのか

猫の鼻は猫が生きていくための大事なセンサーの役割をしています。

また猫同志でお互いのことを知ったり、異性との交尾行動のために役立ったりと、猫のコミュニケーションツールの役割もしています。

その鼻が最大限に機能を発揮するように、いつも適度に濡れているのです。

時々猫の鼻の濡れ具合をチェックして、猫の健康を確かめましょう。