犬の場合には、いっしょに生活していく上で、小さな頃からのしつけがとても大切だと言われています。

しかし、猫へのしつけというのは、あまり一般的にされているものではないかもしれません。

どちらかといえば自由気ままな性格で、犬のように飼い主にべったりすることも多くはないでしょう。

ですが、最近では猫ともっと仲良くなるためのしつけや、トレーニングに注目が集まってきています。

今回は、猫と仲良くなるためのクリッカートレーニングの方法についてご紹介します。

1.クリッカー・トレーニングとは?

猫へのしつけやトレーニングなんて、予想だにしなかったという人もいるかもしれません。

ですが、猫との良好な関係を築くときに、今回取り上げるクリッカー・トレーニングは大きな効果を発揮するでしょう。

クリッカー・トレーニングは、クリッカーという装置を使ったトレーニングです。

クリッカーにはボタンがついており、ボタンを押すと「カチッ」という音が鳴ります。

この音を合図にして、いろいろなことを猫に覚えてもらうのです。

トレーニングの方法は至って簡単ですが、しっかりとステップを踏んでいく必要があります。

また、効果的にトレーニングするためにも、いくつかのコツのようなものが存在します。

どれも知っていれば難しいものではないので、ぜひ挑戦してみてください。

2.どんな時に役立つの?

まず、なぜクリッカー・トレーニングをするのかということについて考えてみましょう。

「ちゃんとトレイの場所を覚えてくれて、勝手な場所で爪とぎをしなければそれでいいのは?」と思うかもしれません。

しかし、クリッカー・トレーニングをすることで、飼い主がしてほしい行動を猫に取らせることができるようになります。

例えば、爪切りやブラッシングをするときなどに、嫌がったり抵抗したりする猫もいますよね?

クリッカー・トレーニングを通じて飼い主との信頼関係ができれば、こうしたお手入れももっと簡単になるでしょう。

「猫にしつけなんてできるの?」と疑問に思うかもしれませんが、猫もしっかりと考えて行動する動物です。

猫の学習能力をうまく利用できれば、驚くほどいろいろなことが猫にはできます。

トレーニングの内容次第では、名前を呼んだらこちらに来たり、猫とハイタッチすることだって可能です。

3.準備するもの

クリッカー・トレーニングを始めるのに必要なものは、それほど多くありません。

用意するものは、クリッカーとご褒美となるおやつのみです。

クリッカーに関しては、ペットショップやネットの通販などですぐ見つかると思います。

クリッカーにもいろいろな大きさや種類がありますが、迷った時は押しやすいものを選ぶというのがポイントです。

というのも、クリッカー・トレーニングは、クリッカーを鳴らすタイミングに大きな意味があるからです。

また、ご褒美のおやつ選びにも、気を付けたいポイントがあります。

それは、「これなら喜ぶだろう」というものではなく、猫が本当に好きなものを使うということです。

いつものキャットフードなどではなく、とびっきりの大好物を使うようにしましょう。

4.クリッカーの音とご褒美を結びつける

では、実際にクリッカー・トレーニングの方法について紹介します。

まず最初のステップは、クリッカーの音に慣れてもらうところから始まります。

猫にご褒美をあげる前にカチッとクリッカーをならして、タイミングよくご褒美をあげてみてください。

これは「チャージング」というクリッカーの音=「良いことがある」ということを覚えてもらう段階です。

猫に「いいこいいこ」と褒めてあげる代わりに、クリッカーの音でそれを伝えます。

このクリッカーの音と猫にとっての良いことがしっかりと結びつかないと、次のステップには進めません。

また、先にご褒美をあげてからクリッカーを鳴らしたり、クリッカーを鳴らしてからご褒美を与えるまでに時間が空いてもいけません。

繰り返しトレーニングをすることで、猫はクリッカーの音=ご褒美がもらえると認識するようになります。

5.行動とクリッカーの音を結びつける

クリッカーの音とご褒美が猫の中でしっかりと結びついたら、今度は行動につなげるようにします。

次のステップとして、飼い主がしてほしい行動をしたら、クリッカーを鳴らすようにします。

猫の場合には、目の前のものに触らせるターゲットトレーニングが有効です。

猫の目の前に手やものをすっと差し出すと、猫は鼻を近づけたり、手で触ろうとします。

ターゲットにしっかりと触ったところでクリッカーを鳴らし、ご褒美をあげるようにします。

こうして、「猫にしてほしい行動」を誘導して、それができたらクリッカーを鳴らすということを繰り返します。

そうすると、次第にその行動を自発的に行うようになってきます。

爪切りの時に手を出してもらったり、手を出すとハイタッチしたりするなど、猫の行動を促すことができます。

6.トレーニングは根気よく

簡単にクリッカー・トレーニングの方法について紹介しましたが、実際には文章ほど簡単ではありません。

1日や2日でできるようになるものではなく、なかなか思い通りにいかないこともあるでしょう。

トレーニングを続ける時に気を付けておきたいのは、猫の集中力です。

猫の集中力はそれほど長く持ちませんので、一度のトレーニングは5分以内に留めるようにしましょう。

みっちりトレーニングするよりも、毎日やって習慣にさせるような根気が必要です。

また、与えるおやつもカロリーオーバーにならないように注意しましょう。

トレーニング以外では別のおやつを使ったり、むやみにおやつを与えないなどメリハリをつけることも大切です。

短い時間のトレーニングでも、トレーニングとそうでないときを区別することはとても大切なポイントです。

猫をクリッカートレーニングでしつけよう

最近では人にべったりと懐くような猫もいますが、それでも猫は気分屋だったりします。

しかし、クリッカー・トレーニングでしつけを覚えた猫というのは、驚くほどフレンドリーになります。

おやつをもらえる行動=飼い主が喜ぶ行動を知っているので、教え方次第でとても協力的になってくれるのです。

猫には犬のようなしつけは不要かもしれませんが、トレーニングすることで、普段の世話のしやすさやスキンシップの取りやすさなども変化してきます。

日常的に大きなメリットとなるはずですので、ぜひ挑戦してみてくださいね。