もし、あなたの愛猫が「よだれ」を垂らしているところを見ると、心配になりませんか?

というのも、猫にはその光景をあまり見かけないからです。

その原因について、一体どんなことが考えられるのでしょうか?

今回は、猫がよだれを垂らす原因についてご紹介します。

まず、「パブロフの条件反射」を疑ってみる

そもそも「よだれが出る」という事自体は、人間にもある正常な反応です。

例えば仕事が終わって家に帰る途中、道中の家からカレーの香しい匂いが漂って来たとき、何とも言えずに唾液の量が増加しませんか?

人間の場合は口をきちっと閉じていますので、垂らすことはありませんが、猫の場合はどうでしょうか?

目の前にいかにも美味しそうなウエットフードがあった場合、居ても立っても居られなくなり、その魅惑の匂いに反応してよだれが少し垂れてくる、ということも考えられます。

「パブロフの犬」という有名な実験があります。

メトロノームの音を聞かせた後にエサをあげるという動作を繰り返していると、犬はメトロノームの音を聞いただけでよだれが出てくるようになる、というものです。

これを「条件反射」と言いますが、猫にもそれが言えることでしょう。

それで、美味しそうな匂いを嗅ぐと、「あ、またあの旨いゴハンがもらえるんだ」と反射的に反応してしまいます。

要するに、よだれが出てくる状態というのは、食べ物を消化しやすくするための“生理反応”だということです。

それなら何の心配も要りません。

疲労困憊もしくは気持ち良過ぎて口を開けたままに寝て、よだれが垂れていた

これも人間によくあることです。

肉体を酷使しながら夜遅くまで働き、家に帰って寝床に倒れ込むように寝ていると、口をあんぐり開けたまま深く眠ってしまい、その間によだれが垂れてくるというものです。

そんな体験は誰にでもあるのではないでしょうか?

無邪気に疲れるまで遊び転げて回った子ども時代には、特によくあったことです。

またそれは、口の筋肉も緩むほどに気持ち良くリラックスしながら寝てしまい、よだれが垂れるという場合もあるでしょう。

いずれの場合も、よだれが垂れていることに気付かない程に、深くぐっすり眠っているということです。

その寝顔を見ると、つばの臭いが少々気になるものの、“何て可愛いのだろう”と思うはずです。

しかし、その状態で猫にちょっかいを出して、眠りから覚ますことは避けた方が良いでしょう。

尻尾をパタつかせて「不機嫌だよ」と、飼い主にイライラの眼差しがきっと向けられるでしょうから。

甘えたい気持ちが表われて、よだれを垂らす

起きているときでも、甘えたい気持ちが表われるとよだれが垂れることがあります。

飼い主が甘えさせてくれて、何とも言えない位に気持ち良くしていると、次第に子猫の頃を思い出して、口をすぼめてチューチューと乳を吸う仕草をしたり、おっぱいをモミモミするように手のひらを開いたり閉じたりします。

それは飼い主に対する親愛の情の表れで、子ども時代に戻ってくつろいだ気分になっているためです。

そのような仕草は、子どもの頃に早く離乳させられた猫が頻繁に行います。

その際、猫によってはよだれを少し垂らすこともあります。

一般的に、唾液の量は自律神経によって調節され、緊張すれば少なくなり、リラックスすると増加します。

また、食事の前後や最中にも増加し、消化を助け、虫歯にならないよう口腔内の調子を整えます。

そういった自律神経系の活動の結果、よだれを垂らすという作用が働いているのでしょう。

病気・怪我の場合を考えてみる

冒頭にも述べましたように、猫はそれほどよだれを垂らすというようなことはありません。

例え垂らしたとしても、少量のものです。

それがもし、明らかに多い量のよだれが出ていた場合はどうでしょうか?

よだれが垂れすぎて、あごの毛が濡れたままの状態になって来ると要注意です。

そうなると病気や怪我の可能性が高くなります。

猫がよだれを多く出す病気としては、口内炎・歯周病・消化管の炎症(食道炎や胃腸炎)などが考えられます。

また、有毒物質を誤って摂取してしまい、泡を含むよだれを出している状態は非常に危険です。

その他にも、あごの骨を骨折するなどして、口が上手く閉じられなくなっている状態があります。

口が閉じなければ、よだれは垂れたままになりますし、何より食べ物も水分も摂取できなくなってしまい、脱水症状になるなどして大変です。

これらの場合は緊急を要しますので、速やかに動物病院へ連れて行きましょう。

愛猫の命を救うためです。

ためらってはいけません。

猫がよだれを垂らす原因について知っておこう

正常な場合は良いのですが、異常な場合だとすぐに処置をしないといけないことが、お分かり頂けたと思います。

犬の場合だと、体温調節で口から多くの唾液を分泌しますが、猫の場合は口から唾液を出して体温調節をしているところを見たことがありません。

猫の場合でも犬の場合でも、明らかに普段と違う量の唾液が垂れていたら、それは異常のサインですので、すぐに病院へ連れて行きましょう。