NHKの子ども向け番組にラーテルをモデルとしたキャラクターが出てきたことにより、ラーテルを本やインターネットなどで調べたりする人が現れ、ラーテルに注目が集まっています。

ラーテルとは一体どのような動物なのでしょうか。

ラーテルの特徴や性格をご紹介します。

イタチの仲間

ラーテルは、ラッコ、カワウソ、スカンクなどと同じ、イタチの仲間です。

ネコ目イタチ科ラーテル亜科ラーテル属に分類されています。

ラーテル属に分類されているのはラーテルだけです。

学名の「Mellivoracapensis」は、「ケープ地方の蜜食い」という意味で、異名は「ミツアナグマ」と言います。

アフリカから西アジア、インドの乾いた土地に生息しています。

体の上面の毛は白っぽい色をしており、下面は黒い毛で覆われています。

体長は60cmから80cm、尾長は20cmから30cm、体重は7kgから13kgです。

ラーテルは雑食性の動物で、小型の哺乳類、鳥、爬虫類、はちみつ、蜂を食べます。

はちみつが好き

ラーテルは、雑食性の動物で小動物などを食べます。

その中でも、はちみつと蜂が大好物です。

蜂の巣を探して木に登ることがあります。

その際、ノドグロミツオシエやウロコミツオシエといったミツオシエ科の鳥と一緒にいるところが見られることがあります。

これらの鳥は蜂の巣を見つけると、ラーテルの周りでけたたましい鳴き声をあげ、蜂の巣まで先導します。

ラーテルはその鳴き声を聞いて蜂の巣まで辿り着くと、力任せに巣を襲います。

鳥は蜂の巣を見つけることが出来ますが、巣を襲いはちみつを手に入れることは出来ません。

一方、ラーテルは蜂の巣を襲いはちみつを手に入れる力はありますが、鳥のようにめざとく巣を見つけることは出来ません。

両者の利害が一致し、共生関係を築いているのです。

毒に耐性がある

ラーテルは雑食性の動物であるため、猛毒があるものを含め、ヘビを食べます。

そのため、コブラ科のヘビが持つ神経毒に対し、強い耐性を持っています。

たとえそれらのヘビに噛まれたとしても、一時的に麻痺して動けなくなりますが、数時間後には何事もなかったかのように活動を再開します。

また、ラーテルは蜂の巣を襲い、はちみつを奪いますが、蜂の毒にも耐性を持っています。

しかし、耐性があるといっても、毒の量が許容範囲以上だと死んでしまうこともあります。

ちなみに、ラーテルの死因で一番多いのは、蜂の毒によるショック死です。

分厚い皮膚

ラーテルの特徴のひとつに、「分厚い皮膚」があります。

ぶよぶよと柔らかく伸縮性があり、かつ、固い皮膚にはライオンの牙や鉤爪、ヤマアラシの針も敵いません。

これらの攻撃を跳ね返してしまいます。

最終的にはライオンなどが根負けし、去っていきます。

結果、ラーテルはライオンなどに捕食されないで済むのです。

ラーテルは、ライオンなどに比べると小さな動物です。

しかし、持って生まれた分厚い皮膚のおかげで、ライオンなどの大きな肉食動物と互角の戦いが出来るのです。

また、様々な攻撃を跳ね返す分厚い皮膚の防御力の高さにあやかり、南アフリカ共和国では「ラーテル歩兵戦闘車(RatelIFV)」が開発されました。

ラーテルは怖いもの知らず

ラーテルの性格は、怖いもの知らずかつ、凶暴です。

ラーテルの体は、1m足らずの小さなものですが、自分より大きなライオンやコブラなどの獰猛な動物に果敢に挑みかかります。

補食はしませんが、自分より何倍も大きなアフリカスイギュウを襲うこともあります。

ライオンやコブラ、はたまた人間も怖れない、何にでも挑みかかって食べようとする性格から「世界一怖いもの知らずの動物(themostfearlessanimal)」として、ギネスブックに登録されています。

ラーテルは、基本的に単独行動で群れを作りません。

ですが、つがいで行動することはあります。

強烈なにおいを出す臭腺がある

ラーテルは、スカンクなどと同じイタチの仲間です。

そして、スカンクと同じように肛門の近くに臭腺を持っています。

威嚇の際に臭腺から出されるガスのにおいは強烈で、1週間はにおいが取れないと言われています。

ライオンなどの捕食者は、狩りのときに強烈なにおいが付いていると、狩りの成功率が下がってしまいます。

狩りが出来ないと食事が出来ませんので、死の危険を招きかねません。

ですので、威嚇の際に強烈なにおいのガスを出すラーテルには、余程のことがない限り近付かないのです。

また、スカンクの白黒の縞模様には「においの強い液体を出す」と敵に伝える効果があります。

同じように白黒に分かれているラーテルの見た目にも、スカンクと同じような敵に警告する効果があるのではないかと考えられています。

あごと爪が自慢

ラーテルは獰猛な性格でとても強い動物ですが、顔の部分は毛に覆われていないので、そこを蜂やヤマアラシの針で攻撃されるのは弱いし、痛がる様子を見せることもあります。

しかし、ラーテルは強力なあごと大きく発達した鉤爪を持っています。

発達した鉤爪を使い、木に登ったり、素早く穴を掘ることが出来ます。

これらは、ラーテルの武器となっています。

あごと鉤爪という最大の武器を持っているラーテルは、広範囲に歩き回り、目に入った捕食動物を手当たり次第に襲い、口にしています。

ライオンやブチハイエナが存在しない砂漠地帯や礫砂漠の生態系において、ラーテルは生態系ピラミッドの頂点に君臨しています。

可愛さからは想像できない強さを持つラーテル

ラーテルは、イタチに似た小さく可愛らしい外見に似合わず、獰猛な性格と鋭い鉤爪や何でも噛み砕くあご、そしてライオンなどの攻撃を防ぐ分厚く伸縮性がある皮膚を持っています。

ギネスブックに記録されるくらいの怖いもの知らずの性格と、強さとしたたかさを備え持っている動物であると言えます。

その凶暴性からか、まだ詳しい生態が分からない部分もあり、そこもラーテルの魅力であると言えます。